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なんとか準備をさせたタイガはうとうとするユキオにご飯をどうにかこうにか食べさせると、二人並んで学校までの道のりを歩く。
ユキオはというとまだ眠たそうにとろんとした目をしていた。食事中も箸を持ったまま寝ていた癖にまだ寝る気なのか。
こういう時のユキオは危ないのでカバンは取り上げた。今はタイガが自身のリュックと一緒にユキオのスクールバッグを引っさげている。
タイガはケータイをポケットから取り出すと時間を確認した。
さて、いつも通りならばそろそろ次の日課が待っているはずである。
今日は何処から来るかなとタイガはあたりを見回した。
「……ユ、ユキオくん……!」
突然、後ろから男が飛び出してきてユキオに抱きつこうと飛びついていくのが見えた。
抱きつかれる瞬間、ユキオは横へくるりと一回転する事で避けるとそのまま相手の手首をひっ掴み前方へと放り出す。
突っ込んでくる男をタイガがひょいと避けると、ズベシャっと間抜けな音を立てて男が道路をスライディングしていった。道路に土煙が立つ。
「……ウザい」
抱きつかれそうになった本人は機嫌悪そうにしかめっ面をすると冷めた目で男を見やった。
――やはり鞄は預かっておいて正解だった。
預からなかったらおそらく問答無用でぶっ叩いたかもしれない。今日は厚みのある教科書が多いのだ。下手したら相手が卒倒しかねない。
何が起きたのかよく分かっていない様子で戸惑う男の首根っこをタイガが掴む。
「朝から何してんだ」
「うひ……っ!!べ、別に!ただ僕はゆゆ、ユキオ君に会いたくて……」
「ただ会いたいだけで抱きつく奴がどこにいんだよ。つーかお前この前もう近づくなって警察にも言われたばっかだろ」
遠くからパトカーの音がする。ユキオが呼んだらしい。ケータイを耳に当てているのが見えた。
暫くしてやってきた警察官はタイガ達を見るとすぐ様男を立たせて連行する。
もうこれで3度目なので向こうも事情は重々承知である。というか、日々別のストーカーやら変質者騒ぎでお世話になっているので顔パスのような扱いになっている。
あまりなりたくない顔パスだ。
一応その場で軽い事情聴取を受けたのち、連れられていく男を見送り二人は学校への道を歩き始めた。
歩き始めてすぐ、タイガは隣を見やる。
「大丈夫か?」
分かってはいたが一応尋ねるとユキオはフン、と鼻を鳴らした。
「当たり前」
触れられそうになったのが不快なのか、触れてもいないのに彼は自身の服を払った。
合気道を習っているので筋肉はしっかりとついているが、無駄な筋肉はなく腰が細い。背丈もタイガには及ばないものの、標準は超えているので足も長い。
だというのに顔つきは中性的で所謂美人顔だ。
今のでわかってもらえるとは思うが、この幼馴染みは老若男女問わず物凄くモテる。
たとえ本人の性格が他人に対して毒しか吐かない冷めた性格だとしても、こうして日々ストーカーに追いかけ回される程度には相手を夢中にさせる気質を備えていた。
というか、その冷めた性格がまた彼らを燃え上がらせるらしい。
そのまま燃え尽きてしまえ!
そういえば、ユキオが初めて酷い目に遭ったと聞いたのはいつだったか。
ハルコさんと一緒に公園にいた幼いユキオを誘拐しようとした所にたまたま巡回で居合わせた警察官が遭遇しことなきを得たらしい。
当時のことはユキオも何となく覚えているらしく、昔怖かったとたまたま溢れるように吐露したことがあった。
それを聞いてから、タイガはユキオを守るような行動を起こすようになった。
誰かが近づけば彼の前に立ち、相手がどんな人間なのか会話の中から見定める。
元々人見知りしない性格もあって、人とコミュニケーションを取るのは得意だった。
それを活かして相手にそういった感情を見つけると全力でユキオから引き離した。
そうして幼いながらにユキオを守ってきたのだが、この時はまだ大人の強い悪意に触れたことなど無かった。
タイガにとって印象深いのはそれから数年後のこと。
まだ二人とも小学校に上がったばかりだった。その日は観光客の多い神社で当時流行っていたゲームをしていたと記憶している。
簡単に説明してしまえばその時に仲良くなったお兄さんがユキオを誘拐しようとしたのだ。それも、最初に警察に捕まった男と兄弟だった。
当時はまだ幼く、好きなゲームの話で盛り上がり普段の警戒心がつい緩んでしまった。
ちょっとした隙をついてユキオは薬で眠らされ、タイガもまた酷い暴力を受けた。
しかしその時の教訓からタイガはユキオを守ろうと強く心に誓ったのだ。
10年近く経った今でもタイガの中にその誓いはくすむこと無く真っ直ぐと立っている。
それは幼い頃から変わらず、ユキオもまたそれを当たり前として受け止めていた。
