滅亡後の世界で目覚めた魔女、過去へ跳ぶ

kuma3

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第1章

「科学都市の支配者」

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都市の中心にそびえる巨大な塔──それは、レオナード・ファルクが統治するこの街の象徴であり、科学至上主義の権威そのものだった。

 広場の空気は異様なほど静かで、まるで生命の鼓動が抑制されたかのような違和感があった。

 空を横切る無数の金属製ドローン。
 道路には緻密な光のラインが走り、無音のホバーカーが規則的に移動する。
 行き交う市民たちは同じ規格の衣服をまとい、誰もが均一に歩調を合わせていた。

 セレスティアは足を止め、その光景に息を呑んだ。

 ――感情がない。いや、感情が抑圧されている。

 彼らは笑うこともなければ、怒ることもない。
 ただ、与えられた役割を淡々とこなしているだけだった。

 「……ここが、科学が支配する都市」

 まるで実験場のようなこの世界を見て、セレスティアは胸の奥に冷たいものを感じる。

 監視の目は、すでに彼女を捉えていた。

 広場の中央、一人の男が静かに佇んでいた。

 レオナード・ファルク。

 黒の軍服に身を包み、長身の体を貴族のようにまっすぐ伸ばしている。
 銀色の髪は整えられ、鋭い灰色の瞳がセレスティアを見据えていた。

 彼の背後には、整然と並ぶ機械兵たち。
 完全自律型の戦闘機械は、命令を受けた瞬間、ただ正確に実行するだけの"道具"だった。

 「……ようこそ、魔法の亡霊よ」

 レオナードの声は静かだった。しかし、その一言が、広場の空気を一変させた。

 セレスティアはまっすぐ睨み返す。

 「あなたが魔法を根絶した張本人ね」

 レオナードはわずかに微笑み、手を組んだ。

 「根絶? 違うな。私はただ、非合理な力を排除しただけだ」

 背後で、機械兵たちが僅かに動く。

 「魔法など、曖昧で不完全なものにすぎない。科学こそが人類の未来を築く唯一の道だ」

 セレスティアは小さく息を吸い、拳を握りしめた。

 この男は、魔法を"無価値なもの"と決めつけている。

 「魔法はただの力ではない。それは、人々の希望でもあった」

 セレスティアの声が、広場の市民たちへと響いた。

 「かつて、魔法は人々を守り、癒し、導いていた。だが、あなたたちはそれを奪った。力に支配されることを恐れ、科学という檻に人々を閉じ込めた」

 レオナードの灰色の瞳が一瞬揺れる。

 「……希望、か」

 低く呟き、彼はゆっくりと目を閉じた。

 「幻想だ。希望など、人類には必要ない。秩序こそが、唯一の真実だ」

 彼が手を挙げると、広場の上空に無数の監視ドローンが出現し、セレスティアへと鋭いレーザーの照準を合わせた。

 「君の存在は、過去の遺物にすぎない。この場で排除しよう」

 警報が鳴り響く。

 「対象確保。魔法適正者、レベルS+と判定」

 ドローンが無数の光弾を放つ。

 セレスティアは咄嗟に飛び退いた。

 だが、魔力は封印されたまま――。

 歯を食いしばる。

 このままでは……!

 背後から、重厚な金属音。

 機械兵が迫っている!

 冷静に状況を把握し、瞬時に判断する。

 「クロノ! ここから脱出する方法は!?」

 耳元で、タイムマシンの妖精が鋭く囁いた。

 「東の路地! そこに"魔法の痕跡"が残ってる!」

 セレスティアは即座に動いた。

 レーザーが地面を焼き、機械兵が迫る中、狭い路地へと飛び込む。

 背後では、冷徹な声が響いていた。

 「逃がすか……」

 レオナードの指示のもと、都市の監視システムが即座に対応する。

 「ターゲットの移動経路を予測。逃亡率 5.8%」

 AIドローンが無機質な声で宣告した。

 しかし、セレスティアはまだ諦めてはいなかった。

 「私には、魔法がある……!」

 封印された力が、わずかに揺れる感覚。

 彼女は、追い詰められながらも希望を手にするために走り続けた――。
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