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9.内部調査
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カインが扉を開けるととても広い空間に所狭しと木樽や木箱等の荷物が置かれていた。
荷物によって作られた道を歩いていくと灯りが視界に入る。
振り替えったカインと目を合わせると同時に頷き、私は持っていた扇子を開いて口許を隠した。
「あの、すみません」
「誰だ」
カインが低姿勢な態度で声を掛けながら灯りの方へ歩いていく。
私はそのまま荷物の陰に残り、そっと様子を伺った。
「マティオン様に紹介頂いてこちらに来ました。とても珍しい商品を扱っていると聞いたので、見せて頂きたくお願いに上がりました」
「ああ、貴方が…。私はマティオン様の補佐をしております、ミュルヘと申します」
「私はある方の名代をさせていただくラルフという者です」
「ある方?」
ミュルヘの声色が訝しげに揺れる。
「あの少し位が高いお嬢様で名前を申し上げるのはここでは出来ないのです」
「そう、ですか」
間違いなくカインを怪しんできている。
物陰から顔を覗かせる事すら出来ない状況で、ハラハラドキドキと落ち着かなく扇子を握りしめた。
「お嬢様はある高貴な方の茶会でこちらの商団で珍しく価値が高く、他では絶対に手に入らない物を頼めるとお聞きになりました。お嬢様はそういったもの好きでどうしても見てみたいとその方にお願いした所、その方が密かに匿っていた褐色の肌の美しい女性に会わせていただいたそうです」
暗に王子と繋がっていてその筋からお前を教えてもらったと匂わせる話。
最終的に知りたいのはルーファス王子との繋がり。
一から探るよりはこちらの方が手っ取り早い。
けど、危険は高い。
王子に確認を取りたくても一介の商人であるミュルヘに話が出来る機会などすぐには無理だろうというのが今回の作戦の肝だ。
ミュルヘがルーファス様に確認が取れてしまう時には私たちは夜逃げした後か、婚約を解消した後だろう。
勿論、私はそんな人身売買まがいの人物には会ったことはない。
「あの方が…そうですか」
カインの演技も大したものだと関心しているとミュルヘも納得したように空気が軽くなった。
「実は今日そのお話を伺おうとお嬢様がお越しなんです」
カインの言葉に私は顔を扇子で半分隠しながら、滅多に着ないドレスの裾を捌き、優雅に登場する。
傲慢な令嬢は自分から話かけることはないし、気に入らなければ返事すらしないと聞いたことがある。
「ミュルヘと申します。お嬢様にお会いできて光栄です」
背はカインより少しだけ低く、少し痩せこけている印象の人だ。
髪は白髪が混じったダークブラウン。
目は細く鋭く濁ったような深緑で筋肉の塊ではなく、スレンダーだ。
思っていた印象と全くの別人が現れて、私は目をしば叩かせた。
「お嬢様は早く商品を拝見したいそうです。今何かありますでしょうか?」
私の目元だけで私の状況を瞬時に把握するカインは本当に優秀だ。
私はカインの言葉に頷きかけて、ふと考えた。
傲慢令嬢がこういう場合どのような態度を取るのかが分からなくなってきてしまった。
「こちらにどうぞ」
何の反応を見せない私をチラチラ見ながらミュルヘは私達が来た道を戻り始めた。
カインは私の背中に軽く触れ、先を促す。
考え込んでも仕方がない、今さら私には演技など無理だ半ば諦めが入りながら、ミュルヘの後へ続いた。
扉から出ると少し歩き、また似たような扉の前にミュルヘは立った。
鍵を出して開き中へと入って行く。
「どうぞ」
ミュルヘの許可にカインが先に部屋へ足を踏み入れる。
その後を私も追い、少しカビ臭く暗い部屋を見回す。
「ここは私個人が現地で仕入れてきた一級品を保管している部屋です。私の執務室と言った所でしょうか」
部屋の端に置いてある質素な机の上のランプを灯しながらニヤついた表情が見えた。
ほの暗い瞳が淡い光に照らされて、更に爛々と輝いて鳥肌が立つ。
「お嬢様はどういった物をご所望ですか?」
「まず宝石等から見せて頂いても?色の指定はありませんが青い物を多めでお願いします」
カインのその言葉を聞いたミュルヘはニタリと気持ち悪い笑みを深めながら私を全身舐め回すように見た。
