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第2章 Sランク成り上がり編
第47話 無限のダリウス、登場
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俺は今現在、王都に行く為に水魔法に乗って風を切っていた。
王都の道行きは順調だ。
草原に偶に麦畑が現れるぐらいで代わり映えしない景色だ。
住んでいたアドラムの街の異常性が分かった。
荒野なんてものは欠片もみあたらない。
森もアドラムの周辺ほどではなく、一時間もすれば通り抜けられるような浅い森ばっかりだった。
ライタが騒いだ理由が良く分かった。
魔獣もアドラムほど強くなく、ホーンラビットやフォレストウルフが出てくるぐらいで強敵な魔獣などは見当たらない。
途中で道行く人と話しをするとアドラムから来たのかい辺境からご苦労様と言われた。
夜中の見張りは魔力視でライタがやってくれる。
硬い地面に寝ても奴隷の時の待遇に比べればなんて事はない。
今は敷物と毛布とテントがあるだけましだ。
そんな道行きも一週間余り、地元では難所と言われている峠に差し掛かった。
上りも終わり下りになった時に、前方から悲鳴が聞こえる
急いで駆けつけると馬車が一台停めてあり、馬車と同じ大きさの熊魔獣が仁王立ちしていた。
馬車の護衛が対峙しているが、有効打が打ち出せないみたいだ。
「手伝います。ライタ、火魔法を」
1メートラほどの火球が飛び、熊魔獣の頭に当たり吹き飛ばした。
辺りには焦げ臭い臭いがたちこめ、護衛のリーダーと思われる男が話し掛けて来る。
「助かったよ。あのままだと、どうなったか」
「見たところ、怪我がないようだ。間に合って良かったよ」
「さぞかし高ランクなのでしょう。お名前を聞かせてもらっても」
「Bランクのフィルだ」
「申し遅れましたが、Dランクのルパットです」
「横から失礼します。これはこれは、Bランクの冒険者様とは。商人のゴリオットです。魔石を主に扱っております」
中年の商人が馬車から降りてきて挨拶した。
「ご存知だとは思うけど、フィルだ」
「魔石がご入用の折は当店へ。もちろん買い取りも行っております」
「機会があれば伺うよ」
「ところでそのブラッディベアはどうなさるので。差し支えなければ私が買い取ります」
「それなら頼もうかな」
ブラッディベアを売却して、商人達と別れ先を急いだ。
更に進む事一週間、道程も道半ばと言ったところで村に立ち寄った。
そこで、ゴーレムを十体、引き連れた男が待ち構えていた。
男は青い髪をなびかせ言い放つ。
「ゴーレム使いと聞いていたが、ゴーレムを連れてないな。貴様が無敵のフィルだろう。命を置いていって貰おうか」
盗賊ではないだろう。
なにせ引き連れたゴーレムというのが青みがかったガラス製だったからだ。
売ればかなりの金額になるに違いない。
推測するまでもないこいつは闇ギルドの刺客だな。
十体ものゴーレムを良く操れるな。
並列システムのスキルでも持っているのだろうか。
「おう、俺がフィルだ。お前も名乗れ」
「冥土の土産に教えてやろう。無限のダリウスだ。烈風陣それがお前も葬る技だ。風魔法、風魔法……風魔法」
そう言って、幾つもの風の刃を色々な角度から俺に撃ち込んできた。
トレントゴーレムはアイテム鞄の中だが、魔力ゴーレムは常に引き連れていた。
俺は魔力ゴーレム達で複数の土魔法を使い風の刃をブロックする。
土魔法に当たるザッシュっという音が連続して聞こえた。
「何、烈風陣を破るとは。どうやって背後からの風の刃を見抜いた」
「手品の種が分かると興ざめだろう」
「違いない。だが、無限の二つ名の由来を見せてやろう」
ダリウスは風魔法を再び放つ。
今度は何百という数だ。
当然土魔法でブロックする。
土魔法は砕かれたのもあるが、砕かれた端から魔法を掛け直して再生した。
そして、隙を見てアイテム鞄からトレントゴーレム五体を取り出した。
「何、貴様はどうやってその魔力を得ているのだ」
お前が言うな。
お前だって魔力量を無視して散々魔法を放っただろう。
「それに、ゴーレム五体操るとは。もしや、貴様も並列思考スキルを持っているのか!?」
こいつ馬鹿だ手の内をさらしてやがる。
並列思考なんてスキルもあるのだな。
名前から察するに並列システムと同じようなスキルなんだろう。
「持っていたら、どうなんだ」
「くそう。こうなれば」
ダリウスはガラス製のゴーレムを差し向けてきた。
当然俺はゴーレムを破壊するために火魔法を放つ。
