188 / 192
59.有紀子と加奈子と里美の食事会
3.拡大? 分裂? 変態同盟
しおりを挟む
料理が口に運ばれる度に、皿の模様が徐々に姿を現す。普段接することのない不思議な花の模様に、里美は幻想の世界に迷い込んだかのように感じた。2人にそう言うと、「わたし達もそう思う」と言う。
嬉しそうな表情を見せる里美は、有紀子に訊いた。
「こんど、柚奈と萌愛にも教えてあげていい?」
「いいよー、教えてあげて。私も気に入ってくれてうれしい」
里美と有紀子がきゃぴきゃぴしているのを見て、加奈子が言った。
「お、いいね、急に同盟の人数が増えた」
ビックリした里美は、飲んでいた水を気管に入れてしまい咳き込む。
「ちょっとやめてよ、私達をそっちに引き込まないで! それはそっちで勝手にやっててよ!」
里美は、自分と2人との間に両手で何度も線を引いて言った。
「ええ⁉ 私も違いますからね!」
有紀子も同じように、自分と加奈子の間に両手で線を引いた。
「あはははは」と大きく口をあけて笑う加奈子は、「もうおそい」と言って、デザートを持ってきたお姉さんからケーキを受け取り、2人の前においた。
ケーキを一口「あーん」とする里美は、チラリと加奈子を見て言った。
「よくブラックなんて飲めるね」
黒い色をしたただの水でしかない缶コーヒーではない。加奈子は、店で焙煎して淹れる直前に挽いた豆を使った黒真珠色の苦いコーヒーをそのまま飲む。有紀子にはもう見慣れた光景だったが、ブラックコーヒーを飲む女子を初めて見た里美は心底驚く。当然自分も飲んだことが無い。
「そう? アメリカ育ちなのに意外」と、加奈子がケロッと言った。
「アメリカ人だからブラックってことないよ。そもそもアメリカンって薄いもん」
「そうなの?」2人は驚いて口をそろえた。
「うん、それにペットの緑茶にだってお砂糖が入ってるのが当たり前なんだから」
最近は、有名ブランドの無糖の緑茶が飲まれるようになってはいるが、アメリカの食べ物や飲み物は、日本のものよりもとても甘い。
3人がそれぞれのティーカップを見やる。有紀子と里美が時を同じくしてミルクティーを飲み終えた。それを見た加奈子が最後の一口を飲んで、「ニシシ」と笑った。
「今日はいい1日だったね。寺っちと栗ちーにいいお土産話ができました」
「だから私を巻き込まないでよ(笑)。渡辺さんだけにしてよね」と、里美が流すように言うと、有紀子が続けて、
「私もやーよ、変態同盟なんて」と、里美のトスをよけて言った。
「そうだ、今度から私達だけで食事しようよ。なんなら柚奈と萌愛も誘って」
加奈子の様に「ニシシ」と笑う里美に、有紀子も「ニシシ」と笑顔で答える。
「良いね、そうしよう」
加奈子がショックを受けた様子で、「えぇ~⁉ そんなぁ‼」と叫んだ。
嬉しそうな表情を見せる里美は、有紀子に訊いた。
「こんど、柚奈と萌愛にも教えてあげていい?」
「いいよー、教えてあげて。私も気に入ってくれてうれしい」
里美と有紀子がきゃぴきゃぴしているのを見て、加奈子が言った。
「お、いいね、急に同盟の人数が増えた」
ビックリした里美は、飲んでいた水を気管に入れてしまい咳き込む。
「ちょっとやめてよ、私達をそっちに引き込まないで! それはそっちで勝手にやっててよ!」
里美は、自分と2人との間に両手で何度も線を引いて言った。
「ええ⁉ 私も違いますからね!」
有紀子も同じように、自分と加奈子の間に両手で線を引いた。
「あはははは」と大きく口をあけて笑う加奈子は、「もうおそい」と言って、デザートを持ってきたお姉さんからケーキを受け取り、2人の前においた。
ケーキを一口「あーん」とする里美は、チラリと加奈子を見て言った。
「よくブラックなんて飲めるね」
黒い色をしたただの水でしかない缶コーヒーではない。加奈子は、店で焙煎して淹れる直前に挽いた豆を使った黒真珠色の苦いコーヒーをそのまま飲む。有紀子にはもう見慣れた光景だったが、ブラックコーヒーを飲む女子を初めて見た里美は心底驚く。当然自分も飲んだことが無い。
「そう? アメリカ育ちなのに意外」と、加奈子がケロッと言った。
「アメリカ人だからブラックってことないよ。そもそもアメリカンって薄いもん」
「そうなの?」2人は驚いて口をそろえた。
「うん、それにペットの緑茶にだってお砂糖が入ってるのが当たり前なんだから」
最近は、有名ブランドの無糖の緑茶が飲まれるようになってはいるが、アメリカの食べ物や飲み物は、日本のものよりもとても甘い。
3人がそれぞれのティーカップを見やる。有紀子と里美が時を同じくしてミルクティーを飲み終えた。それを見た加奈子が最後の一口を飲んで、「ニシシ」と笑った。
「今日はいい1日だったね。寺っちと栗ちーにいいお土産話ができました」
「だから私を巻き込まないでよ(笑)。渡辺さんだけにしてよね」と、里美が流すように言うと、有紀子が続けて、
「私もやーよ、変態同盟なんて」と、里美のトスをよけて言った。
「そうだ、今度から私達だけで食事しようよ。なんなら柚奈と萌愛も誘って」
加奈子の様に「ニシシ」と笑う里美に、有紀子も「ニシシ」と笑顔で答える。
「良いね、そうしよう」
加奈子がショックを受けた様子で、「えぇ~⁉ そんなぁ‼」と叫んだ。
0
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜
矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。
王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。
『…本当にすまない、ジュンリヤ』
『謝らないで、覚悟はできています』
敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。
――たった三年間の別れ…。
三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。
『王妃様、シャンナアンナと申します』
もう私の居場所はなくなっていた…。
※設定はゆるいです。
18年愛
俊凛美流人《とし・りびると》
恋愛
声を失った青年と、かつてその声に恋をしたはずなのに、心をなくしてしまった女性。
18年前、東京駅で出会ったふたりは、いつしかすれ違い、それぞれ別の道を選んだ。
そして時を経て再び交わるその瞬間、止まっていた運命が静かに動き出す。
失われた言葉。思い出せない記憶。
それでも、胸の奥ではずっと──あの声を待ち続けていた。
音楽、記憶、そして“声”をめぐる物語が始まる。
ここに、記憶に埋もれた愛が、もう一度“声”としてよみがえる。
54話で完結しました!
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる