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例えどんな理不尽な世界だとしても
一緒なんですが?
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長い白髭を執拗に触りながら、ギルドマスター――ロイドは眼前で繰り広げられる死闘に目を向ける。
捕獲してきたD級魔物――『ラビットパイル』と冒険者四名が、円形の闘技場でぶつかり合う。
冒険者は四名とも同じ剣を手にして、前後二人ずつのフォーメーションで対峙する。
兎のような姿に鋭い一角を生やしているラビットパイルは、自らの足元を爆発させて、まるで自身を大砲のように飛ばす。
十分に開いていた距離はすぐさま縮まり、前衛を張る冒険者二名を、体の前に構えられた剣ごと吹き飛ばす。派手に吹き飛ぶ冒険者。ちょうど、後方で詠唱していた二名が、ほぼ同時に魔法を発動した。
直径四十センチほどの炎の塊と、一回り小さな氷の塊が生成され、勢いよく射出、ラビットパイルにぶつかる。
耳を揺さぶる爆音が鳴り響き、水蒸気が巻き起こる。
ロイドは頭を抱えた。というのも、この攻撃の結果はわかり切っていたからだ。
ラビットパイルが白い霧を突き破り、まるで何事もなかったかのように魔法を使った冒険者に突進を放つ。
警戒はしていた。しかし、あまりのスピードに体が思うように反応することが出来ず、片方はまともに突進を食らい、もう一方はラビットパイルが続けざまに放った足蹴によって吹き飛ばされる。
かれこれ、二十分。同じようなことを繰り返している。
「もう、よい。片付けろ」
ロイドの言葉を待っていたように、傍らに控えていた、白銀の鎧を着た女性がレイピアを腰にぶら下げた鞘から引き抜く。
ロイド自身も数歩前に出て、手に携えた樫の杖を前方にかざして詠唱を始める。
女性は目にもとまらぬ速さで連続の突きを繰り出し、ラビットパイルを圧倒する。硬い外皮の毛並みがみるみるうちにボロボロになり、赤く染まる。
ラビットパイルは堪らず後退し、すぐさま本日最高速度での渾身の突進を繰り出す。
「――『月下・一閃』」
レイピアが赤いオーラを帯びる。燃えるような赤い色で、それでいて透き通っている。
女性はまるで弾丸のように猛然と突っ込んでくるラビットパイル目掛けて、すれ違いざまに音もなく突きを放つ。
バキィッ!
遅れてラビットパイルの角が粉々に砕け散る音が響き渡る。
「……ライトニング」
吹き抜けの空から、一筋の落雷が闘技場に墜落する。落雷は闘技場を囲うように張られたバリアもろとも、ラビットパイルを突き破った。
優美な動きで鞘にレイピアを仕舞う女性。腰を抜かしてその場にへたり込む四名の魔剣士。そして、丸焦げになった魔物。こうして、魔物と魔剣士の戦いはしびれを切らしたロイドと、一人の女性によって幕を閉じた。
「期待外れでしたね」
女性はロイドに駆け寄って話す。
「ゼシュ。彼らは本当に全員魔剣士なんじゃな?」
白銀の鎧に身にまとったロイドの秘書――ゼシュは表情を変えずに返答する。
「確かにDランク魔剣士の四名です。パーティー登録もしっかりと設定しました」
「全く一緒なんじゃがな……まるで弱い。いや、これが本当の魔剣士の力というべきか」
ロイドは今一度、小一時間前に見た戦闘を脳裏で思い返す。
ラビットパイルの突進を軽く受け止め、リーダーとおぼしき男性と金髪の女性で肉薄する。前衛だけで事足りていたが、リーダーである、なんといったか……あぁ、ハルトがチラリとこちらを見て、横の金髪女性に合図を送る。彼女はラビットパイルを一刀両断する寸前で、その剣を止める。
「いくよ!」という男性の掛け声と共に、後方に控えていた図体の大きな男性と、小柄なピンク色の髪をした女性が魔法を放つ。
ラビットパイルの何倍もある巨大な岩石と、そして数多の落雷。落雷の数はイアンから聞いた二十……とまではいかないものの、計八回魔物を討ち焦がした。
魔剣士四人……条件は全く一緒のはずだが、なぜ……。
「そうそう上手くはいかないか」
魔剣士の秘められた力が見つかったと思ったが、どうやら彼ら限定の力のようだ。なぜ、彼らだけが……これに関しては全くの謎だ。
「近頃頻発する異常事態に備えることができるやもしれないと思いましたが、もう少し突き詰めて研究するしかありませんね」
「そうじゃな。魔物の急激な生息域拡大とその数の増量。このままではこの街どころか、国の存続が危うい。なんとかせねば……」
人間の住まう地域に数々あるギルドの長での会合で、どのギルドマスターも口をそろえて異常事態が起きていることを話した。ディザスター内の異常事態、ディザスター外に出現する高ランク魔物。中には新種の魔物まで報告に上がった。
魔物の動きがおかしい。良くない前触れであることは間違いない。しかし、Aランク冒険者はこの街にいるライズたちの他に一パーティーのみ。
