愛するということ

２．有紀子と加奈子

２．村上加奈子

　有紀子にとって、親友の前に大大大の大が付くほどの大親友加奈子は、中学校時代からの友達で、とても開放的な女の子だ。
　肩上ボブの黒髪で、それほど手入れをしていないのか、キューティクルが毛羽立っているのでは？　と、加奈子を見た人はまず思う。
　それでも可愛さは圧倒的だ。大きな二重でまつ毛がとても長い。黒目がちなせいで幻想的な雰囲気の目力がある。時々目を見開いた時に見える白目がとても綺麗で印象的だ。
　ドイツ美人とインドネシア美人を足して２で割って日本人にしたような顔立ち。あんたモデルか、とみんな言いたくなる。美人を通り過ぎて格好良いくらいだ。正直、この子が男子だったら、学校中探したって、加奈子よりハンサムはいない。
　１６０ｃｍだから高くないけど、女子としてはそこそこの身長だ。線が細くてしっかりと腰がくびれているから、胸の膨らみが際立つ。サイズはＢなので特別多きわけではないが、姿勢が良くて男子の目を引く。
　頭も悪くない。一緒に家で勉強会を開く有紀子に、よく勉強を教えていた。大学生の家庭教師が付いているから、勉強が出来るのも分かる。シャーペンを上唇に乗せて、目を閉じる有紀子が上の空でも、怒りながら教えた。だから有紀子は、加奈子は結構根気がある、と思っている。
　中学の時からテニス部に所属していて、それは今も続いていた。２年生で選抜入りするほどだから、スポーツ万能といっても過言ではない。実際体育の授業でも平然と好成績を弾き出し、文武両道ぶりを示している。
　性格はとても男子っぽい。実際、男子っぽい言葉使いで男子と話すこともある。
　ベースを奏でるような声音で、心に深く染み入る。聞いていて心地が良い。声自体は低くないのに、腰を据えて発声するから低く聞こえる。あえて低くしているのかもしれない。時折声が高くなる。その音階の抑揚が音楽の様で素敵だった。