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第二部 成り上がり編
第60話 領主
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先送りになっていたスティンガーミサイルとロケットランチャーの魔道具の製作に入った。
進みが最初ゆっくりなので誘導ミサイル型の魔道具を開発する。
推進、誘導、起爆と三つの魔石を使った魔道具が完成した。
テストはオーガの領域で行い。
素早い魔獣に撃った時に接近されてミサイルの爆発に巻き込まれそうになったので敵味方識別機能を作った。
識別は誘導の魔道具に登録された魔力量の者が引っ掛かった時に自爆するようにする。
全く同じ魔力量の魔獣や人間は識別できないが問題ないだろう。
ミサイルは誰に装備してもらうか考えた結果ローレッタに装備して貰うことにした。
ある日ハンターギルドに行くとギルドマスターに呼ばれた。
またやっかい事かな。
「シロク、領主様がな秘密裏に会いたいだとさ」
「拒否できませんよね」
「そのとおりだ。裏に馬車が用意してある諦めて行ってこい」
「分かりました」
馬車に乗るとまもなく走り始め都市の一番奥にある城の所で止まった。
生活物資を運び入れる用途の門から中に入り、執事らしき人に案内されて、質素な部屋に入る。
中にはかなり鍛えている中年の男が待っていた。
「失礼します」
「アドラム侯爵のサミュエルである」
低い声は渋く眼光の鋭さが凡人ではないのを物語っている。
「ゴーレム使いのシロクです」
「魔法使いの間違いであろう」
「表向きはゴーレム使いです魔法スキルは持ってません」
「そのほう、ドラゴンを一撃で倒したとか」
この人もギルドマスターと一緒で手口が知りたいのかな。
とぼけられるのなら誤魔化そう。
「秘術を使いまして」
「どうだ、娘の婿にならんか?」
なんだ勧誘のたぐいの話だったのか。
「お断りします。Sランクになり貴族になる予定です」
「その気概は素晴らしい娘の婿になったからハンターを辞めろとは言わん」
「何故にそんなに私を買っているのです」
「領地を持つ貴族は国を運営しているのと変わらん」
「それは分かるような気もします」
「貴族同士の付き合いは外交とも言える。外交はなんだと思うね」
「根回しとか情勢などですか」
侯爵は首を横に振り否定し、力の篭った声で話し出す。
「発言力が全てだ。発言は武力に裏付けされなければ意味を持たん」
つまり、力の信奉者なのだな。
武門の家柄なのかも。
「つまり、武力を持った所が正義だと」
「武力は民衆の力でも軍師の策略でも金の力でも暗殺者軍団でも構わん」
「それで私にどうしろと」
「大国はあらゆる武力を集める。貴族も武力を集める事を怠ってはいけないという事である」
「それで手駒になれと」
どうするべきか。Sランクになればどうせどこかの貴族の下に入る。
上手くこの機会を利用すべきだろう。
「それならAランクの推薦状を書いて下さい。Sランクになった時に侯爵様の派閥に入ります」
「会ったばかりのわしを信用して良いのか?」
「派閥は正当な理由があれば抜けれると思うのですが」
「蝙蝠は嫌われる」
「ハンター上がりの貴族など最初から嫌われていると思います。今更です」
「そうかなら、ドラゴン討伐の褒美として、推薦状をかいてやる。後で届けさせる。もう下がってよい」
「失礼いたしました」
ふう、なんとかなった。へたれには偉い人との交渉は心臓に悪い。
推薦状は次の日に届き。ギルドに提出するとギルドマスターに呼ばれた。
手口について聞かれるのかな。
「シロクです」
「上手くやったなSランクになると侯爵に啖呵切ったらしいな」
「何故それを」
「侯爵とは古い付き合いでな手紙を貰った」
「Aランクは取り消しですか?」
「いいや手負いとはいえドラゴンを一撃で倒せるのならAランクは相応しいだろう」
「ではどんな御用ですか?」
「ワイバーンの動きがおかしい。何か起こるかもしれん」
