無限魔力のゴーレム使い ~無力な奴隷から最強への一歩は逆転の発想から~

喰寝丸太

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第2章 Sランク成り上がり編

第28話 トレント探し

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 野営中も魔獣の襲撃はあって、ライタの見張りがこれほど役に立つとは思わなかった。
 次の日も魔獣の襲撃を何度撃退したか覚えていない程戦闘をこなし、遂にワイバーンの領域に到達。
 今日はあと少しで日が暮れるので野営する事に。

 やはり、野営中に襲撃があった。
 魔力視には反応があるけど音がしない、オークみたいな巨体ではないという事だろう。

 草をかき分けるようにして現れたのはアサシンレパードだった。
 猫型の魔獣で3メートラほどの体長がある。
 事前に読んだ資料では重力を操るらしい。

 そういえば足音がまったくしない。
 今は俺とゴーレムを警戒するようにゆったりと動いているけれど、襲い掛かる時は素早いのだろうな。
 魔力ゴーレム単体をこっそり近づけゼロレンジ魔法をぶちかます。
 爆発音がして土や葉っぱそして血が飛び散る。
 やっぱり強敵にはゼロレンジ魔法だよな。

 毛皮は持って帰れないから、魔法防御以外は全部ゼロレンジ魔法でも良いんだけど、味気ないと思う。
 それにナドルみたいに魔力ゴーレムを感知する魔獣が現れるかもしれない。
 その時に慌てない為にも手札は多い方が良い。



 目が冴えたのでウッドゴーレムの強化について考える。
 反発のアシストは試すとして、別の手はないだろうか。

 そうだ、ゴーレム使役の重ねがけはどうだろう。
 一般の人は並列システムが無いから出来ない芸当だが、俺ならできる。
 今まで思いつかなかったのが不思議なぐらいだ。

 早速試してみると、スピードは得られないが、パワーが何割か上昇した。
 ただ、ゴーレムというのは素材によって魔力の許容量が決まっている。
 魔木では二回の重ねがけが限界だった。

 重ねがけをする場合は操る人間が同じ思考をしないと動きがちぐはぐになってしまう。
 俺とライタでやってみたら酷い有様で、もつれてゴーレムが倒れる事になった。
 それに多分違う人間だと魔力のタイプが違うので重ねがけは無理だと思う。



 とにかくゴーレムの強化は少し出来た。
 もう一つぐらいなんとかならないかな。

「ライタ、ゴーレムの強化案、何か無い?」
『ようはゴーレムの筋肉が強くなれば良いんだろ』

「ゴーレムの筋肉って存在しないけど」
『ゴーレムを動かしているのは魔力だろ』

「そうだね」
『だから、魔力の動きを加速させる』

「どうやって?」
『魔力をどうにかして動かすんだよ』
「それは前に散々試したけど駄目だった」
『自分の魔力なら、体に受け入れられるだろ。魔力放出の魔道具を作って体の中に魔力の流れを作る。これでどうだ』
「なるほど体で覚えるのか」
『そうすればスキルを覚えられる可能性がある』
「分かった。帰ったらやってみる」



 夜が明けていよいよトレント探しだ。
 ワイバーンの領域はオークの領域より平均して木の幹が太い。
 そして、種類も違う物が生えているみたいだ。

 近い所の情報から確かめる事にしよう。
 苦労して探すとそれらしいトレントは切り株になっていた。
 気を取り直して次に行こう。



 次のトレントを探す途中、アシッドアントの大群に囲まれた。
 アシッドアントは1.5メートラほどの蟻の魔獣で、持っているスキルは念動と鉄皮だ。
 随分と数が多い百匹ぐらいはいるんじゃないだろうか。
 攻撃は噛み付きと念動による酸の攻撃。

 魔力ゴーレムを使い土魔法で砦を作る。
 後はゼロレンジ魔法と銃魔法でどうにかしよう。

 魔力ゴーレムをいつも通りこそっと近づけるとなんとアシッドアントが避ける。
 観察してみると魔力ゴーレムを近づけると触角を盛んに震わせた。
 触覚で探知しているのか。
 魔力視で観察すると触覚に魔力が有るのが分かった。
 しょうがない風の刃を魔力ゴーレムに撃たせてみるか。
 すると触覚を震わせて風の刃を避けた。