ナメクジでも這ってきているかのような視線に冷や汗と身震いが起こる。
悲鳴が漏れなかっただけでも誉めてほしいくらいだ。
「私は野心のある方が大好きなんです。貴方とは仲良くなれそうだ」
私を見ていた視線をカインに移し、友好的に手を差し出してくるミュルヘをカインは訝しげに見ていた。
手とミュルヘの顔を往復していたカインの顔が何かに気付いて微笑みに変わる。
「はい。私の野心が成就するよう手を貸してください」
「もちろんです」
二人の間の空気を読めなくて困惑する。
いったい二人で何の意思疏通があったのか、私にはさっぱり分からなかった。
★★★
「今日の所はこれくらいでしょうか」
二人の仲が急速に縮まり、催促するよりも早く次々と珍しい品物が私達の前に差し出されていた。
これはもう密輸入のオンパレード。
真っ当な品は皆無、犯罪の香りしかしない話し合いだった。
私は一言も言葉を話すこと無く、扉の側から離れる事も無く終わった。
「お嬢様、少しお待ちいただけますか」
カインが扉を開けて外へと促したので、廊下の方へ踏み出すと耳元で小さく囁いてきた。
同意を求めるでもなく私の返事を確認する前に部屋へと戻っていくカイン。
ミュルヘに近付いて二人でこそこそ話をすると私の元に足早に帰ってくる。
「ありがとうございました」
「こちらこそとても有意義な時間でした。それではまた」
「お嬢様、行きましょう」
いつもしているように手を握り、私の歩調に合わせるように歩き出す。
「カ……ラルフ?」
名前を呼びそうになって一瞬息を飲み込んだ。
そして偽名で名乗っていた名前を小声で呼んでみる。
「話は後です。まずはここから出てマティオンと合流します」
小声で話すカインの息が耳を掠めて擽ったさに肩を少しだけ竦める。
「あ、すみません」
近かった顔が遠ざけられ、子犬のような悲しい目を向けられた。
「別に嫌だった訳じゃなくて……少し擽ったかっただけよ」
恥ずかしさを堪えながら呟くと、悲しそうだった顔が柔らかく崩れて笑みが浮かんだ。
こんなに近くに居るのに嫌ではなくて、もっと側にいてほしいと思ってしまう。
頬が赤くなるのが自分でも分かるくらい顔が熱くて扇子でパタパタ扇いでみたりする。
「私が近付いても大丈夫なんですね」
安堵の息を吐くようにカインが呟いた言葉は、自分の事でいっぱいいっぱいの私には届かなかった。
荷物によって作られた道を歩いていくと灯りが視界に入る。
振り替えったカインと目を合わせると同時に頷き、私は持っていた扇子を開いて口許を隠した。
「あの、すみません」
「誰だ」
カインが低姿勢な態度で声を掛けながら灯りの方へ歩いていく。
私はそのまま荷物の陰に残り、そっと様子を伺った。
「マティオン様に紹介頂いてこちらに来ました。とても珍しい商品を扱っていると聞いたので、見せて頂きたくお願いに上がりました」
「ああ、貴方が…。私はマティオン様の補佐をしております、ミュルヘと申します」
「私はある方の名代をさせていただくラルフという者です」
「ある方?」
ミュルヘの声色が訝しげに揺れる。
「あの少し位が高いお嬢様で名前を申し上げるのはここでは出来ないのです」
「そう、ですか」
間違いなくカインを怪しんできている。
物陰から顔を覗かせる事すら出来ない状況で、ハラハラドキドキと落ち着かなく扇子を握りしめた。
「お嬢様はある高貴な方の茶会でこちらの商団で珍しく価値が高く、他では絶対に手に入らない物を頼めるとお聞きになりました。お嬢様はそういったもの好きでどうしても見てみたいとその方にお願いした所、その方が密かに匿っていた褐色の肌の美しい女性に会わせていただいたそうです」
暗に王子と繋がっていてその筋からお前を教えてもらったと匂わせる話。
最終的に知りたいのはルーファス王子との繋がり。
一から探るよりはこちらの方が手っ取り早い。
けど、危険は高い。
王子に確認を取りたくても一介の商人であるミュルヘに話が出来る機会などすぐには無理だろうというのが今回の作戦の肝だ。
ミュルヘがルーファス様に確認が取れてしまう時には私たちは夜逃げした後か、婚約を解消した後だろう。
勿論、私はそんな人身売買まがいの人物には会ったことはない。
「あの方が…そうですか」
カインの演技も大したものだと関心しているとミュルヘも納得したように空気が軽くなった。
「実は今日そのお話を伺おうとお嬢様がお越しなんです」
