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第一章 動き出した英雄譚
第一話 始まりの出会い
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──彼らの物語は、暗く、深く、果てのない。夜闇に支配された広大な森の中から始まる。
夜の森で、二種類の足音が響いている。
先を走る足音は小鳥の羽音のように軽ろやかだ。
しかし時間が経つにつれ疲労からか、次第にその足音は重いものへとなっている。
対して追いかける足音は、まるで鉛のように重鈍だ。
日の落ちた森の中に、その巨大な足音は誇大に響き渡っていた。
メキメキと大樹をなぎ倒しながら進む巨大な足音は衰えを知らない。
少しずつ、だが確実に、巨影は小さな足音へと迫っていた。
「なんで私を追いかけてくるの!? あなたになにもしてないじゃないッ!!」
悲鳴混じりの悪態が、先を走る少女の口からとうとう零れる。後ろを振り返ると、黒い巨大な影は先ほどよりも更にその姿を大きくしていた。
「嘘……どんどん近づいてくる!」
少女は今、自身に宿る『風の加護』を全力で扱い、通常の人間の何倍もの速度で走っている。
文字通り風を切って、前へ、前へと驀進する。
しかし、それでも化け物を振り払うことは叶わない。
着実に縮む化け物との距離に、少女に少しずつ焦りの感情が湧いた。
今まで冷静に木の間を縫って相手との距離を引き離していた少女だったが、その健脚にも翳りが見え始め、紛乱の一途を辿っている。
爆走する両者の距離は少しずつ、少しずつ短くなっていく。
──そして、とうとう。
「あっ……」
少女の身体がぐらりと揺れた。
木の根に足を取られ、少女は派手に転んだのだ。
加速し過ぎた自身の速度を殺せず、凹凸の激しい林道を蹴り飛ばされた毬の様に転がっていく。
転がっては木々の幹に衝突するを繰り返し、少女はようやく一本の木の根元で止まった。
薄ぼけた視界になにやら異物が入る。
どうやら目元を深く切ったようで、滴る血が少女の視界を奪っていた。
負った傷はそれだけではなかった。
白くキメの細かい柔肌は全身擦り傷と痣まみれとなり、左腕に至っては本来曲がるはずのない方向へぐにゃりと折れ曲がっていたのだ。
「いっ……たい……」
全身を駆け巡る痛みの酷さに、少女は立ち上がることすらままならない。
無様なうめき声を吐き血と共に吐き出しながら、唯一動く右腕を使って再び逃走を開始する。
せめて化け物から身を隠そうと、懸命に、地べたを這いずって。
だが、それは先までの速度に比べれば余りにも遅く、赤子が這うようなものであった。
「そんな……くそっ! まだ、まだ諦めないんだから……!」
やっとの想いで、少女はぶつかった大樹の裏に自身の身をもたれかけさせた。
恐る恐る背後を伺う。
とうとう影しか見えていなかった化け物の姿は、大樹の幹越しにくっきりと視認できるほどに接近していた。
──その巨体を見た瞬間、少女はたまらず息を呑んだ。
「なんなの……こいつ……」
少女の三倍もある巨体は、狼の様な形を取っていた。
長く伸びる四本の足からは無数の剣の様な棘が生え、体毛は一本一本がまるで生命を宿すかのように蠢いている。
隆起した全身の筋肉は化け物の力強さをありありと示しており、十六の少女の矮躯などあれの突進に触れただけで微塵に弾け飛ぶだろう。
"恐剣狼"という、この森に住み着いている危険度"B"のつく、狂暴で恐るべき魔物だ。
普段は自身の縄張りを動かず、そこを通らない限り絶対に遭遇することのない魔物なのだが……どうやら彼女は、運悪く彼らの縄張りに侵入してしまったらしい。
『グォォオオオオオオオオオオ──ッ!!』
恐剣狼の雄叫びが木霊する。
少女はその咆哮にただただ身を小さくし、奥歯を小刻みに震わせることしかできなかった。
「なんで……まだ、まだ……まだなんにも出来てないのに……!」
死が高速で迫っているにも関わらず、少女の両手は愛刀を抱き締めたまま。
相変わらず少女の全身はピクリとも動かず、逃げることも叶わない。
誓いを抱いて数刻前に旅に出たばかりの少女にとって、恐剣狼との遭遇は余りにも辛く、気鬱な状況だったろう。
意図せずとも、少女の口から悲嘆の声が零れる。
「死にたくない……死にたくないよ……」
両膝を抱えて壊れた様にガタガタと震える少女に、巨大な足音は暴風の如き速さで接近する。少女の命はもう数秒とないだろう。
やがて巨大な地響きが、少女の身体を揺らす程にまで大きくなった。
「だ、誰か……誰か……」
地響きが徐々に小さくなっていく。そして少女の直前で完全に地響きは止み、数瞬の静寂の後……
──バギッ。
次の瞬間には頼りの幹は恐剣狼の顎によって無残に砕かれていた。