誰がなんと言おうと、これがタイガの日常なのである。
ユキオはというとまだ眠たそうにとろんとした目をしていた。食事中も箸を持ったまま寝ていた癖にまだ寝る気なのか。
こういう時のユキオは危ないのでカバンは取り上げた。今はタイガが自身のリュックと一緒にユキオのスクールバッグを引っさげている。
タイガはケータイをポケットから取り出すと時間を確認した。
さて、いつも通りならばそろそろ次の日課が待っているはずである。
今日は何処から来るかなとタイガはあたりを見回した。
「……ユ、ユキオくん……!」
突然、後ろから男が飛び出してきてユキオに抱きつこうと飛びついていくのが見えた。
抱きつかれる瞬間、ユキオは横へくるりと一回転する事で避けるとそのまま相手の手首をひっ掴み前方へと放り出す。
突っ込んでくる男をタイガがひょいと避けると、ズベシャっと間抜けな音を立てて男が道路をスライディングしていった。道路に土煙が立つ。
「……ウザい」
抱きつかれそうになった本人は機嫌悪そうにしかめっ面をすると冷めた目で男を見やった。
――やはり鞄は預かっておいて正解だった。
預からなかったらおそらく問答無用でぶっ叩いたかもしれない。今日は厚みのある教科書が多いのだ。下手したら相手が卒倒しかねない。
何が起きたのかよく分かっていない様子で戸惑う男の首根っこをタイガが掴む。
「朝から何してんだ」
「うひ……っ!!べ、別に!ただ僕はゆゆ、ユキオ君に会いたくて……」
「ただ会いたいだけで抱きつく奴がどこにいんだよ。つーかお前この前もう近づくなって警察にも言われたばっかだろ」
遠くからパトカーの音がする。ユキオが呼んだらしい。ケータイを耳に当てているのが見えた。
暫くしてやってきた警察官はタイガ達を見るとすぐ様男を立たせて連行する。
もうこれで3度目なので向こうも事情は重々承知である。というか、日々別のストーカーやら変質者騒ぎでお世話になっているので顔パスのような扱いになっている。
あまりなりたくない顔パスだ。
一応その場で軽い事情聴取を受けたのち、連れられていく男を見送り二人は学校への道を歩き始めた。
歩き始めてすぐ、タイガは隣を見やる。
「大丈夫か?」
分かってはいたが一応尋ねるとユキオはフン、と鼻を鳴らした。
「当たり前」
触れられそうになったのが不快なのか、触れてもいないのに彼は自身の服を払った。
合気道を習っているので筋肉はしっかりとついているが、無駄な筋肉はなく腰が細い。背丈もタイガには及ばないものの、標準は超えているので足も長い。
だというのに顔つきは中性的で所謂美人顔だ。
今のでわかってもらえるとは思うが、この幼馴染みは老若男女問わず物凄くモテる。
たとえ本人の性格が他人に対して毒しか吐かない冷めた性格だとしても、こうして日々ストーカーに追いかけ回される程度には相手を夢中にさせる気質を備えていた。
というか、その冷めた性格がまた彼らを燃え上がらせるらしい。
そのまま燃え尽きてしまえ!
そういえば、ユキオが初めて酷い目に遭ったと聞いたのはいつだったか。
ハルコさんと一緒に公園にいた幼いユキオを誘拐しようとした所にたまたま巡回で居合わせた警察官が遭遇しことなきを得たらしい。
当時のことはユキオも何となく覚えているらしく、昔怖かったとたまたま溢れるように吐露したことがあった。
それを聞いてから、タイガはユキオを守るような行動を起こすようになった。
誰かが近づけば彼の前に立ち、相手がどんな人間なのか会話の中から見定める。
元々人見知りしない性格もあって、人とコミュニケーションを取るのは得意だった。
それを活かして相手にそういった感情を見つけると全力でユキオから引き離した。
そうして幼いながらにユキオを守ってきたのだが、この時はまだ大人の強い悪意に触れたことなど無かった。
タイガにとって印象深いのはそれから数年後のこと。
まだ二人とも小学校に上がったばかりだった。その日は観光客の多い神社で当時流行っていたゲームをしていたと記憶している。
簡単に説明してしまえばその時に仲良くなったお兄さんがユキオを誘拐しようとしたのだ。それも、最初に警察に捕まった男と兄弟だった。
当時はまだ幼く、好きなゲームの話で盛り上がり普段の警戒心がつい緩んでしまった。
ちょっとした隙をついてユキオは薬で眠らされ、タイガもまた酷い暴力を受けた。
しかしその時の教訓からタイガはユキオを守ろうと強く心に誓ったのだ。
10年近く経った今でもタイガの中にその誓いはくすむこと無く真っ直ぐと立っている。
それは幼い頃から変わらず、ユキオもまたそれを当たり前として受け止めていた。
誰がなんと言おうと、これがタイガの日常なのである。
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