30 / 84
第5章 炊き出しで始まる布教活動
第30話 聖女
しおりを挟む
俺は開拓地に来ていた。
家が先遣隊によって建て始められて、村が出来つつある。
村の周りにはチンピラヴァンパイアによって畑が開墾されていた。
村に入ると先遣隊の五人を呼んだ。
「ご苦労様です。嗜好品と調味料などを持ってきました」
「ありがたいです」
「作物の種も持って来たので畑に植えるといいでしょう」
「そうですね。いいかげん、もろこしにも飽きました」
「ヴァンパイアに護衛を頼んで定期的に村と交易するといいですよ」
「ええ、そうします」
「ここの暮らしはどうですか」
「やりがいはありますね。土地持ちになれるのですから」
「ヴァンパイアってもっと恐いと思っていたぜ」
「禁忌持ちも差別職も考えてみれば一緒です。平等です」
「それな。禁忌持ちの印象が変わったよ」
先遣隊の意見は好意的だ。
問題は一般の人達を移住させる場合だろうな。
「また、来ます」
そう言って村を後にした。
三日後。
今日は炊き出しの日だ。
教会は馬鹿なのかな炊き出しをしている俺とネオシンク教の関連を疑わないなんて。
それとも知っているけど泳がせているのか。
そろそろ店の方にも、聖騎士が何かリアクションを見せる頃合だと思うんだがな。
今日も聖騎士が五人のチームでやって来た。
「邪教の神官よ。許しません、潔くお縄につきなさい」
豪華な聖職者の服を着た女が口上を述べた。
俺は扇子を解き放った。
「ほほほ。神の威光を見せてあげます。清浄なる息吹よ空間を満たしたまえ【サンクチュアリ】」
女の周りの空間が光る。
その光に接触した黒い霧は溶ける様に消えていった。
「聖女様、魔法が効いています」
「そうでしょう。そうでしょう。神の威光が正体不明の毒などに負けるはずはありません」
聖女が出てきたか。
対闇属性特化というところか。
こんな職業もあるのだな。
持久戦では細菌の屍骸が足りなくなる。
どうした物か。
「神をお前が語るな」
ネオシンク教の信者が石を投げる。
石は光を突きぬけ聖女に当たった。
「痛い、あの者を殺すのです。神敵です」
聖騎士は躊躇している。
魔法から出たら扇子の餌食だからな。
物理は効くという事は。
俺は護衛役の角行に香車を渡した。
角行が振りかぶり香車を投げる。
香車は聖女目掛けて一直線に飛んでいった。
聖騎士が気がついて盾で聖女を庇う。
俺は香車の魔法を解いた。
こうしないと聖女のサンクチュアリで溶けちまうからな。
ただの剣に戻った香車は盾を貫いた。
上がる血しぶき。
やったか。
「私の顔に傷が。皆さん逃げますわよ。清浄なる光よ行く手を照らす道となれ【グロウリーロード】」
光で道が出来て、聖女は我先に逃げ出す。
慌てて聖騎士が逃げ出し、後には重症の聖騎士が残された。
サンクチュアリが解除されて、チンピラ神官が残された聖騎士に近寄る。
「あなたを助けましょう。それが正しい行いです。さあ食べなさい」
チンピラ神官は屈んで貧者の楽音を聖騎士に差し出した。
聖騎士は迷った挙句に貧者の楽音を口にする。
傷が治り、立ち上がる聖騎士。
「礼は言わないぞ」
「ええ、あなたの聖女を守る献身の心に打たれただけです。感謝されようとは思っていません」
聖騎士は去って行って、さすが神官様だとの声が上がる。
光魔法に弱いとは聞いてはいたが聖女は強敵だな。
こうなったら、ジュサ、シャデリー、ビーセスを街につれてこよう。
でも、全員が闇属性だ。
ジュサ、シャデリーは言うに及ばずで、ビーセスの魔獣を従える技も精神魔法の一種で闇属性だ。
家に帰って作戦会議だな。
テーブルを四人で囲み会議が始まった。
これまでの経緯を説明。
三人は上手くいっていたのになんで呼んだのか分からない感じだ。
「強敵が出てきた。聖女だ。光属性の魔法を使う」
俺は語気を強めて言った。
「光魔法相手じゃ呪いは役に立たないわ。解除されてしまう」
「私の闇魔法も駄目ね」
「ふん、みんなだらしないな。あたいの従魔は平気さ。とはいっても魔獣が正気に戻るだけだけど」
「魔王が最後まで抵抗できた理由よね。正気に戻った魔獣は大抵、目の前の人間を殺そうとする」
「街に魔獣を連れ込む方法がな」
「忘れたのダークカーテンがあるわ。夜、限定だけど」
「よし、それで行こう。教会を夜に襲撃だ」
「ミディだけ。仲間はずれにしないで」
ミディが入って来て言った。
「ミディちゃんは何ができるのかな」
俺は優しく尋ねた。
「子供扱いしないで。これでも立派な霊術士なんだもん」
「そうかミディも仲間だからな。一緒に行くか」
「行く」
「よし、死体魔王と四天王だ」
「あたいは下についた覚えはない」
「じゃあ、平等戦隊コウセイジャーだ」
「なんか、ださいわね」
「そうね。ぱっとしないわ」
「あたいもなんか嫌だね」
「ミディも嫌」
「それじゃ、チーム・フリーダーク」
「それで」
「いいわね」
「気にいったよ」
「うん、満足」
「フリーダーク、出撃」
