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プロローグ
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人の世の時間でいえば、いつの時代のお話になるのでしょうか。少なくとも今の文明が生まれるずっと昔のお話です。
既に人間は存在していましたが、まだ今ほど多くもなく、色々な所で小さな集団を作って暮らしていました。大きな川沿いで時折生まれる今は無き文明の痕跡が我々に伝える神話よると、沢山の神や悪魔が登場します。
その中の1つの神話が伝えるには、このようなお話がありました。世界には我々の住む人間界の他に、天界と魔界が存在しているというのです。何千年という時間の中で、神話の多くが失われてしまいましたが、一部の石板は今も残っていて、人間の知らない神の世界や魔の世界を教えてくれました。
私達人間には見えませんが、時空を超えた遥か彼方に、曇りのない真っ白な雲海が延々と広がる世界ありました。すそ野はとても広大で、地平線の彼方まで続いているかのようです。それは中心に向かうにつれて渦を巻くように高くなっていきます。見上げてもその頂上が見えないほど高いところに、天界を支配する最高神が住む神殿がありました。
最高神の住む雲海の下にも、いくつもの雲海が存在していて、ピラミッドのようにいくつもの層を形成していました。
何もない雲海も有りましたが、大抵の雲海には、地球ほどの大きさがある半球状の大地が1つ浮かんでいます。里と里はとても遠くて、簡単には行き来出来ません。
半球部分は雲に沈んでいてどのような姿か分かりませんが、雲の上に浮き出た平面の部分は、1つ1つが全く異なる姿をしていました。
それらは里と呼ばれており、鳥の姿をした神々しか住んでいない里や、馬や牛など草食獣の神々しか住んでいない里、その他に肉食獣の神々の里や、魚の神々の里、海獣の神々の里などが、沢山の雲海の中に浮いています。
その中の1つに、大地のほとんどを草原と森が覆い尽くした里がありました。春になると、沢山の草花の精が生まれ、夏に生ると野菜や果物の精が生まれました。全ての里が羨むほどの豊かな季節が秋にかけて続き、冬ですら葉を絶やさない神や、花を咲かす神が住む里です。
その里は、天界を形成するピラミッド状の雲海の中腹に浮いていました。
里の中心には、里の隅々にまで恩恵をもたらす巨木がそびえています。1本の木に見えますが、色々な草木が絡み合ってできた巨大な樹木でした。この里を支配した歴代の主神が祭られているのです。このご神木の加護は、里の隅々にまで行きわたっていました。
ご神木の根が集めた水は、全ての植物に分け隔てなく与えられ、枯葉は腐葉土と化して大地に堆積し、みんなの栄養となりました。根元のそばには壮言な宮殿がそびえており、今の主神の名を冠する首都には、大変多くの神や精霊が住んでいて賑わっています。
花の神ベローナが主神を務める花の里と呼ばれるこの大地は、植物の神々が住む里で、大昔に最高神シダを生んだ名門です。
中心に栄える首都ベローナから南の方向に、黄土色に近い薄茶色いレンガで作られた古い砦がありました。遠い昔に神魔戦争で使われた砦で、数千年前に廃城となって、長い事廃虚になっていました。
周辺には小さな村しかない辺鄙なところでしたが、ある時、花の主神の1人娘である花の姫が封じられたことにより、大変にぎわう城下町が形成されました。
小高い丘の上に作られた城は、正方形のお堀に囲われています。正面の跳ね橋を渡ると城壁に囲まれた大きな門があって、くぐった先にはとても長い階段が、2つ目の城壁の門まで続いていました。
2の城門をくぐると、ようやく城の正門を望むことが出来ます。
砦とは、本来戦いで使用するために作られた城を言うのですが、城主である花の姫は、争い事が嫌いでした。何千年も戦はありませんでしたし、姫も戦争を知りませんでした。そもそも、この砦は、姫の2000歳の誕生日に主神より与えられたプレゼントでしたから、全く武装されていません。
姫の居城ですから当然兵士はいますが、つくしの精霊ばかりで強い軍隊はありませんでした。そもそもつくしは、ほとんどが精か妖精止まりの弱い植物です。精霊にまで成長でしたつくしは、城の清掃や給仕を担当するのが常で、正規の軍隊では採用されません。
戦いに向かない精霊でしたが、天真爛漫でアウトドアな性格の姫を護衛するために、花の主神が姫に与えたのでした。大抵は、姫の側近の松の神の命令で、姫のおてんばをとめる役です。
大変大きなお城でしたが、姫1人の為に存在するお城でしたから、ほとんどの部屋は空き室でした。侍従の数も姫1人に従うほどしかいないので、多くありません。数千人が住めるほど大きな要塞に、131人が住んでいました。姫を除くと、爺やの松の神、医者の檜の神、侍女のパンジーの神、後はつくしの精霊で構成されています。
