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二年生の二学期
🍭
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しばらく押し黙った奈緒が、おもむろに口を開く。
「九月が奈緒の誕生日?」と、首を傾げて南に訊く。
「知らないよ」
「わたしの誕生日はいつですか?」
「だから知らないって」
奈緒が9月を指さす。
「わたし、こっちに生まれた。でも分かんない、七月に、生まれ ました」
「とりあえずそこ空欄にしたら? あとでおばさんに確認しよう」
「そだね。でも今掛ける。すまほ、かしてください」
確認が終わると、また泥んだように文字を書き始めた。最後まで描き切って「よしっ」と呟いて顔を上げ、薄い黄土色のチノパンをポリポリかきながら首を傾げる。
「この手紙でうまくいくと思う? 前のも自信があったの だけれど、だめでした。今回も どうかしらね」
「うまく書けてはいたんだけどね。普通だったらあれで仲直りできたと思うよ。今回はこの内容だから、もう間違いないんじゃない? ほとんど脅迫状並みのインパクトあるし」
「そうかなぁ。だめ? 気持ちを書いた。脅しとかじゃなくて」
「うん、いいと思う。逆にこれくらい書かないと、あの二人はいつまでたっても動けないだろうし。でもこの手紙を受け取った時のあいつらの顔が目に浮かぶようだよ。ぎょっとするだろうね、こんなこと書かれたら。四の五の言わずにお祝いに来るしかないよ」
「わたしを口実にした。二人はお話しするかなぁ? してほしいけど、無理ならそれでいい。おしょ くじ会とか お出かけ会とか して、また頑張るから。でももっと早くにこうできればよかったけど、なんでできなかったんだろ」
「文化祭があったからでしょ」
「覚えてない」
「奈緒はセンターや絵手紙があったし、二人の仲直りのことばかり考えていたから、特別がっつり準備をてつだったりはしなかったし、本番では買い食いばかりして二人のこと忘れてたみたいだったし」
「あはははは、思い出した、食べたことだけは。もういいやね、そんなことは」
笑いで吹き飛ばしたあと、不意にきょとんとしだす。
「そういえば、体育祭してない。ないのかな?」
「六月にあったよ」
「知らない。なんでだろ」
「休んでたからでしょ」
「そうか、運動きらいだからいいや。来年も休もう」
奈緒は照れを隠すように笑いながら、もう一枚同じ内容の手紙を書いて、春樹宛にした。
「九月が奈緒の誕生日?」と、首を傾げて南に訊く。
「知らないよ」
「わたしの誕生日はいつですか?」
「だから知らないって」
奈緒が9月を指さす。
「わたし、こっちに生まれた。でも分かんない、七月に、生まれ ました」
「とりあえずそこ空欄にしたら? あとでおばさんに確認しよう」
「そだね。でも今掛ける。すまほ、かしてください」
確認が終わると、また泥んだように文字を書き始めた。最後まで描き切って「よしっ」と呟いて顔を上げ、薄い黄土色のチノパンをポリポリかきながら首を傾げる。
「この手紙でうまくいくと思う? 前のも自信があったの だけれど、だめでした。今回も どうかしらね」
「うまく書けてはいたんだけどね。普通だったらあれで仲直りできたと思うよ。今回はこの内容だから、もう間違いないんじゃない? ほとんど脅迫状並みのインパクトあるし」
「そうかなぁ。だめ? 気持ちを書いた。脅しとかじゃなくて」
「うん、いいと思う。逆にこれくらい書かないと、あの二人はいつまでたっても動けないだろうし。でもこの手紙を受け取った時のあいつらの顔が目に浮かぶようだよ。ぎょっとするだろうね、こんなこと書かれたら。四の五の言わずにお祝いに来るしかないよ」
「わたしを口実にした。二人はお話しするかなぁ? してほしいけど、無理ならそれでいい。おしょ くじ会とか お出かけ会とか して、また頑張るから。でももっと早くにこうできればよかったけど、なんでできなかったんだろ」
「文化祭があったからでしょ」
「覚えてない」
「奈緒はセンターや絵手紙があったし、二人の仲直りのことばかり考えていたから、特別がっつり準備をてつだったりはしなかったし、本番では買い食いばかりして二人のこと忘れてたみたいだったし」
「あはははは、思い出した、食べたことだけは。もういいやね、そんなことは」
笑いで吹き飛ばしたあと、不意にきょとんとしだす。
「そういえば、体育祭してない。ないのかな?」
「六月にあったよ」
「知らない。なんでだろ」
「休んでたからでしょ」
「そうか、運動きらいだからいいや。来年も休もう」
奈緒は照れを隠すように笑いながら、もう一枚同じ内容の手紙を書いて、春樹宛にした。
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