真紅の瞳と小さな灯

夜明けのハリネズミ

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「ともだちのともだち」

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 洞窟の入り口で待っていたリューは、いつもより少しそわそわしていた。
 今日はリナが遊びに来る日だ。彼女が来ると、いつも不思議と洞窟が明るくなる気がする。

 だが、その日、リナは一人ではなかった。

「リュー!」

 リナの声とともに、隣に背の高い青年が立っているのが見えた。

「こいつ、誰だ?」

 リューは青年を睨みつけ、声を低くして言った。

「あ、紹介するね! この人はエリアス。私の村の友達なの。」

「村の友達……?」

 リューはその言葉に引っかかりを覚えた。

「俺には聞いたことがないが?」

「だって、言ってなかっただけだもん!」

 リナはケラケラと笑い、エリアスも少し緊張しながら微笑む。

「君がリューか。リナから話は聞いてるよ。頼れる存在なんだってね。」

「……。」

 その言葉にも、なぜかリューはむっとした。

 リナとエリアスは、リューの洞窟に入ると楽しそうに話し始めた。
 二人の笑い声が響く中、リューはその場に立ったままじっと様子を見ていた。

「エリアス、この宝石すごく綺麗だよ! リューが集めたんだよね?」

「へえ、こんな大きな宝石を集めるなんて、さすがドラゴンだな。」

「ふん、別に大したことじゃない。」

 リューはそっけなく答えたが、リナがエリアスを見て笑うたびに、胸の中がムカムカしてくるのを抑えられなかった。

「なあ、そろそろ帰ったらどうだ?」

「えっ、まだ来たばかりだよ!」

「……人間の村に戻る時間じゃないのか?」

 リューの言葉にリナが首を傾げると、エリアスが少し申し訳なさそうに言った。

「ごめんね、リュー。俺が来たのが迷惑だったかな。」

「別に迷惑などではない!」

 リューは声を荒げたが、その視線は明らかにエリアスを睨みつけていた。

 しばらくして、エリアスが帰ることになった。

「じゃあ、また来るね、リナ。」

「うん! 気をつけて帰ってね。」

 リナとエリアスが楽しそうに挨拶を交わしているのを見て、リューはまた胸がザワザワしてきた。

「また来る……?」

 その言葉が頭の中で何度も反響する。

「リナ、どうしてそいつをこんなに気に入ってるんだ?」

 リューは唇をかみしめ、何かを言いかけたが、結局言葉にできなかった。

 エリアスが去った後、リナがリューの方を振り返った。

「ねえ、どうしたの? 今日のリュー、なんか変だったよ?」

「俺は別に……変ではない!」

「嘘。なんか不機嫌だった。」

 リナがじっとリューを見つめると、リューは目をそらし、そっぽを向いた。

「お前が……そいつばかり気にしていたからだ。」

「え?」

「お前が楽しそうにしていたのが……気に入らなかった!」

 リューの声が大きく響いた後、リナは目を丸くした。

「リュー……それって、やきもち?」

「やきもちではない!」

 リューは必死に否定したが、その顔は真っ赤だった。

「ふふっ。」

 リナが笑い出すと、リューはさらにムスッとした顔になった。

「お前、何が可笑しい!」

「だって、リューがそんな風に思ってくれるなんてちょっと嬉しいなって。」

「……。」

 リナがそう言うと、リューは一瞬言葉を失い、しばらくしてから低く呟いた。

「お前が、俺の友達だってことは……変わらないんだろうな。」

「もちろん!」

 リナはにっこり笑い、リューの背中を軽く叩いた。

「リューは私にとって特別な友達だよ。それは誰が来ても変わらないから、安心してね。」

 リナのその言葉に、リューは少しだけ目を伏せて、小さく鼻を鳴らした。

「ふん……当然だ。」

 そう言いながら、リューの胸の中にあったムカムカは、いつの間にか消えていたのだった。
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