いびつに歪む恐剣狼の双眸と、少女の瞳が交錯する。
恐剣狼はそんな無抵抗の少女を、少し不思議そうな瞳で覗き込んだ。
だが少女が脅えているだけと判断すると──巨大な顎がパックリと割れた。
血生臭い死の吐息で息が詰まる。
恐怖で動けなくなった少女は次に襲い来る痛みから逃れるように、瞳を力いっぱい閉じて両耳を塞ぎ、喉が千切れんばかりに叫んだ。
「誰か……助けてぇぇえええ……っ!!」
……と、少女が叫び声を上げたその直後だった。
恐剣狼の居る方からブチリと肉の千切れるような音が響いた。
それから数秒が経過しただろうか。
いくら待っても恐れていた痛みは訪れず、少女は恐る恐る硬く閉じていた瞳を開いた。
目の前の光景を目の当たりにした少女は、くりくりとした大きな瞳を零れんばかりに見開いた。
「ふう、間一髪ってところか。おい、大丈夫か?」
「あ……え……?」
少女は放心していて、うまく言葉が出せていない。
まあ無理もない。
死を覚悟したその次の瞬間、眼前に返り血で全身を真っ赤に染めた青年が恐剣狼の頭を担いで立っていたのだから。
青年は、彼の上半身程もある頭を片手で軽々と持ち上げて佇む。
恐怖と安堵と驚愕と。
少女はあまりも大きな感情がごちゃ混ぜになり、声も出せなくなっていた。
そんな少女を、青年は踝まで伸びる長髪を揺らしながら不思議そうに首を傾げる。
「おーい」
青年が恐剣狼の頭を邪魔そうに投げ捨て、こちらにゆったりとした歩調で歩いてくる。
手のひらを少女の顔の前でヒラヒラと振りながら、青年はさらに怪訝そうに首を捻った。
そこまでされて、ようやく少女は我に返った。
だが、思考が回復した少女が青年の姿を見た直後、彼女に更なる衝撃が走った。
そしてそれは、放心していた少女の口を開かせるには十分すぎる物だった。
「……へ」
「へ?」
「変態──ッ!」
端正に整った顔を羞恥に歪めながら、少女は叫んだ。
それも当然だ。
青年はその身に、衣類の類を何一つ身に着けていなかったのだから。
驚愕続きで動転した少女は悲鳴と同時に、反射的に命の恩人である青年へ思い切りのいいビンタを見舞っていた。
「……あっ」
しかしビンタは当たる直前で青年の細腕に捕まり、そのまま流れるようなカウンターの拳が、綺麗に少女の鳩尾に決まった。
しまったと青年が声を上げるが時すでに遅し。
少女はグエッと潰れたカエルのような声を上げ、ぐるりと白目を剥いて気を失ってしまっていた。
ようやく静寂が訪れた森に、青年から零れた深いため息は行く宛を見失い、宵闇に浸透していった。
夜の森で、二種類の足音が響いている。
先を走る足音は小鳥の羽音のように軽ろやかだ。
しかし時間が経つにつれ疲労からか、次第にその足音は重いものへとなっている。
対して追いかける足音は、まるで鉛のように重鈍だ。
日の落ちた森の中に、その巨大な足音は誇大に響き渡っていた。
メキメキと大樹をなぎ倒しながら進む巨大な足音は衰えを知らない。
少しずつ、だが確実に、巨影は小さな足音へと迫っていた。
「なんで私を追いかけてくるの!? あなたになにもしてないじゃないッ!!」
悲鳴混じりの悪態が、先を走る少女の口からとうとう零れる。後ろを振り返ると、黒い巨大な影は先ほどよりも更にその姿を大きくしていた。
「嘘……どんどん近づいてくる!」
少女は今、自身に宿る『風の加護』を全力で扱い、通常の人間の何倍もの速度で走っている。
文字通り風を切って、前へ、前へと驀進する。
しかし、それでも化け物を振り払うことは叶わない。
着実に縮む化け物との距離に、少女に少しずつ焦りの感情が湧いた。
今まで冷静に木の間を縫って相手との距離を引き離していた少女だったが、その健脚にも翳りが見え始め、紛乱の一途を辿っている。
爆走する両者の距離は少しずつ、少しずつ短くなっていく。
──そして、とうとう。
「あっ……」
少女の身体がぐらりと揺れた。
木の根に足を取られ、少女は派手に転んだのだ。
加速し過ぎた自身の速度を殺せず、凹凸の激しい林道を蹴り飛ばされた毬の様に転がっていく。
転がっては木々の幹に衝突するを繰り返し、少女はようやく一本の木の根元で止まった。
薄ぼけた視界になにやら異物が入る。
どうやら目元を深く切ったようで、滴る血が少女の視界を奪っていた。
負った傷はそれだけではなかった。
白くキメの細かい柔肌は全身擦り傷と痣まみれとなり、左腕に至っては本来曲がるはずのない方向へぐにゃりと折れ曲がっていたのだ。
「いっ……たい……」
全身を駆け巡る痛みの酷さに、少女は立ち上がることすらままならない。
無様なうめき声を吐き血と共に吐き出しながら、唯一動く右腕を使って再び逃走を開始する。
せめて化け物から身を隠そうと、懸命に、地べたを這いずって。
だが、それは先までの速度に比べれば余りにも遅く、赤子が這うようなものであった。
「そんな……くそっ! まだ、まだ諦めないんだから……!」
やっとの想いで、少女はぶつかった大樹の裏に自身の身をもたれかけさせた。
恐る恐る背後を伺う。
とうとう影しか見えていなかった化け物の姿は、大樹の幹越しにくっきりと視認できるほどに接近していた。
──その巨体を見た瞬間、少女はたまらず息を呑んだ。
「なんなの……こいつ……」
少女の三倍もある巨体は、狼の様な形を取っていた。
長く伸びる四本の足からは無数の剣の様な棘が生え、体毛は一本一本がまるで生命を宿すかのように蠢いている。
隆起した全身の筋肉は化け物の力強さをありありと示しており、十六の少女の矮躯などあれの突進に触れただけで微塵に弾け飛ぶだろう。
"恐剣狼"という、この森に住み着いている危険度"B"のつく、狂暴で恐るべき魔物だ。
普段は自身の縄張りを動かず、そこを通らない限り絶対に遭遇することのない魔物なのだが……どうやら彼女は、運悪く彼らの縄張りに侵入してしまったらしい。
『グォォオオオオオオオオオオ──ッ!!』
恐剣狼の雄叫びが木霊する。
少女はその咆哮にただただ身を小さくし、奥歯を小刻みに震わせることしかできなかった。
「なんで……まだ、まだ……まだなんにも出来てないのに……!」
死が高速で迫っているにも関わらず、少女の両手は愛刀を抱き締めたまま。
相変わらず少女の全身はピクリとも動かず、逃げることも叶わない。
誓いを抱いて数刻前に旅に出たばかりの少女にとって、恐剣狼との遭遇は余りにも辛く、気鬱な状況だったろう。
意図せずとも、少女の口から悲嘆の声が零れる。
「死にたくない……死にたくないよ……」
両膝を抱えて壊れた様にガタガタと震える少女に、巨大な足音は暴風の如き速さで接近する。少女の命はもう数秒とないだろう。
やがて巨大な地響きが、少女の身体を揺らす程にまで大きくなった。
「だ、誰か……誰か……」
地響きが徐々に小さくなっていく。そして少女の直前で完全に地響きは止み、数瞬の静寂の後……
──バギッ。
次の瞬間には頼りの幹は恐剣狼の顎によって無残に砕かれていた。
いびつに歪む恐剣狼の双眸と、少女の瞳が交錯する。
恐剣狼はそんな無抵抗の少女を、少し不思議そうな瞳で覗き込んだ。
だが少女が脅えているだけと判断すると──巨大な顎がパックリと割れた。
血生臭い死の吐息で息が詰まる。
恐怖で動けなくなった少女は次に襲い来る痛みから逃れるように、瞳を力いっぱい閉じて両耳を塞ぎ、喉が千切れんばかりに叫んだ。
「誰か……助けてぇぇえええ……っ!!」
……と、少女が叫び声を上げたその直後だった。
恐剣狼の居る方からブチリと肉の千切れるような音が響いた。
それから数秒が経過しただろうか。
いくら待っても恐れていた痛みは訪れず、少女は恐る恐る硬く閉じていた瞳を開いた。
目の前の光景を目の当たりにした少女は、くりくりとした大きな瞳を零れんばかりに見開いた。
「ふう、間一髪ってところか。おい、大丈夫か?」
「あ……え……?」
少女は放心していて、うまく言葉が出せていない。
まあ無理もない。
死を覚悟したその次の瞬間、眼前に返り血で全身を真っ赤に染めた青年が恐剣狼の頭を担いで立っていたのだから。
青年は、彼の上半身程もある頭を片手で軽々と持ち上げて佇む。
恐怖と安堵と驚愕と。
少女はあまりも大きな感情がごちゃ混ぜになり、声も出せなくなっていた。
そんな少女を、青年は踝まで伸びる長髪を揺らしながら不思議そうに首を傾げる。
「おーい」
青年が恐剣狼の頭を邪魔そうに投げ捨て、こちらにゆったりとした歩調で歩いてくる。
手のひらを少女の顔の前でヒラヒラと振りながら、青年はさらに怪訝そうに首を捻った。
そこまでされて、ようやく少女は我に返った。
だが、思考が回復した少女が青年の姿を見た直後、彼女に更なる衝撃が走った。
そしてそれは、放心していた少女の口を開かせるには十分すぎる物だった。
「……へ」
「へ?」
「変態──ッ!」
端正に整った顔を羞恥に歪めながら、少女は叫んだ。
それも当然だ。
青年はその身に、衣類の類を何一つ身に着けていなかったのだから。
驚愕続きで動転した少女は悲鳴と同時に、反射的に命の恩人である青年へ思い切りのいいビンタを見舞っていた。
「……あっ」
しかしビンタは当たる直前で青年の細腕に捕まり、そのまま流れるようなカウンターの拳が、綺麗に少女の鳩尾に決まった。
しまったと青年が声を上げるが時すでに遅し。
少女はグエッと潰れたカエルのような声を上げ、ぐるりと白目を剥いて気を失ってしまっていた。
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