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二年生の二学期
🐿️
しおりを挟むしながわお休み石と書かれたプレートのついたベンチに腰かけると、真っ先に腿の内にペットボトルを挟んだ奈緒が、一生懸命キャップを回す。心愛は、買ってからだいぶ経って、すでに常温になっているのだろうとでも思って、生ぬるい味でも想像しているのか、それとも少しでも飲みたいと思っているのか、全く結露していないペットボトルをぼんやりと眺める。そして、飲み口が赤い唇と接触するまで視線を送り続けた。
「高木君のことなにか聞いてる?」心愛が儚げな声でぽつりと訊いた。
「春樹君?」と聞き返した奈緒が、きょとんとした様子で彼女を見やる。
心愛は、少し躊躇したのか視線をはずして膝の外側に両手をつくと、ベンチのへりを軸にして上半身を前後に揺らす。
「この間、屋上で土屋君とけんかしたんでしょ。そのあと、廣飯さんともけんかしたっていうし、どうしちゃったんだろうって思って」
春樹が杏奈と喧嘩したという話は初耳だった。奈緒はびっくりして、心愛のつぶらな瞳に目を見張る。
真剣な眼差しで奈緒の相貌を見つめる心愛が、ゆっくりと唾を飲んだ。
「廣飯さんて、土屋君と別れたのかな?」
「別れた?」
ぎょっとした奈緒が一瞬大きな声を上げて、ぐっと縮こまって辺りを見渡す。遠くをポロシャツ姿の男子が一人歩く程度で、そばには誰もいない。奈緒は口をつぐんで、力んだ瞳を心愛に向ける。
「あの二人、付き合っていないと思うよ。二人とも 片思いというか、相思相愛だけれども、まだ告白して いない感じ…かな?」そして首を傾げる。
「そうなの? 信じられない。だっていつだってあの二人は一緒だったでしょ? クラス委員とか生徒会だからっていうのもあったけれど、どことなく他の人たちより距離近いかなって」
心愛は押し黙って唇を閉じ、少し考えこむ素振りを見せた。そして神妙な面持ちで地面の一点を見つめる。
「五人の関係って最近どうなの? 成瀬さんも廣飯さんと一緒にいるところあまり見ないし、ちゃんと集まってる?」
眉を八の字にして困った様子の奈緒が、口端を少し弓なりに引き上げて横に引き延ばした。
「うーん。あの 人 は、生徒会が忙しいから、あまり 遊べて いないから、わたしも疲れていないか なぁって、心配してるの」
心愛が少し意外そうな顔をして、奈緒の目頭から目尻のあたりに視線を漂わせる。
「いつも一緒にいた廣飯さんと土屋君が最近一緒にいないのは事実でしょ。そればかりか、土屋君って廣飯さんをさけているようにも見えるんだよね」
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