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二年生の二学期
第百九十四話 仲直り大作戦Part2
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第一次仲直り大作戦が失敗に終わってから、はや二週間近い。気温もだいぶ落ち着いてきた十月の後半、木々の枝に揺れる葉っぱの瑞々しさにも老いを感じるようになった。風に擦れる音もどことなく乾いて軽くなり始めている。
奈緒はここ最近、ずっと北千束のカフェに入り浸っていて、日曜日の今日も入り口側に近いいつもの席で、一人鉛筆を片手に握りしめて、なにやら悩んでいた。
カランコロン、と入り口のドアにつけられたベルが鳴って、2000年代のファングが流れる店内に一人の女子が入ってくると、黒いスカジャンのポケットから出した左手で、すぐさま奈緒の向かいの椅子を引く。
「お待たせ、奈緒」
南は、そう声をかけて席に着くなり「ちょっとちょうだい」と言って、この子の返答も待たずに細めのフライドポテトを数本つまんで、焦げ茶色のソースを掬って口に運んだ。そして顔面を渋く萎める。
「うわっ、これチョコじゃん。フライドポテトにチョコって、斬新すぎない?」
「うん、でも美味しいよ。おソースを三つから選べるんだって。わたし色々悩んじゃった、混ぜたら美味しいかなぁって」
「とか言いつつ、両方ともチョコじゃん。二つ選べるのにチョコチョコってどういう了見?」
「ちょこちょこだって、ウケる」
「ウケないよ、笑いのツボどこにあんの?」そう言ってポテトを一本つまんで口に入れ、「にしても、おしゃれだね、このトーチのやつ。これ、料理用のスタンドなの? それとも転用かな」そう言って黒い逆円錐形の渦を横から眺める。
「なんだろね、ココットはめるところがあるから、食器の“食器”だと思うけど」奈緒がどうでもよさそうに答える。
「へぇ~、初めて見た」
奈緒はここ最近、ずっと北千束のカフェに入り浸っていて、日曜日の今日も入り口側に近いいつもの席で、一人鉛筆を片手に握りしめて、なにやら悩んでいた。
カランコロン、と入り口のドアにつけられたベルが鳴って、2000年代のファングが流れる店内に一人の女子が入ってくると、黒いスカジャンのポケットから出した左手で、すぐさま奈緒の向かいの椅子を引く。
「お待たせ、奈緒」
南は、そう声をかけて席に着くなり「ちょっとちょうだい」と言って、この子の返答も待たずに細めのフライドポテトを数本つまんで、焦げ茶色のソースを掬って口に運んだ。そして顔面を渋く萎める。
「うわっ、これチョコじゃん。フライドポテトにチョコって、斬新すぎない?」
「うん、でも美味しいよ。おソースを三つから選べるんだって。わたし色々悩んじゃった、混ぜたら美味しいかなぁって」
「とか言いつつ、両方ともチョコじゃん。二つ選べるのにチョコチョコってどういう了見?」
「ちょこちょこだって、ウケる」
「ウケないよ、笑いのツボどこにあんの?」そう言ってポテトを一本つまんで口に入れ、「にしても、おしゃれだね、このトーチのやつ。これ、料理用のスタンドなの? それとも転用かな」そう言って黒い逆円錐形の渦を横から眺める。
「なんだろね、ココットはめるところがあるから、食器の“食器”だと思うけど」奈緒がどうでもよさそうに答える。
「へぇ~、初めて見た」
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