カインの言葉に私は顔を扇子で半分隠しながら、滅多に着ないドレスの裾を捌き、優雅に登場する。
傲慢な令嬢は自分から話かけることはないし、気に入らなければ返事すらしないと聞いたことがある。
「ミュルヘと申します。お嬢様にお会いできて光栄です」
背はカインより少しだけ低く、少し痩せこけている印象の人だ。
髪は白髪が混じったダークブラウン。
目は細く鋭く濁ったような深緑で筋肉の塊ではなく、スレンダーだ。
思っていた印象と全くの別人が現れて、私は目をしば叩かせた。
「お嬢様は早く商品を拝見したいそうです。今何かありますでしょうか?」
私の目元だけで私の状況を瞬時に把握するカインは本当に優秀だ。
私はカインの言葉に頷きかけて、ふと考えた。
傲慢令嬢がこういう場合どのような態度を取るのかが分からなくなってきてしまった。
「こちらにどうぞ」
何の反応を見せない私をチラチラ見ながらミュルヘは私達が来た道を戻り始めた。
カインは私の背中に軽く触れ、先を促す。
考え込んでも仕方がない、今さら私には演技など無理だ半ば諦めが入りながら、ミュルヘの後へ続いた。
扉から出ると少し歩き、また似たような扉の前にミュルヘは立った。
鍵を出して開き中へと入って行く。
「どうぞ」
ミュルヘの許可にカインが先に部屋へ足を踏み入れる。
その後を私も追い、少しカビ臭く暗い部屋を見回す。
「ここは私個人が現地で仕入れてきた一級品を保管している部屋です。私の執務室と言った所でしょうか」
部屋の端に置いてある質素な机の上のランプを灯しながらニヤついた表情が見えた。
ほの暗い瞳が淡い光に照らされて、更に爛々と輝いて鳥肌が立つ。
「お嬢様はどういった物をご所望ですか?」
「まず宝石等から見せて頂いても?色の指定はありませんが青い物を多めでお願いします」
カインのその言葉を聞いたミュルヘはニタリと気持ち悪い笑みを深めながら私を全身舐め回すように見た。
ナメクジでも這ってきているかのような視線に冷や汗と身震いが起こる。
悲鳴が漏れなかっただけでも誉めてほしいくらいだ。
「私は野心のある方が大好きなんです。貴方とは仲良くなれそうだ」
私を見ていた視線をカインに移し、友好的に手を差し出してくるミュルヘをカインは訝しげに見ていた。
手とミュルヘの顔を往復していたカインの顔が何かに気付いて微笑みに変わる。
「はい。私の野心が成就するよう手を貸してください」
「もちろんです」
二人の間の空気を読めなくて困惑する。
いったい二人で何の意思疏通があったのか、私にはさっぱり分からなかった。
★★★
「今日の所はこれくらいでしょうか」
二人の仲が急速に縮まり、催促するよりも早く次々と珍しい品物が私達の前に差し出されていた。
これはもう密輸入のオンパレード。
真っ当な品は皆無、犯罪の香りしかしない話し合いだった。
私は一言も言葉を話すこと無く、扉の側から離れる事も無く終わった。
「お嬢様、少しお待ちいただけますか」
カインが扉を開けて外へと促したので、廊下の方へ踏み出すと耳元で小さく囁いてきた。
同意を求めるでもなく私の返事を確認する前に部屋へと戻っていくカイン。
ミュルヘに近付いて二人でこそこそ話をすると私の元に足早に帰ってくる。
「ありがとうございました」
「こちらこそとても有意義な時間でした。それではまた」
「お嬢様、行きましょう」
いつもしているように手を握り、私の歩調に合わせるように歩き出す。
「カ……ラルフ?」
名前を呼びそうになって一瞬息を飲み込んだ。
そして偽名で名乗っていた名前を小声で呼んでみる。
「話は後です。まずはここから出てマティオンと合流します」
小声で話すカインの息が耳を掠めて擽ったさに肩を少しだけ竦める。
「あ、すみません」
近かった顔が遠ざけられ、子犬のような悲しい目を向けられた。
「別に嫌だった訳じゃなくて……少し擽ったかっただけよ」
恥ずかしさを堪えながら呟くと、悲しそうだった顔が柔らかく崩れて笑みが浮かんだ。
こんなに近くに居るのに嫌ではなくて、もっと側にいてほしいと思ってしまう。
頬が赤くなるのが自分でも分かるくらい顔が熱くて扇子でパタパタ扇いでみたりする。
「私が近付いても大丈夫なんですね」
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