火魔法はゴーレムの表面で溶けるように消えた。
何っ、魔法防御のスキル持ちか。
「馬鹿め。俺の魔力結晶ゴーレムには魔法は効かない」
ガラスじゃなかったんだな。
俺はライタにトレントゴーレムを使い近接攻撃を使うように指示をだした。
トレントゴーレムのミスリルの剣は魔力結晶ゴーレムに当たって火花を散らす。
うわ、硬いな。
新調したミスリルの剣も形無しだ
じゃあ、銃魔法だ。
銃魔法で金属弾を撃たせるが、やっぱり弾かれる。
戦いはゴーレム同士の乱戦になった。
相手のゴーレムは武器を持っていないとはいえ、硬いゴーレムの手足はトレントゴーレムに確実にダメージを与えてくる。
魔法を辺り構わず撃ちまくれば倒せる気もするが、村の中じゃ場所が悪い。
村に被害が出るとややこしい事になる。
しょうがない、死魔法を撃つか。
魔力ゴーレムを毒魔力に変え、背後から突進させる。
しかし、魔力結晶ゴーレムに受け止められ、溶かされた。
「何かやったようだが、俺に死角はない。くらえ、滅殺陣」
魔力が俺を包む様に展開された。
「くっ、息が」
毒か。
ライタに風魔法の空気タンクから呼気を補給するように指示した。
すぐに回復。
あれっ毒じゃないのか。
包む魔力に風魔法を撃つと空気がなだれ込んで来た。
「これも駄目か」
ダリウスが悔しそうに言った。
相手の情報を分析する時間がほしい。
何より場所が悪い。
ライタにフラッシュ魔法を撃つように指示する。
そして、トレントゴーレムを回収し、その場を逃れた。
「おのれ、逃がすか」
声が追いすがるが、水魔法に乗れば駆けるスピードよりは速い。
一時間ほど逃げ一息つく。
相手の手の内が大分わかったが、分からない事もある。
ゴーレムを複数、操ったのは並列思考スキルだ。
無限とも思える魔力量はたぶん魔力結晶ゴーレムから魔力を吸い取っているのだろう。
魔力結晶なんて名前だから間違いないと思う。
「ライタ、死魔法を防がれたのは何でだと思う」
『魔力結晶は魔法防御スキルと同じ事ができるんだろう』
「そっちじゃなくて、気づかれたのは何で」
『それな。あいつな常に薄い魔力を自分の周辺に展開しているぞ』
「毒使いみたいに何か放出しているのか」
『そうだろうな』
「じゃあ、滅殺陣だっけ。あれの仕組みは?」
『たぶん風魔法で結界を作って空気を吸いだしたんだと思うよ』
空気タンクの逆か。
大体、手の内は分かったな。
後はどうやって打ち破るかだ。
王都に行くまでには何か考えつくだろう。
移動スピードはこちらの方が速いだろうから追いつかれないと思いたい。
王都の道行きは順調だ。
草原に偶に麦畑が現れるぐらいで代わり映えしない景色だ。
住んでいたアドラムの街の異常性が分かった。
荒野なんてものは欠片もみあたらない。
森もアドラムの周辺ほどではなく、一時間もすれば通り抜けられるような浅い森ばっかりだった。
ライタが騒いだ理由が良く分かった。
魔獣もアドラムほど強くなく、ホーンラビットやフォレストウルフが出てくるぐらいで強敵な魔獣などは見当たらない。
途中で道行く人と話しをするとアドラムから来たのかい辺境からご苦労様と言われた。
夜中の見張りは魔力視でライタがやってくれる。
硬い地面に寝ても奴隷の時の待遇に比べればなんて事はない。
今は敷物と毛布とテントがあるだけましだ。
そんな道行きも一週間余り、地元では難所と言われている峠に差し掛かった。
上りも終わり下りになった時に、前方から悲鳴が聞こえる
急いで駆けつけると馬車が一台停めてあり、馬車と同じ大きさの熊魔獣が仁王立ちしていた。
馬車の護衛が対峙しているが、有効打が打ち出せないみたいだ。
「手伝います。ライタ、火魔法を」
1メートラほどの火球が飛び、熊魔獣の頭に当たり吹き飛ばした。
辺りには焦げ臭い臭いがたちこめ、護衛のリーダーと思われる男が話し掛けて来る。
「助かったよ。あのままだと、どうなったか」
「見たところ、怪我がないようだ。間に合って良かったよ」
「さぞかし高ランクなのでしょう。お名前を聞かせてもらっても」
「Bランクのフィルだ」
「申し遅れましたが、Dランクのルパットです」
「横から失礼します。これはこれは、Bランクの冒険者様とは。商人のゴリオットです。魔石を主に扱っております」
中年の商人が馬車から降りてきて挨拶した。
「ご存知だとは思うけど、フィルだ」
「魔石がご入用の折は当店へ。もちろん買い取りも行っております」
「機会があれば伺うよ」
「ところでそのブラッディベアはどうなさるので。差し支えなければ私が買い取ります」
「それなら頼もうかな」
ブラッディベアを売却して、商人達と別れ先を急いだ。
