転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

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第24章 勧誘のドラゴン

第143話 議会始まる

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 王城と言うには情けない、殆んど急ごしらえの砦を前に、ミレニアム王国の国民が集まった。

「ここに、ミレニアム王国の建国を宣言する」
「なぜ、リトワースではないのだ」

 ミニアが宣言して、ざわつくリトワースの民。

「母体は確かにリトワースの民だ。しかし、他国の者もいる。心機一転、出直すのだ」

 ミニアの返答は俺が用意した。
 こういう事を言われるだろうなとは思っていたからな。

「それでは王国の無念はどうなるんです。復讐を諦めろと」
「そうだ。新たな王国に過去の怨念は要らない。異議のある者は去れ」

 リトワースの民が静まり返る。
 血の気の多い不穏分子は去って欲しいところだ。
 そんな奴は要らない。

「ミレニアム王国の理念は争いのない世界。こちらからは戦争を絶対に仕掛けない。それを国是とする」

 リトワースの民以外は拍手して喝采した。
 リトワースの民も最初は渋っていたが、やがて喝采に加わった。

 ふぅ、なんとかなったな。
 後は議員を選出して、政治を任せるだけだ。

 俺はホレイルを呼び出した。

「選挙を実施しろ」
「選挙とはなんですかのう?」
「民の全てが投票して国の舵取りをする人間を選ぶのだ」
「ほう、貴族を投票で選ぶと」
「そうだ。ミニアは政治に極力係わらない」
「いくら、あなたがミニア様の師匠でも、飲めない提案じゃ」
「ミニアには了承をとってある」

「それで、あなたはどうするのかのう?」
「俺か。俺は守護者になる。権力も金も名声もいらない。ただ、守護者としてあるだけだ」
「それは一介の兵士と同じと考えてよろしいので」
「おうそうだ」
「分かりましたのじゃ。守護者の肩書きを用意するわい」

 そして、すぐさま選挙が行われた。
 トップ当選はなんと俺。
 次点はミニア。
 次はホレイル。
 族長も当選して、暗部の頭領も当選したようだ。
 議員の数は二十名。

 次からは立候補しないと議員になれない規則を作ろう。
 ミニアを議員にするつもりはなかったが、なってしまったものは仕方ない。

 ホレイルは選挙の仕組みに馴染みがないので、だいぶ苦労したようだった。
 穴も多数ある。
 そういうのは追々、決めていけばいいだろう。
 決めないといけない事は沢山ある。
 観衆公開の下に第一回の国会が開かれた。

「議長をまず決めないと。俺はホレイルを推薦する」

 一同が頷き同意はとれた。

「ではわしが勤めさせて頂く。まず問題点を上げてほしいのじゃ」
「もっとちゃんとした道が無いと困ります」

 今道は獣道程度の幅しかなく、街道とはとても呼べない。

「植物魔獣を駆逐しないと安心できないな」
「防衛体制はどうなっている。早急に対処せねば」
「食料生産の為の開拓も必要だ」

「皆の者。全てドラゴンにお任せだ」

 ミニアの奴。俺に全部振る気だ。
 確かにめんどくさい事は引き受けると事前の相談でそうなっていた。
 しゃあないやりますか。

「選挙の規則が要る。立候補しないと候補者になれないとか。賄賂の禁止とか。演説の仕方とか」

 俺がそう言うと皆はぽかんとした顔をしていた。

「さすがミニア様の師匠。見事な見識で」
「そうですな。大魔法使いなだけはある」

 日本に暮らしていればこれぐらいは誰でも分かる。
 非常に照れくさい。
 まあ、選挙になれていないのだろうな。

「では、選挙の規則はみなで決めるとしまして、後の事案はドラゴンが片付けるという事で決まりじゃな」
「こういう場合は議員で決を取る。賛成は挙手でどうだろうか」
「お詳しいですな。挙手で決を取る。皆さんどうですかいのう」

 議員全員が挙手した。
 賛成多数で決まった。

「先ほどの案はどうするか決をとりたい」

 今度は上げなかった人がいる。

「意見があるみたいだ。聞いてみたら」
「意見があるなら述べよ」

「防衛はリトワースの民に任せてほしい」
「それは良いな。ドラゴンがここに居座るとミニアが使えなくて困る」

「ではリトワースの民に防衛させるという提案はどうじゃ」

 全員が挙手した。

 こんな感じで議会は始まった。
 細かい規則を決めるのは他人に任せたい。
 俺も国会の規則なんて、ほとんど知らないからな。

 そうだ、戸籍を作らないと。
 放浪の民も全員の名簿を作りたい。
 うわー、めんどくさい。
 俺はやりたくない。
 優秀な文官が沢山いる。
 とりあえずは建国クラブのメンバー全員を文官にしよう。
 宰相を決めたいが、一人に権力が集中するのは避けたい。
 となると議員から首相を選出だな。
 議会の解散の仕組みも作らないと。
 ほんとにめんどくさい。
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