44 / 84
第8章 領主ヴァンパイアから始まる教会排斥
第44話 井戸に毒
しおりを挟む
店に顔を出すと何時ぞやの鋭かった聖騎士のイントスが来ていた。
「いらっしゃい、注文ですか」
「いいえ、スケルトンの骨の出所を追っています」
「スケルトン? はて何の事でしょう」
「主人、あなたがやっている孤児院の子供がスラムの人骨の片付けをしているとか」
「ええ、荷馬車で骨を森に捨てに行きましたよ」
「その場所に案内してもらっても」
「ええ良いですよ」
俺は森に案内した。
そこには人骨に偽装したオークの骨をばら撒いてあった。
仕掛けはこうだ。
オークの骨で人間大のスケルトンを作って森に運ぶ。
オークの骨で作ったスケルトンに何故ビラを撒かせないかというと。
骨の記憶が人間より背の高い姿なので人間大にするとまともに動けない。
だが、スケルトンにしてからばら撒くには好都合だ。
「ここです」
「荒らされた形跡はありませんね」
「ええ、獣が骨を咥えて行くにしても、この量は流石にもって行かないでしょう」
「手間を取らせました」
「お構いなく」
そろそろ、聖騎士が沢山、街に入った頃かな。
皆殺しといきたいが、手はずをどうするかだな。
殺人バクテリアの扇子対策もそろそろしてきそうだ。
ここはあの手でいくか。
フリーダーク出撃というより、ミディの出番だな。
ミディを荷馬車に乗せて街の門に来た。
「漬物屋だな。お子さんかい」
「ええ、そうです」
「可愛らしいお嬢さんだ。名前は?」
「ミディ」
「悪いが魔法の確認をさせて貰うよ」
「うん。デュオン、お手。お次は尻尾」
ミディが連れているリスがお手をする。
そして尻尾を差し出す。
ミディは尻尾を撫でると微笑んだ。
もちろん、このリスにはゴーストが憑依させてある。
「動物使いなんだね。通っていいよ」
俺は門をくぐって大きく息を吐いた。
ばれるとは考えてないが、いつも門番とのやり取りには神経を使う。
店に馬車を置きミディと二人城に向う。
現在、聖騎士の宿舎は領主が住んでいる城の一角だ。
井戸の位置は子供達の情報から明らかになっている。
洗濯婦は井戸の位置を把握しているからな。
「やっぱりな。城は警備が厳重だ」
城門の所に行くと兵士が数多く立っていた。
でもな、裏手というか門以外のところはどうかな。
門から外れた所に行くと案の定人はいない。
城壁は高いから侵入は難しい。
ただし人ならばな。
俺はスライムゾンビを背負い鞄から取り出し次々に壁に向って投げつける。
スライムは壁にへばりついた。
「ミディ頼むぞ」
「お願い」
リスがポーション瓶を背中に背負い、スライムを足場に器用に壁を登る。
リスが見えなくなった。
潜入成功だな。
スライムにはがれるよう指示を出した。
ミディが画板を持って城の絵を描き始めた。
兵士に見つかった時の言い訳だ。
しばらくしてリスが城壁の上に姿を見せる。
飛び降りたリスを俺達は布を広げキャッチした。
「よし、決め台詞だ。解き放たれた死よ蹂躙せよ」
「眠りから覚ましてごめんなさい」
「撤収しよう」
今回の作戦は聖騎士が使う井戸水にリスが扇子を投げ込む。
井戸水は冷たいから温度の低いうちは活動しないように出来る。
体内にはいると温度は上昇、活動しだすという訳だ。
井戸に残った扇子は魔力が切れると細菌の屍骸になり毒性はない。
検知できないはずだ。
次の日、店に行くと、店番の女の子が興奮していた。
「井戸に毒が投げ込まれたっていう通達があって、昨日から一滴も飲んでないの」
「ワインを買ってきて飲んでいいよ。金は俺が出そう」
「良いんですか。今ワインはもの凄く高いと思いますよ」
「いいんだよ。よく仕事してくれてるお礼だ」
井戸に扇子作戦上手く行ったみたいだな。
さて手口を特定できるかな。
「ただいま戻りました。ワイン金貨一枚越えてました。お釣りです」
「よく味わって飲んでくれ。しかし、井戸に毒とは物騒だな。誰が死んだ」
「それが分からないみたい。街の人の噂にはなってないの」
「なるほどな」
孤児院に顔を出して、バートを呼んだ。
「バート、城で異変が無かったか」
「兄ちゃんも耳が早いな。毒で聖騎士が多数暗殺されたみたい。洗濯婦が疑われて、おばさん達がぷりぷり怒っていたよ」
「被害はそれだけか」
「城の兵士も何人か犠牲になったって」
城の兵士に恨みはないが、戦闘に犠牲はつきものだ。
領主が聖騎士に宿舎を貸している以上、無関係とは言わせない。
「その他には」
「領主が怯えて部屋から一歩もでないって言ってた」
「なるほど」
ちょっとやりすぎたかもな。
