無限魔力のゴーレム使い ~無力な奴隷から最強への一歩は逆転の発想から~

喰寝丸太

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第4章 樹聖エルフ王国編

第98話 網ゴーレム

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 幾つかのハイワーカーアントの幼虫部屋を見て回って、もの凄い大部屋に行き着いた。
 中には三体のジェネラルアント。
 奥に通ずる入り口を守っている様に見えた。
 仲間だと誤魔化す薬が役に立てばいいけど。

 ジェネラルアントは俺とリンナを見ると三体のうちの一匹が触角を震わせ近づいて来た。
 しばらく俺達を見ていたら、急に大顎を広げ俺に噛み付きに掛かる。
 俺は慌てて飛び退いた。
 駄目か。
 残りの二体も戦闘態勢に入った。
 俺は魔力結晶ゴーレムをアイテム鞄から出して応戦。
 次々に撃破されていく魔力結晶ゴーレム。
 スライムゴーレムも出撃させたが、三体同時はきつい。

 リンナも弓で援護してくれてはいるが、矢はもちろん刺さらない。
 壊れた魔力結晶ゴーレムをトレントゴーレムで回収して作り直しては出撃させるがかなり分が悪い。
 武器が回収できないので武器も魔力結晶で作る事になる。
 店で作るミスリルの剣とはやっぱり性能に差があるみたいだ、
 僅かな傷も与えられずに刃こぼれが続出する。

 冷えたスライムゴーレムの奮戦で若干動きが鈍くなったもののまだ大勢はあちらに傾いたままだ。
 しょうがない切り札を切るか。
 柔らかいゴーレムの有用性がスライムゴーレムで証明されたので、網ゴーレムを作って見た。
 網ゴーレムは見た目は網に申し分程度の手足が付いたものだ。
 歩くのが遅い。
 ふにゃふにゃだもんな。
 ゴーレムは柔らかいとスピードが上がるが、限度がある。
 魔力ゴーレムは空気抵抗が無いので速いスピードが維持出来ているので例外だ。
 スライムゴーレムもクレイゴーレムと同じぐらいのスピードしか出ない。

 網ゴーレム十体を出撃させる。
 網ゴーレムは人間の体ぐらいの大きさになっててくてく歩いた。
 そして、ジェネラルアントの前に立つと体を何十倍にも広げ覆いかぶさった。
 よし、からまったぞ。

 ジェネラルアントは体毛というか細かいトゲが沢山出ている。
 おろし金の様に擦れれば出血を招く。
 だが、そのトゲが好都合だ。
 網ゴーレムがトゲに絡みつく。
 ぎちぎちという網ゴーレムの軋む音が聞こえる。
 スライムゴーレムをここぞとばかりに出撃させてジェネラルアントを冷やす。
 網ゴーレムからぶちっという音が聞こえた。
 しょうがない網ゴーレムの上位バージョンを出すか。

 その名も鉄条網ゴーレムだ。
 網状の鉄条網がゴーレムにしてある。

 鉄条網ゴーレムも網ゴーレムの上に覆いかぶさる。
 どうだ、動けまい。

「取って置きを使うわ。毒矢よ」
「薬師が作った毒か。強力なんだろうな」
「効果は絶大よ」
「よし、貫通と念動で加速を掛けてサポートする」

 リンナは慎重に小瓶の液体を矢尻に塗る。
 俺はリンナの矢に貫通のスキルを掛けて、魔力ゴーレムを並べ念動で加速の道を作った。

「今だ」
「はい」

 矢はほとんど身動きの出来ないジェネラルアントに僅かに刺さった。
 しばらくしてピクピクと痙攣しだすジェネラルアントを見て勝ちを確信した。

 後、二体だ。

 同じ様に仕留めようと加速のフィールドを展開する。
 放たれた矢は刺さらなかった。
 たぶん外殻の分厚い所に当たったのだろう。

「次で毒が尽きるわ」

 これは外せない。
 銃魔法の弾丸に毒を塗るのはすぐに思いついた。
 だけどライタは射撃が上手くない。
 本人の言い訳だと照準器がない銃など外れて当たり前だとか。
 ライフルを目指したのに100メートラだと平気で外す。
 剣が届く距離なら百発百中なんだけどな。
 前に暗殺者を仕留めた時はよく当たったものだ。
 その時の距離は20メートラ程だ。

 加速のフィールドに入る前に角度がずれると命中率は下がる。
 加速砲も火魔法で最初に加速させないのもこのためだ。

 よし、オリハルコンの矢尻を使おう。
 オリハルコンの弾丸を変形スキルで矢尻に加工する。

「これを使ってくれ」

 リンナは矢尻の付いている矢にナイフを走らせ矢尻を取り外す。
 そこにオリハルコンの矢尻を糸でつけ始めた。
 まだか。
 まだなのか。

 クルクルと器用に糸が巻かれ取り付けられた。
 よし、間に合った。

 ぶちぶちっと音がし始めた。
 鉄条網ゴーレムが引き千切られている。

「今だ」

 オリハルコンの矢尻はリンナによってふかぶかと刺さった。
 残りは一体だ。
 ぶちぶちという音が連続音で聞こえてくる。
 最後の一体が完全に自由になった。

 だが、残り一体なら何とかなりそうだ。
 今まで出したスライムゴーレムを全て残りの一体に向かわせる。
 魔力結晶ゴーレムで牽制しながら、スライムゴーレムで冷やす。
 ジェネラルアントは段々と動きが鈍くなって最後は縮こまった。
 最後は力技だな。
 加速砲を撃つのには空間が足りない。
 俺はアイテム鞄からミスリルの杭を取り出すと魔力結晶ゴーレムに手渡した。

「必殺パイルバンカー!」
『あいよ』

「パイルバンカーとはスキルにしては妙な掛け声ね」
『総員退避』
「火魔法の大爆発であの杭を打ち込むんだ。入り口まで避難するぞ」
「物騒ね。大丈夫なの」
「たぶん平気」

 俺達は固唾を飲んで魔力結晶ゴーレムを入り口から見守る。

『イグニッション』

 ライタの声と共に爆発が起こり入り口に爆風が殺到する。
 俺はリンナを庇い地に伏した。
 頭の上を爆風が通り過ぎて行く。
 恐る恐る顔を上げるとジェネラルアントにはふかぶかとミスリルの杭が刺さっていた。
 スライムゴーレムは全て飛び散っている。
 凄まじい衝撃だったんだろうな。

 しかし、参った。
 もうスライムゴーレムの在庫がない。
 次にジェネラルアントが出てくると詰むな。
 ライタの世界にある掃除機みたいので飛び散ったスライムゴーレムを集められたら良いのだけど。
 無い物は仕方ない。

 オリハルコンの矢尻とミスリルの杭を回収して、奥の部屋を覗いてから対応は考えよう。
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