「ワイバーン対策を考えておきます」
どうやら手口追求は当分できないらしい。良い気味だ。
「期待してるぜ。大魔法使い」
「その大魔法使いって何ですか?」
「噂になってる。ドラゴン一撃だ。霧を晴らしただの色々飛び交ってる」
「そうですか。失礼しました」
窓口で手続きして無事Aランクになった。
ハンターギルドでは大魔法使いという囁き声が幾つか聞こえる。
まあいいか。
どうせSランクになれば有名になる。
パーティメンバーでお祝いしてもらう。
その後はオーガの領域で狩りをする日々を過ごした。
ある日ギルドに入ると女性職員が耳打ちしてきた。
ギルドマスターが呼んでいるらしい。
「おうシロクか。困った事になった」
「厄介事ですか?」
「特大のな。ワイバーンが放浪に出た」
「放浪ってなんです」
「数百年に一回起こる事だ。増えすぎたワイバーンの半分が群れになって放浪する」
「途中にある町や村に被害が出るという事ですか?」
「ある国では十もの都市がやられた記録がある」
「ワイバーンの数は」
「二十一だ。こんな事になるから、間引きの人員と予算をよこすように言ったのに、どいつもこいつも」
「ハンターの一軍をもって当るというのはどうですか?」
「めぼしい所は全部声を掛けたが断られた」
「そうですか。成功したら、Sランクにしてくれると言うならやってみます」
「そうかやってくれるか?」
「失敗しても責任は問わないのであればやります」
「ここに至ってはしょうがない。Sランクもなんとかしよう」
「準備に三日下さい」
「分かった必要な物があれば言ってくれ」
「では失礼しました」
まずは資料室でワイバーンの詳しい生態を調べる。
まずワイバーンは日向ぼっこが好きらしい。
この事から爬虫類もしくは寒いのが苦手と見た。
この辺りは冬でも最低気温が十度を下回らないほど温暖らしい。
冷やすのを軸にワイバーンの対策を考える。
放浪について調べる。
放浪の最中はとにかく餌を沢山食べるらしい。
飛ぶ為のエネルギーと推測が書いてあった。
その代わり進行速度はゆっくりになるから、進路予想は立て易いらしい。
さて帰って準備だ。
進みが最初ゆっくりなので誘導ミサイル型の魔道具を開発する。
推進、誘導、起爆と三つの魔石を使った魔道具が完成した。
テストはオーガの領域で行い。
素早い魔獣に撃った時に接近されてミサイルの爆発に巻き込まれそうになったので敵味方識別機能を作った。
識別は誘導の魔道具に登録された魔力量の者が引っ掛かった時に自爆するようにする。
全く同じ魔力量の魔獣や人間は識別できないが問題ないだろう。
ミサイルは誰に装備してもらうか考えた結果ローレッタに装備して貰うことにした。
ある日ハンターギルドに行くとギルドマスターに呼ばれた。
またやっかい事かな。
「シロク、領主様がな秘密裏に会いたいだとさ」
「拒否できませんよね」
「そのとおりだ。裏に馬車が用意してある諦めて行ってこい」
「分かりました」
馬車に乗るとまもなく走り始め都市の一番奥にある城の所で止まった。
生活物資を運び入れる用途の門から中に入り、執事らしき人に案内されて、質素な部屋に入る。
中にはかなり鍛えている中年の男が待っていた。
「失礼します」
「アドラム侯爵のサミュエルである」
低い声は渋く眼光の鋭さが凡人ではないのを物語っている。
「ゴーレム使いのシロクです」
「魔法使いの間違いであろう」
「表向きはゴーレム使いです魔法スキルは持ってません」
「そのほう、ドラゴンを一撃で倒したとか」
この人もギルドマスターと一緒で手口が知りたいのかな。
とぼけられるのなら誤魔化そう。
「秘術を使いまして」
「どうだ、娘の婿にならんか?」
なんだ勧誘のたぐいの話だったのか。
「お断りします。Sランクになり貴族になる予定です」
「その気概は素晴らしい娘の婿になったからハンターを辞めろとは言わん」
「何故にそんなに私を買っているのです」
「領地を持つ貴族は国を運営しているのと変わらん」
「それは分かるような気もします」