家が先遣隊によって建て始められて、村が出来つつある。
村の周りにはチンピラヴァンパイアによって畑が開墾されていた。
村に入ると先遣隊の五人を呼んだ。
「ご苦労様です。嗜好品と調味料などを持ってきました」
「ありがたいです」
「作物の種も持って来たので畑に植えるといいでしょう」
「そうですね。いいかげん、もろこしにも飽きました」
「ヴァンパイアに護衛を頼んで定期的に村と交易するといいですよ」
「ええ、そうします」
「ここの暮らしはどうですか」
「やりがいはありますね。土地持ちになれるのですから」
「ヴァンパイアってもっと恐いと思っていたぜ」
「禁忌持ちも差別職も考えてみれば一緒です。平等です」
「それな。禁忌持ちの印象が変わったよ」
先遣隊の意見は好意的だ。
問題は一般の人達を移住させる場合だろうな。
「また、来ます」
そう言って村を後にした。
三日後。
今日は炊き出しの日だ。
教会は馬鹿なのかな炊き出しをしている俺とネオシンク教の関連を疑わないなんて。
それとも知っているけど泳がせているのか。
そろそろ店の方にも、聖騎士が何かリアクションを見せる頃合だと思うんだがな。
今日も聖騎士が五人のチームでやって来た。
「邪教の神官よ。許しません、潔くお縄につきなさい」
豪華な聖職者の服を着た女が口上を述べた。
俺は扇子を解き放った。
「ほほほ。神の威光を見せてあげます。清浄なる息吹よ空間を満たしたまえ【サンクチュアリ】」
女の周りの空間が光る。
その光に接触した黒い霧は溶ける様に消えていった。
「聖女様、魔法が効いています」
「そうでしょう。そうでしょう。神の威光が正体不明の毒などに負けるはずはありません」
聖女が出てきたか。
対闇属性特化というところか。
こんな職業もあるのだな。
持久戦では細菌の屍骸が足りなくなる。
どうした物か。
「神をお前が語るな」
ネオシンク教の信者が石を投げる。
石は光を突きぬけ聖女に当たった。
「痛い、あの者を殺すのです。神敵です」
聖騎士は躊躇している。
魔法から出たら扇子の餌食だからな。
物理は効くという事は。
俺は護衛役の角行に香車を渡した。
角行が振りかぶり香車を投げる。
香車は聖女目掛けて一直線に飛んでいった。
聖騎士が気がついて盾で聖女を庇う。
俺は香車の魔法を解いた。
こうしないと聖女のサンクチュアリで溶けちまうからな。
ただの剣に戻った香車は盾を貫いた。
上がる血しぶき。
やったか。
「私の顔に傷が。皆さん逃げますわよ。清浄なる光よ行く手を照らす道となれ【グロウリーロード】」
光で道が出来て、聖女は我先に逃げ出す。
慌てて聖騎士が逃げ出し、後には重症の聖騎士が残された。
サンクチュアリが解除されて、チンピラ神官が残された聖騎士に近寄る。
「あなたを助けましょう。それが正しい行いです。さあ食べなさい」
チンピラ神官は屈んで貧者の楽音を聖騎士に差し出した。
聖騎士は迷った挙句に貧者の楽音を口にする。
傷が治り、立ち上がる聖騎士。
「礼は言わないぞ」
「ええ、あなたの聖女を守る献身の心に打たれただけです。感謝されようとは思っていません」
聖騎士は去って行って、さすが神官様だとの声が上がる。
光魔法に弱いとは聞いてはいたが聖女は強敵だな。
こうなったら、ジュサ、シャデリー、ビーセスを街につれてこよう。
でも、全員が闇属性だ。
ジュサ、シャデリーは言うに及ばずで、ビーセスの魔獣を従える技も精神魔法の一種で闇属性だ。
家に帰って作戦会議だな。
テーブルを四人で囲み会議が始まった。
これまでの経緯を説明。
三人は上手くいっていたのになんで呼んだのか分からない感じだ。
「強敵が出てきた。聖女だ。光属性の魔法を使う」
俺は語気を強めて言った。
「光魔法相手じゃ呪いは役に立たないわ。解除されてしまう」
「私の闇魔法も駄目ね」
「ふん、みんなだらしないな。あたいの従魔は平気さ。とはいっても魔獣が正気に戻るだけだけど」
「魔王が最後まで抵抗できた理由よね。正気に戻った魔獣は大抵、目の前の人間を殺そうとする」
「街に魔獣を連れ込む方法がな」
「忘れたのダークカーテンがあるわ。夜、限定だけど」
「よし、それで行こう。教会を夜に襲撃だ」
「ミディだけ。仲間はずれにしないで」
ミディが入って来て言った。
「ミディちゃんは何ができるのかな」
俺は優しく尋ねた。
「子供扱いしないで。これでも立派な霊術士なんだもん」
「そうかミディも仲間だからな。一緒に行くか」
「行く」
「よし、死体魔王と四天王だ」
「あたいは下についた覚えはない」
「じゃあ、平等戦隊コウセイジャーだ」
「なんか、ださいわね」
「そうね。ぱっとしないわ」
「あたいもなんか嫌だね」
「ミディも嫌」
「それじゃ、チーム・フリーダーク」
「それで」
「いいわね」
「気にいったよ」
「うん、満足」
「フリーダーク、出撃」
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる