FRIENDS

緒方宗谷

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三年生の一学期

💤

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 ぐでんぐでんのこの子は、ふらふらと車の後部付近に移動して、突然発生した喧嘩を見ようとするが、堪らずしゃがみ込んでおしりをつくと、ゆっくりと側臥して、車止めを枕に寝てしまった。
 その姿を見守っていた真理は、黒いシルクのようにしっとりと輝く切りそろえられた後ろ髪が汚れるのもいとわずにワゴンに寄りかかって、肩にかけた黒いポーチから、麗たちに渡されたものと同じ輸入品らしきシガリロを取り出して吸い始める。
 甘い香りの混ざったたばこのにおいがふわりと広がる駐車場で繰り広げられる喧嘩に、終始動揺する様子も見せない女豹は、それが終わるまで何事もないかのようにタバコをくゆらしていた。
 腰砕けになった豊原が、ゆるふわリーゼントにタックルをかますと、機動力を奪われた上半身に、佐々木の乱打がさく裂する。
 腰にしがみついた黒メッシュ交じりの金髪を抱え上げて、繰り返しパンチを繰り出す男に投げつけた若い男は足をがくがくさせながらも、戦線に復帰してきた小野と小池に殴る蹴るの暴行を浴びせかけて、体勢を立て直した佐々木に向き直って、大ぶりのストレートをぶちかます。
「くそっ、こいつ、ローファーん中に鉄しこんでやがる」
 そう叫んだ小池を蹴り飛ばして、小野と交互に長渕キックを連発し、この二人と佐々木、豊原の間を行ったり来たりしながら、しばき回す。
 しばらくして、駐車場に静寂が戻った。灰色のワイシャツを着た男の周りには、横たわってピクリとも動かない四人の大学生の姿があった。見るも無残であったが、さすがはアイドルといったことろだ。その姿もさまになっている。
 一部始終一瞥もしなかった真理が、ようやくマテオ色の目の端で男を睥睨する。
「おせーよ、なにしてんだよ、まったく」
「すいません」
 四人が気絶していることを足で確認しながら、火がついたままの吸殻をゆるふわ男に弾き飛ばして、咥えた新しいタバコに着火する。
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