「貴族同士の付き合いは外交とも言える。外交はなんだと思うね」
「根回しとか情勢などですか」
侯爵は首を横に振り否定し、力の篭った声で話し出す。
「発言力が全てだ。発言は武力に裏付けされなければ意味を持たん」
つまり、力の信奉者なのだな。
武門の家柄なのかも。
「つまり、武力を持った所が正義だと」
「武力は民衆の力でも軍師の策略でも金の力でも暗殺者軍団でも構わん」
「それで私にどうしろと」
「大国はあらゆる武力を集める。貴族も武力を集める事を怠ってはいけないという事である」
「それで手駒になれと」
どうするべきか。Sランクになればどうせどこかの貴族の下に入る。
上手くこの機会を利用すべきだろう。
「それならAランクの推薦状を書いて下さい。Sランクになった時に侯爵様の派閥に入ります」
「会ったばかりのわしを信用して良いのか?」
「派閥は正当な理由があれば抜けれると思うのですが」
「蝙蝠は嫌われる」
「ハンター上がりの貴族など最初から嫌われていると思います。今更です」
「そうかなら、ドラゴン討伐の褒美として、推薦状をかいてやる。後で届けさせる。もう下がってよい」
「失礼いたしました」
ふう、なんとかなった。へたれには偉い人との交渉は心臓に悪い。
推薦状は次の日に届き。ギルドに提出するとギルドマスターに呼ばれた。
手口について聞かれるのかな。
「シロクです」
「上手くやったなSランクになると侯爵に啖呵切ったらしいな」
「何故それを」
「侯爵とは古い付き合いでな手紙を貰った」
「Aランクは取り消しですか?」
「いいや手負いとはいえドラゴンを一撃で倒せるのならAランクは相応しいだろう」
「ではどんな御用ですか?」
「ワイバーンの動きがおかしい。何か起こるかもしれん」
「ワイバーン対策を考えておきます」
どうやら手口追求は当分できないらしい。良い気味だ。
「期待してるぜ。大魔法使い」
「その大魔法使いって何ですか?」
「噂になってる。ドラゴン一撃だ。霧を晴らしただの色々飛び交ってる」
「そうですか。失礼しました」
窓口で手続きして無事Aランクになった。
ハンターギルドでは大魔法使いという囁き声が幾つか聞こえる。
まあいいか。
どうせSランクになれば有名になる。
パーティメンバーでお祝いしてもらう。
その後はオーガの領域で狩りをする日々を過ごした。
ある日ギルドに入ると女性職員が耳打ちしてきた。
ギルドマスターが呼んでいるらしい。
「おうシロクか。困った事になった」
「厄介事ですか?」
「特大のな。ワイバーンが放浪に出た」
「放浪ってなんです」
「数百年に一回起こる事だ。増えすぎたワイバーンの半分が群れになって放浪する」
「途中にある町や村に被害が出るという事ですか?」
「ある国では十もの都市がやられた記録がある」
「ワイバーンの数は」
「二十一だ。こんな事になるから、間引きの人員と予算をよこすように言ったのに、どいつもこいつも」
「ハンターの一軍をもって当るというのはどうですか?」
「めぼしい所は全部声を掛けたが断られた」
「そうですか。成功したら、Sランクにしてくれると言うならやってみます」
「そうかやってくれるか?」
「失敗しても責任は問わないのであればやります」
「ここに至ってはしょうがない。Sランクもなんとかしよう」
「準備に三日下さい」
「分かった必要な物があれば言ってくれ」
「では失礼しました」
まずは資料室でワイバーンの詳しい生態を調べる。
まずワイバーンは日向ぼっこが好きらしい。
この事から爬虫類もしくは寒いのが苦手と見た。
この辺りは冬でも最低気温が十度を下回らないほど温暖らしい。
冷やすのを軸にワイバーンの対策を考える。
放浪について調べる。
放浪の最中はとにかく餌を沢山食べるらしい。
飛ぶ為のエネルギーと推測が書いてあった。
その代わり進行速度はゆっくりになるから、進路予想は立て易いらしい。
さて帰って準備だ。
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