領主に謁見するのが難しくなったかも知れない。
「いらっしゃい、注文ですか」
「いいえ、スケルトンの骨の出所を追っています」
「スケルトン? はて何の事でしょう」
「主人、あなたがやっている孤児院の子供がスラムの人骨の片付けをしているとか」
「ええ、荷馬車で骨を森に捨てに行きましたよ」
「その場所に案内してもらっても」
「ええ良いですよ」
俺は森に案内した。
そこには人骨に偽装したオークの骨をばら撒いてあった。
仕掛けはこうだ。
オークの骨で人間大のスケルトンを作って森に運ぶ。
オークの骨で作ったスケルトンに何故ビラを撒かせないかというと。
骨の記憶が人間より背の高い姿なので人間大にするとまともに動けない。
だが、スケルトンにしてからばら撒くには好都合だ。
「ここです」
「荒らされた形跡はありませんね」
「ええ、獣が骨を咥えて行くにしても、この量は流石にもって行かないでしょう」
「手間を取らせました」
「お構いなく」
そろそろ、聖騎士が沢山、街に入った頃かな。
皆殺しといきたいが、手はずをどうするかだな。
殺人バクテリアの扇子対策もそろそろしてきそうだ。
ここはあの手でいくか。
フリーダーク出撃というより、ミディの出番だな。
ミディを荷馬車に乗せて街の門に来た。
「漬物屋だな。お子さんかい」
「ええ、そうです」
「可愛らしいお嬢さんだ。名前は?」
「ミディ」
「悪いが魔法の確認をさせて貰うよ」
「うん。デュオン、お手。お次は尻尾」
ミディが連れているリスがお手をする。
そして尻尾を差し出す。
ミディは尻尾を撫でると微笑んだ。
もちろん、このリスにはゴーストが憑依させてある。
「動物使いなんだね。通っていいよ」
俺は門をくぐって大きく息を吐いた。
ばれるとは考えてないが、いつも門番とのやり取りには神経を使う。
店に馬車を置きミディと二人城に向う。
現在、聖騎士の宿舎は領主が住んでいる城の一角だ。
井戸の位置は子供達の情報から明らかになっている。
洗濯婦は井戸の位置を把握しているからな。
「やっぱりな。城は警備が厳重だ」
城門の所に行くと兵士が数多く立っていた。
でもな、裏手というか門以外のところはどうかな。
門から外れた所に行くと案の定人はいない。
城壁は高いから侵入は難しい。
ただし人ならばな。
俺はスライムゾンビを背負い鞄から取り出し次々に壁に向って投げつける。
スライムは壁にへばりついた。
「ミディ頼むぞ」
「お願い」
リスがポーション瓶を背中に背負い、スライムを足場に器用に壁を登る。
リスが見えなくなった。
潜入成功だな。
スライムにはがれるよう指示を出した。
ミディが画板を持って城の絵を描き始めた。
兵士に見つかった時の言い訳だ。
しばらくしてリスが城壁の上に姿を見せる。
飛び降りたリスを俺達は布を広げキャッチした。
「よし、決め台詞だ。解き放たれた死よ蹂躙せよ」
「眠りから覚ましてごめんなさい」
「撤収しよう」
今回の作戦は聖騎士が使う井戸水にリスが扇子を投げ込む。
井戸水は冷たいから温度の低いうちは活動しないように出来る。
体内にはいると温度は上昇、活動しだすという訳だ。
井戸に残った扇子は魔力が切れると細菌の屍骸になり毒性はない。
検知できないはずだ。
次の日、店に行くと、店番の女の子が興奮していた。
「井戸に毒が投げ込まれたっていう通達があって、昨日から一滴も飲んでないの」
「ワインを買ってきて飲んでいいよ。金は俺が出そう」
「良いんですか。今ワインはもの凄く高いと思いますよ」
「いいんだよ。よく仕事してくれてるお礼だ」
井戸に扇子作戦上手く行ったみたいだな。
さて手口を特定できるかな。
「ただいま戻りました。ワイン金貨一枚越えてました。お釣りです」
「よく味わって飲んでくれ。しかし、井戸に毒とは物騒だな。誰が死んだ」
「それが分からないみたい。街の人の噂にはなってないの」
「なるほどな」
孤児院に顔を出して、バートを呼んだ。
「バート、城で異変が無かったか」
「兄ちゃんも耳が早いな。毒で聖騎士が多数暗殺されたみたい。洗濯婦が疑われて、おばさん達がぷりぷり怒っていたよ」
「被害はそれだけか」
「城の兵士も何人か犠牲になったって」
城の兵士に恨みはないが、戦闘に犠牲はつきものだ。
領主が聖騎士に宿舎を貸している以上、無関係とは言わせない。
「その他には」
「領主が怯えて部屋から一歩もでないって言ってた」
「なるほど」
ちょっとやりすぎたかもな。
領主に謁見するのが難しくなったかも知れない。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる