デュランダル・レコード ~ある記録者の言行録~

 記録者──記録を残す者。

 かつて冒険者と呼ばれていた者たちは、いつしかそう呼ばれるようになっていた。
 彼らが記録者と呼ばれる所以。それは、その者の生きた記録が一冊の本として残ることにあった。
 待望を秘める記録者達は、己が綴る史上の英雄譚を夢見て、今日も各地を駆け回る。

 誰もが冒険に胸を馳せるこの場所で、少女は一人の青年と出会った。

「何回負けたっていい。生きてさえいれば、必ず勝機はやってくる」

 しかしその青年の言動は、少女が憧れ、夢描く記録者とは掛け離れていた。

 英雄譚に憧れる少女と、臆病者の青年が果たした出会い。
 彼らが記す英雄譚とは、果たして──

 これは、ある記録者の言行録。
  ──【英雄の物語】──
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