FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第百九十六話  誕生月は適当に

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 十一月に入って最初の土曜日。奈緒は、久しぶりにおしゃれをして家を出た。地域交流会のあとに行われた食事会の時と似た格好で、トップスは、赤いギンガムチェックのワイシャツに薄桃色のボアコートでマフラー無し。ボトムスは、パーティードレスとしても使えそうな紺色でストレートなフルレングスのパンツスタイル。
 わざわざ家まで迎えに来てくれた南と共に、この子が中延駅までやって来ると、改札の外にあるお花屋さんのそばには、すでに務と春樹が待っていた。
 二人の存在を確認した奈緒は歩速を上げて改札を出ると、花屋の店先の左端にいた務をちらりと見たあと、右端にいた春樹に視線を移して左右交互に手を振りながら、二人の間の床に並べられた色とりどりの花が咲くポットの手前向かって歩んでいく。
「お ま た せ。ちゃんと 来てくれてうれしい」
 務と春樹は、お互いの距離や行動を計りながらといった様子で、おずおずと本日のヒロインに近づく。先に声をかけたのは、務だった。
「誕生日おめでとう。こんなにも遅くなってごめんね、本来ならこっちが計画して祝ってあげないといけなかったのに」
「ううん、計画立てるの楽しかった。ちょっと 予行練習や 吟味も したりして」
「なにそれ。わたし知らない」南がつっこむ。
「うん。南ちゃんも大事なゲストだから、内緒にした。フラッシュモブだよ」
「違うと思うけど、まあいいや。確かにこっち側の駅には来ないもんね。実際初めてかも」
 左の脛を踵で掻くと、すぐさま姿勢を正す。
「あれ? よく見るとこのお花屋さん、建物じゃないんだね。高架の柱の間に大きな青い車入れて店舗にしてるんだ」
 奈緒は頷きながら生返事をすると、両手を黒いマウンテンパーカーのポケットに突っ込んだ春樹のことをぼんやりと見た。そして何を思ったのが、南の肩をボアの袖でぺたりと叩く。
「なんで、ここ二人まで仲悪いの? こらって怒るよ?」
「別にそんなことないって」南がちらりと春樹を見た。
 とっさに視線をはずした彼が、務が着る紺のチェスターコートの前建の間に映える真っ白なワイシャツのフロントボタンを見やる。
「そんなことより奈緒、なんで中延駅待ち合わせなの? てっきり、北千束のカフェで食事会かと思った。若しくは奈緒んちでイタリアンフルコース」
 誰に言うわけでもなく、南が口を開く。
「キッチン貸してくれたら、いくらでも腕ふるうのに」
 フードがしまってある都合上で膨れた襟を首筋で擦りながら、春樹が奈緒を見る。
「いつも思うんだけど、奈緒って手紙書くのうまいよな。絵はがきは変なのしか送ってこないくせに」
「失礼な。渾 身 の 絵手紙送ってるのに」
 鼻全体に力を込めて皺くちゃにした奈緒の顔面中央が、吸血蝙蝠と化して、みんなが笑った。




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