 魔法は駄目だな。
 やっぱり銃魔法か。
 砦の穴から銃魔法を撃つ。
 銃魔法は避けれないみたいで、次々に被弾していく。
 今回はなんとかなったが魔獣も侮れないな。
 銃魔法のパワーアップも計りたいから、ここはライタに相談だ。

「銃魔法を強化したいのだけど、爆発を強くすると筒が持たない。ライタ、何か案が無い」
『土魔法の筒を厚くするのは美意識に反するな。鉄皮スキルで強化だな』

 なるほどって、魔法で出した物質って鉄皮で強化できるの。
 試せば良いだけか。

 爆発を強化して鉄皮スキルを使った銃魔法を撃つ。
 バンと音を立てて無事に弾が発射された。
 今回の旅は色々と収穫があるな。
 例えトレントが空振りでも有意義だ。

 倒した魔獣の魔石を抜いてトレント探しに戻る。
 その後、十数回の敵とのエンカウントで時間が経ち野営の時間になった。
 明日はトレント見つかると良いな。



 寝てる間に魔獣は襲ってこなかった。
 あれだけ周囲の魔獣を狩れば空白地帯が出来るというものだ。
 探索を開始するが、トレントは中々見つからない。
 地図がいいかげんなのがいけない。
 たぶん逃げるのに必死で詳しい場所を記憶できなかったのだろう。
 なんとか、目印の赤い葉の魔木を見つけた。
 ここまでくればあと少しだ。



 今度のトレントは健在だった。
 トレントは植物の魔獣で脳みそがどこにあるのか分からない不思議な魔獣だ。
 2メートラを超える直径の幹に蔦を沢山生やしている。
 持っているスキルは情報によると魔力防御と強打。
 前に見た資料ではトレントは持っているスキルが斬撃強化、強打、鉄皮、念動と個性があると言う事になっている。

 肝心の攻略法だが、相手の本体は動かないし魔法防御があるから、加速砲一択だ。
 魔力ゴーレムを並べ加速砲の準備をする。
 砲弾は勿体無いので石製だ。
 地面をゴーレムに掘らせて出た石に変形を掛けて作った。

 目標は魔石が入っている中央の瘤だ。
 石の砲弾を加速砲に入れるとみるみる加速してトレントに突き刺さる。
 一発目は外したが、相手の攻撃は届かないので問題は無い。

 結局五発目で魔石に当たり、魔法防御が消えた。
 風の刃で幹を切り倒し、乾燥スキルを掛ける。
 巨木だったので、五体のトレント製ゴーレムが出来た。
 ゴーレムが壊れた時に補充する為に、余った木材は持って帰りたいと思う。

 ちなみに加速砲を使わないでトレントを倒すにはまず剣などで蔦の攻撃を切り払う。
 そして、本体を斧で攻撃する。
 ただし、時間が経過すると蔦が復活するので、何回か切り払う必要が生じる。
 俺は加速砲があって良かった。
 今後は加速砲の強化も視野に入れるべきか。



 トレントゴーレムを試してみたくなった。
 適当な魔獣を探す。
 見つかった魔獣はオークだった。
 ワイバーンの領域にもオークいるんだな。

 トレントゴーレムがヒットアンドウェイを仕掛ける。
 さすがに一番速いと言われているだけあって凄い速さだ。
 オークは完全に手玉に取られている。
 足を散々に切りつけられ程なくして地に伏した。

 スキルの重ねがけも試してみたい。
 見つかった次の相手はダイアモンドアーマーボアだ。
 この魔獣は硬い。
 持っているスキルは鉄皮と変形と筋力強化。
 ダイアモンドアーマーボアは額を角に変形させて突撃してきた。
 土魔法の壁で受け止め、後ろ足をゴーレムに攻撃させる。
 スキルの重ねがけしたパワーは絶大だった。
 五体の集中攻撃を持って後ろ足を切り裂く事に成功。

 トレントゴーレムの魔力容量は三回スキルを重ねる事が出来た。
 ライタに聞いたところパワーは1.5倍ぐらいだと言っていた。

 目的も達成したし、そろそろ帰路につこう。
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