「これから、何が起きるのか……考えたくもないのぉ」
ポツンと鼻先に雫が落ちる。
ロイドはため息交じりに、空から降り注ぐ雨を見上げた。
捕獲してきたD級魔物――『ラビットパイル』と冒険者四名が、円形の闘技場でぶつかり合う。
冒険者は四名とも同じ剣を手にして、前後二人ずつのフォーメーションで対峙する。
兎のような姿に鋭い一角を生やしているラビットパイルは、自らの足元を爆発させて、まるで自身を大砲のように飛ばす。
十分に開いていた距離はすぐさま縮まり、前衛を張る冒険者二名を、体の前に構えられた剣ごと吹き飛ばす。派手に吹き飛ぶ冒険者。ちょうど、後方で詠唱していた二名が、ほぼ同時に魔法を発動した。
直径四十センチほどの炎の塊と、一回り小さな氷の塊が生成され、勢いよく射出、ラビットパイルにぶつかる。
耳を揺さぶる爆音が鳴り響き、水蒸気が巻き起こる。
ロイドは頭を抱えた。というのも、この攻撃の結果はわかり切っていたからだ。
ラビットパイルが白い霧を突き破り、まるで何事もなかったかのように魔法を使った冒険者に突進を放つ。
警戒はしていた。しかし、あまりのスピードに体が思うように反応することが出来ず、片方はまともに突進を食らい、もう一方はラビットパイルが続けざまに放った足蹴によって吹き飛ばされる。
かれこれ、二十分。同じようなことを繰り返している。
「もう、よい。片付けろ」
ロイドの言葉を待っていたように、傍らに控えていた、白銀の鎧を着た女性がレイピアを腰にぶら下げた鞘から引き抜く。
ロイド自身も数歩前に出て、手に携えた樫の杖を前方にかざして詠唱を始める。
女性は目にもとまらぬ速さで連続の突きを繰り出し、ラビットパイルを圧倒する。硬い外皮の毛並みがみるみるうちにボロボロになり、赤く染まる。
ラビットパイルは堪らず後退し、すぐさま本日最高速度での渾身の突進を繰り出す。
「――『月下・一閃』」
レイピアが赤いオーラを帯びる。燃えるような赤い色で、それでいて透き通っている。
女性はまるで弾丸のように猛然と突っ込んでくるラビットパイル目掛けて、すれ違いざまに音もなく突きを放つ。
バキィッ!
遅れてラビットパイルの角が粉々に砕け散る音が響き渡る。
「……ライトニング」
吹き抜けの空から、一筋の落雷が闘技場に墜落する。落雷は闘技場を囲うように張られたバリアもろとも、ラビットパイルを突き破った。
優美な動きで鞘にレイピアを仕舞う女性。腰を抜かしてその場にへたり込む四名の魔剣士。そして、丸焦げになった魔物。こうして、魔物と魔剣士の戦いはしびれを切らしたロイドと、一人の女性によって幕を閉じた。
「期待外れでしたね」
女性はロイドに駆け寄って話す。
「ゼシュ。彼らは本当に全員魔剣士なんじゃな?」
白銀の鎧に身にまとったロイドの秘書――ゼシュは表情を変えずに返答する。
「確かにDランク魔剣士の四名です。パーティー登録もしっかりと設定しました」
「全く一緒なんじゃがな……まるで弱い。いや、これが本当の魔剣士の力というべきか」
ロイドは今一度、小一時間前に見た戦闘を脳裏で思い返す。
ラビットパイルの突進を軽く受け止め、リーダーとおぼしき男性と金髪の女性で肉薄する。前衛だけで事足りていたが、リーダーである、なんといったか……あぁ、ハルトがチラリとこちらを見て、横の金髪女性に合図を送る。彼女はラビットパイルを一刀両断する寸前で、その剣を止める。
「いくよ!」という男性の掛け声と共に、後方に控えていた図体の大きな男性と、小柄なピンク色の髪をした女性が魔法を放つ。
ラビットパイルの何倍もある巨大な岩石と、そして数多の落雷。落雷の数はイアンから聞いた二十……とまではいかないものの、計八回魔物を討ち焦がした。
魔剣士四人……条件は全く一緒のはずだが、なぜ……。
「そうそう上手くはいかないか」
魔剣士の秘められた力が見つかったと思ったが、どうやら彼ら限定の力のようだ。なぜ、彼らだけが……これに関しては全くの謎だ。
「近頃頻発する異常事態に備えることができるやもしれないと思いましたが、もう少し突き詰めて研究するしかありませんね」
「そうじゃな。魔物の急激な生息域拡大とその数の増量。このままではこの街どころか、国の存続が危うい。なんとかせねば……」
人間の住まう地域に数々あるギルドの長での会合で、どのギルドマスターも口をそろえて異常事態が起きていることを話した。ディザスター内の異常事態、ディザスター外に出現する高ランク魔物。中には新種の魔物まで報告に上がった。
魔物の動きがおかしい。良くない前触れであることは間違いない。しかし、Aランク冒険者はこの街にいるライズたちの他に一パーティーのみ。
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