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二年生の二学期
第百八十五話 務への手紙
しおりを挟む十月に入ってから少ししたある日、久しぶりに南と一緒に下校した奈緒は、彼女を誘って北千束駅の近くにあるカフェの席に座っていた。ファンクっぽい要素を含んだロックが流れる店内で、南が頭を抱えながら黙りこくっている。
ソファに寄りかかった奈緒の目の前に座る彼女は、モモタの絵が描かれた茶虎色に縁どられた便箋に書かれた文字と悪戦苦闘している。
「どうかなぁ、これ」奈緒がしびれを切らして訊いた。
「ちょっとまって、まず日本語じゃないなにかが書かれているのだけは分かる。あと、便箋に線が引いてあるんだから、ちゃんとそれに沿って書きなよ」
「無理難題を押し付けないでください。どこか間違ってるところがあったら教えてください」
「逆ギレですか? 文章としては、ほぼほぼ正解していないよ。ひらがなでもカタカナでも漢字でもアルファベットでもないなにかを大量に含んでいるし」
「わちゃぁ、だめだぁ、もう。わたしどうしたらいいんだろう」奈緒は、おでこでテーブルをこつんと叩く。
そんなこの子のつむじに向かって、南が言った。
「とりあえず、どちらも高木と土屋にあてた手紙だよね。これを正しく直したいってわけ?」
「そう。今日はお茶おごるから、やってくださいっ、おねがいございます」
恭しく言う奈緒を、南は鼻で笑った。
「まず最初のつとむくんが“つともくん”になってるよ。しかも次の行に高ぎ春き様って書いてある。どっちに出したいの?」
「え? 分かんないけど――務君かな?」
「じゃあ、土屋務様にしなきゃ」
「つとむくんへと土屋務様って入れたら変かな?」
「うん、変だよ、どっちか消さなきゃ。ていうか、高木に出すほうは高木春樹様になってるから、どっちかに統一したほうがいいんじゃない?」
「様にする。て、い、ね、い、だ、か、ら、」
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