更に進む事一週間、道程も道半ばと言ったところで村に立ち寄った。
そこで、ゴーレムを十体、引き連れた男が待ち構えていた。
男は青い髪をなびかせ言い放つ。
「ゴーレム使いと聞いていたが、ゴーレムを連れてないな。貴様が無敵のフィルだろう。命を置いていって貰おうか」
盗賊ではないだろう。
なにせ引き連れたゴーレムというのが青みがかったガラス製だったからだ。
売ればかなりの金額になるに違いない。
推測するまでもないこいつは闇ギルドの刺客だな。
十体ものゴーレムを良く操れるな。
並列システムのスキルでも持っているのだろうか。
「おう、俺がフィルだ。お前も名乗れ」
「冥土の土産に教えてやろう。無限のダリウスだ。烈風陣それがお前も葬る技だ。風魔法、風魔法……風魔法」
そう言って、幾つもの風の刃を色々な角度から俺に撃ち込んできた。
トレントゴーレムはアイテム鞄の中だが、魔力ゴーレムは常に引き連れていた。
俺は魔力ゴーレム達で複数の土魔法を使い風の刃をブロックする。
土魔法に当たるザッシュっという音が連続して聞こえた。
「何、烈風陣を破るとは。どうやって背後からの風の刃を見抜いた」
「手品の種が分かると興ざめだろう」
「違いない。だが、無限の二つ名の由来を見せてやろう」
ダリウスは風魔法を再び放つ。
今度は何百という数だ。
当然土魔法でブロックする。
土魔法は砕かれたのもあるが、砕かれた端から魔法を掛け直して再生した。
そして、隙を見てアイテム鞄からトレントゴーレム五体を取り出した。
「何、貴様はどうやってその魔力を得ているのだ」
お前が言うな。
お前だって魔力量を無視して散々魔法を放っただろう。
「それに、ゴーレム五体操るとは。もしや、貴様も並列思考スキルを持っているのか!?」
こいつ馬鹿だ手の内をさらしてやがる。
並列思考なんてスキルもあるのだな。
名前から察するに並列システムと同じようなスキルなんだろう。
「持っていたら、どうなんだ」
「くそう。こうなれば」
ダリウスはガラス製のゴーレムを差し向けてきた。
当然俺はゴーレムを破壊するために火魔法を放つ。
火魔法はゴーレムの表面で溶けるように消えた。
何っ、魔法防御のスキル持ちか。
「馬鹿め。俺の魔力結晶ゴーレムには魔法は効かない」
ガラスじゃなかったんだな。
俺はライタにトレントゴーレムを使い近接攻撃を使うように指示をだした。
トレントゴーレムのミスリルの剣は魔力結晶ゴーレムに当たって火花を散らす。
うわ、硬いな。
新調したミスリルの剣も形無しだ
じゃあ、銃魔法だ。
銃魔法で金属弾を撃たせるが、やっぱり弾かれる。
戦いはゴーレム同士の乱戦になった。
相手のゴーレムは武器を持っていないとはいえ、硬いゴーレムの手足はトレントゴーレムに確実にダメージを与えてくる。
魔法を辺り構わず撃ちまくれば倒せる気もするが、村の中じゃ場所が悪い。
村に被害が出るとややこしい事になる。
しょうがない、死魔法を撃つか。
魔力ゴーレムを毒魔力に変え、背後から突進させる。
しかし、魔力結晶ゴーレムに受け止められ、溶かされた。
「何かやったようだが、俺に死角はない。くらえ、滅殺陣」
魔力が俺を包む様に展開された。
「くっ、息が」
毒か。
ライタに風魔法の空気タンクから呼気を補給するように指示した。
すぐに回復。
あれっ毒じゃないのか。
包む魔力に風魔法を撃つと空気がなだれ込んで来た。
「これも駄目か」
ダリウスが悔しそうに言った。
相手の情報を分析する時間がほしい。
何より場所が悪い。
ライタにフラッシュ魔法を撃つように指示する。
そして、トレントゴーレムを回収し、その場を逃れた。
「おのれ、逃がすか」
声が追いすがるが、水魔法に乗れば駆けるスピードよりは速い。
一時間ほど逃げ一息つく。
相手の手の内が大分わかったが、分からない事もある。
ゴーレムを複数、操ったのは並列思考スキルだ。
無限とも思える魔力量はたぶん魔力結晶ゴーレムから魔力を吸い取っているのだろう。
魔力結晶なんて名前だから間違いないと思う。
「ライタ、死魔法を防がれたのは何でだと思う」
『魔力結晶は魔法防御スキルと同じ事ができるんだろう』
「そっちじゃなくて、気づかれたのは何で」
『それな。あいつな常に薄い魔力を自分の周辺に展開しているぞ』
「毒使いみたいに何か放出しているのか」
『そうだろうな』
「じゃあ、滅殺陣だっけ。あれの仕組みは?」
『たぶん風魔法で結界を作って空気を吸いだしたんだと思うよ』
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