そして、その他にただ1人だけ、バラの精が住んでいました。裏庭の隅の角っこに植えられたバラの精は、宮殿で生まれて地位の高い神々に囲まれて育った姫にとって、唯一のお友達です。少し年下の弟の様な存在でもありました。
この物語は、心優しき花の女神である姫の神気が満ち満ちた平和な睡蓮城を舞台にした、2人の女の子のお話です。
既に人間は存在していましたが、まだ今ほど多くもなく、色々な所で小さな集団を作って暮らしていました。大きな川沿いで時折生まれる今は無き文明の痕跡が我々に伝える神話よると、沢山の神や悪魔が登場します。
その中の1つの神話が伝えるには、このようなお話がありました。世界には我々の住む人間界の他に、天界と魔界が存在しているというのです。何千年という時間の中で、神話の多くが失われてしまいましたが、一部の石板は今も残っていて、人間の知らない神の世界や魔の世界を教えてくれました。
私達人間には見えませんが、時空を超えた遥か彼方に、曇りのない真っ白な雲海が延々と広がる世界ありました。すそ野はとても広大で、地平線の彼方まで続いているかのようです。それは中心に向かうにつれて渦を巻くように高くなっていきます。見上げてもその頂上が見えないほど高いところに、天界を支配する最高神が住む神殿がありました。
最高神の住む雲海の下にも、いくつもの雲海が存在していて、ピラミッドのようにいくつもの層を形成していました。
何もない雲海も有りましたが、大抵の雲海には、地球ほどの大きさがある半球状の大地が1つ浮かんでいます。里と里はとても遠くて、簡単には行き来出来ません。
半球部分は雲に沈んでいてどのような姿か分かりませんが、雲の上に浮き出た平面の部分は、1つ1つが全く異なる姿をしていました。
それらは里と呼ばれており、鳥の姿をした神々しか住んでいない里や、馬や牛など草食獣の神々しか住んでいない里、その他に肉食獣の神々の里や、魚の神々の里、海獣の神々の里などが、沢山の雲海の中に浮いています。
その中の1つに、大地のほとんどを草原と森が覆い尽くした里がありました。春になると、沢山の草花の精が生まれ、夏に生ると野菜や果物の精が生まれました。全ての里が羨むほどの豊かな季節が秋にかけて続き、冬ですら葉を絶やさない神や、花を咲かす神が住む里です。
その里は、天界を形成するピラミッド状の雲海の中腹に浮いていました。
里の中心には、里の隅々にまで恩恵をもたらす巨木がそびえています。1本の木に見えますが、色々な草木が絡み合ってできた巨大な樹木でした。この里を支配した歴代の主神が祭られているのです。このご神木の加護は、里の隅々にまで行きわたっていました。
ご神木の根が集めた水は、全ての植物に分け隔てなく与えられ、枯葉は腐葉土と化して大地に堆積し、みんなの栄養となりました。根元のそばには壮言な宮殿がそびえており、今の主神の名を冠する首都には、大変多くの神や精霊が住んでいて賑わっています。
花の神ベローナが主神を務める花の里と呼ばれるこの大地は、植物の神々が住む里で、大昔に最高神シダを生んだ名門です。
中心に栄える首都ベローナから南の方向に、黄土色に近い薄茶色いレンガで作られた古い砦がありました。遠い昔に神魔戦争で使われた砦で、数千年前に廃城となって、長い事廃虚になっていました。
周辺には小さな村しかない辺鄙なところでしたが、ある時、花の主神の1人娘である花の姫が封じられたことにより、大変にぎわう城下町が形成されました。
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姫の居城ですから当然兵士はいますが、つくしの精霊ばかりで強い軍隊はありませんでした。そもそもつくしは、ほとんどが精か妖精止まりの弱い植物です。精霊にまで成長でしたつくしは、城の清掃や給仕を担当するのが常で、正規の軍隊では採用されません。
戦いに向かない精霊でしたが、天真爛漫でアウトドアな性格の姫を護衛するために、花の主神が姫に与えたのでした。大抵は、姫の側近の松の神の命令で、姫のおてんばをとめる役です。
大変大きなお城でしたが、姫1人の為に存在するお城でしたから、ほとんどの部屋は空き室でした。侍従の数も姫1人に従うほどしかいないので、多くありません。数千人が住めるほど大きな要塞に、131人が住んでいました。姫を除くと、爺やの松の神、医者の檜の神、侍女のパンジーの神、後はつくしの精霊で構成されています。
そして、その他にただ1人だけ、バラの精が住んでいました。裏庭の隅の角っこに植えられたバラの精は、宮殿で生まれて地位の高い神々に囲まれて育った姫にとって、唯一のお友達です。少し年下の弟の様な存在でもありました。
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