ゴーレム使いの成り上がり

喰寝丸太

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第二部 成り上がり編

第33話 回路開発

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「フィオレラ、今日から魔道具作りをやるぞ。一日中やるのも飽きるから午前だけだ。午後は自由時間だ。それと利益の分配だが三分一を俺が残りをフィオレラにしたい」
「はい分かりました。それと魔道具はどうしたら、上手く作れますか?」

 同僚の新入社員が仕事の取っ掛かりが掴めない時、こんな表情していた。

「そうだな、まずこういうのは流れを設計する」

 フローチャートを描いてみせる。

「難しいですね」

 プログラムは出来る人と出来ない人がいる。しょうがない。

「フィオレラが無理なようなら俺がやるよ」

 フローチャートから文言を考えだして紙に書く。

「さあ試してくれ」

 生活魔法の魔道具を色々フィオレラに作ってもらう。
 できた魔道具を色々試す。

「ありゃ失敗したのがある。失敗した魔道具どうしよう」
「こうすれば大丈夫です【回路魔法】【初期化】」

 魔道具の色が青から赤になる。

「回路魔法って追加で書き込めたりするの」
「上書きされるみたいです」
「そういえば、なんで自分の持ってるスキルの機能しか作成できないんだ」
「それは神様からスキルと一緒に貰った知識によると。スキルを覚えると頭の中に魔力の回路ができるそうです。それを複写して使っています」
「そうかアビリティじゃ駄目なんだ。これからフィオレラにはスキルを沢山覚えてもらわないと」
「ええ、頑張ります」
「こういう作業しているとデバッカーとエディタのスキルがほしい。欲をいえば統合開発環境が欲しい。神様お願い駄目だろうな」

「大変です。またもやスキル授かってしまいました。回路開発スキルです」
「まさか本当に出来てしまうとは使えるスキルならどんどん使おう。どんな感じのスキルなんだ」
「使ってみます。【回路開発】なんか触れない板が出てきました。ここに文言を入れるのですね。そして仮想実行と。なるほどいまどの文言が行使されてるのか分かるのですね」
「どうだ、便利そう?」
「ええ、魔石を使わないで失敗が分かります。便利ですね。作った文言も読み上げないで魔石に入れられます」
「よし、回路開発スキルを色々試しながら魔道具を作るぞ」



「だいぶ魔道具を作ったな飯にしよう」
「今あるのは腸詰とパンと浅漬けです」
「よし食うか」

 腸詰とパンの組み合わせは良いと思う。
 でも浅漬けはどうかな。
 サラダの一種だと思えばこれも有りか。
 しかし、米が欲しい。
 麦が代用にならないかな。
 戦時中の話で麦百パーセントのご飯を食った話がある。
 懐かしがって年を取ってから再び試したら、食えたもんじゃなかったと言っていた。
 食料を粗末にするのはどうかと思うから試さない事にしよう。
 さて昼飯も食ったし納品に行こう。



 商業ギルドに行ってクリフォードさんを呼び出す。

「こんにちは、たびたびすいません。作り置きの魔道具があったので持って来ました」
「あれはっ、どうなっているのですかぁ!!」

 かなり興奮状態のクリフォードさん何かまずったかな。

「あれと言うと」
「サンプルで置いていった魔道具です」
「何かありました?」
「信用の置ける契約魔法の使い手に試しに魔道具を作ってもらったのです」
「条件を色々つけると魔力が足りないのですよ。サンプルの機能を再現するには魔力が推定で二百は要ると」

 何か言い訳が必要かも。

「魔力が多いある方にお願いして作ってもらいました」
「それだけではありません。魔力がなくなっても魔法が解除されないのはどうしてですか?」
「そこは秘術としか言いようが無いですね。ある特殊な技術を使ってます。青の魔道具はしばらく魔力が補充されないと解除されるそうです」
「作った方を紹介して欲しいのですが」

 良い事を思いついた。
 フィオレラには熟練の魔法使いになってもらおう。

「あれを作った方は水魔法が使えまして。それと魔獣の討伐が嫌なのだそうです。一時期迫害されていた時がありまして察して下さい」
「討伐が嫌いな魔法使いですか。なるほど異端ですね。魔法使いだから魔力量が多いと」
「そろそろ持ってきた魔道具を見せてもいいですか?」

 魔道具をテーブルの上に並べた。

「貼ってある付箋に説明がありますな。こちらは筋力強化。これは罪状確認。おおっ、魔力鑑定もあります。そして生水、洗浄と才のある方が作られたのが分かります」

 スキル鑑定の魔道具はわざと作らなかった。
 スキル鑑定をフィオレラに使われるとまずいからだ。

「ええ、そうなんです才能のある方で」
「長い間職業を転々とされたのですな。そうでなければ説明がつきません」
「まあその辺は色々あったとしか」
「ある方の詮索は止めておきます。代金は口座に振り込んでおきます」

 うまく騙されてくれたかな。
 たぶん疑っているのだろう。
 商業ギルドのやり手の職員に見えるから、あまり突いて他に話しを持っていかれるのを嫌ったと思う。
 成り上がれたら、支障の無い範囲で本当の事を話そう。

「また商品ができたら、持ってきます」

 材料の魔石と銀を仕入れ、家に配達してもらう。
 ちょっと思いついたのでその材料も仕入れる。



 さて思いつきを試しにいこうか。
 着いた所は道場だ。
 思いついた事というのは杖ゴーレムはせっかくゴーレムなのにその特性が活かせてない。
 だからそれを少し改善する。
 仕入れた魔木で杖ゴーレムを作った。
 もちろんこのゴーレムでは魔術は放てない。

「こんにちは、師範、今日はちょっと特殊なお願いがありまして」
「なんだ言ってみろ」
「これでもゴーレム使いなので得物をゴーレムにしました」
「それは何ができるんだ」
「例えばこうです」

 杖ゴーレムをヌンチャクの様に振り回す。
 そして杖に戻しジグザグに曲げてから伸ばしながら突きを放つ。

「ははははっ面白い。普通そんな事はしない。ゴーレム使いの武術と言えばゴーレムに武器を持たせて操るのが普通だ」
「どうです。意表ぐらい突けると思います」
「武術の才能が有れば。開祖になれたかもな。とりあえず二節棍の型はあるから教えてやる」

 師範も興が乗ったのか必殺技を一緒に考えてくれた。
 商業ギルドから材料が届くので急いで帰る。
 家の外でちょうど帰るところのフィオレラとローレッタにばったり出会った。

「二人とも今帰りか」
「馬ゴーレムを習いに行ってました」
「弓ば練習したった」
「俺は道場だ」

 覚えたばかりの杖ゴーレムのトリッキーな動きを披露する。

「それはちょっと」
「言いたくは無ぇだばって虫だ」

 受けは悪かった。
 どっちかというと気持ち悪い物を見る目だ。
 グニャグニャ動くのがいけないのか。
 封印かなまあこんな事もあるさ。
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