滅亡後の世界で目覚めた魔女、過去へ跳ぶ

kuma3

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第1章

過去への跳躍

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空間が歪み、セレスティアの身体が強烈な衝撃に包まれた。

 ──燃え盛る炎。

 ──崩れ落ちる大地。

 ──悲鳴と怒号が混ざる世界。

 これは、彼女が生きていた未来。
 そして、決して受け入れたくない運命。

「っ……う……!」

 全身が締め付けられるような圧力。
 意識が千切れそうになる感覚を必死に堪えながら、セレスティアは歯を食いしばった。

 ──ここで終わるわけにはいかない。

 彼女は、世界を救うために過去へと跳んだのだから。

 光が視界いっぱいに広がり、次の瞬間──

 重力が急に戻る。

 強烈な衝撃とともに、セレスティアは地面に叩きつけられた。

「ぐっ……!」

 冷たい石畳の感触が背中を打つ。
 衝撃で呼吸が詰まり、しばらくの間、身体を動かせなかった。

 鼓動が激しく鳴る。
 全身が軋み、意識がぐらつく。

「おーい、生きてるか?」

 軽快な声が耳に響いた。

 セレスティアは息を整えながら、ゆっくりと視線を上げる。

「……クロノ」

「派手に落ちたな、お姫様よ」

 目の前には、宙を漂う小さな妖精──クロノが浮かんでいた。

 彼は相変わらず、お茶目な表情でからかうように笑っている。

「ぐぅ……もっと安全に着地できる方法なかったわけ?」

「あるにはあるが、俺の計算ミスだな。まあ、死んでねぇなら上出来だろ?」

 セレスティアは立ち上がり、ゆっくりと周囲を見渡した。

 目の前に広がるのは、かつての世界──まだ滅びる前の時代。

 けれど、すぐに違和感に気づく。

 この街には、魔法の気配がまるで存在しなかった。

 建物は整然と並び、清潔で均一なデザインをしている。

 だが、どこか異様だった。

 街は静かすぎた。

 人々の歩調は均一で、誰もが決められたルートを歩いているかのように見える。

 子供たちの笑い声もなければ、路上で談笑する人々の姿もない。

「……やっぱり、思った通りだな」

 クロノが浮かび上がりながら言う。

「魔法が、ほとんど存在してねぇ」

 セレスティアは拳を握る。

 ここは、戦争が始まる数十年前。
 魔法が衰退し、科学が支配し始めた時代。

 世界は、かつて知っていたものとは全く違っていた。

 ──この世界で、何が起きたのか。
 そして、どうすれば未来を変えられるのか。

「行こう、クロノ」

「おっ、やる気出てきたか?じゃあ、まずはこの時代の動きを探らねぇとな」

 セレスティアは服の裾を払うと、静かに街の中心へと歩みを進めた。
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