FRIENDS

緒方宗谷

文字の大きさ
609 / 792
二年生の二学期

🍭

しおりを挟む
 しばらく押し黙った奈緒が、おもむろに口を開く。
「九月が奈緒の誕生日?」と、首を傾げて南に訊く。
「知らないよ」
「わたしの誕生日はいつですか?」
「だから知らないって」
 奈緒が9月を指さす。
「わたし、こっちに生まれた。でも分かんない、七月に、生まれ ました」
「とりあえずそこ空欄にしたら? あとでおばさんに確認しよう」
「そだね。でも今掛ける。すまほ、かしてください」
 確認が終わると、また泥んだように文字を書き始めた。最後まで描き切って「よしっ」と呟いて顔を上げ、薄い黄土色のチノパンをポリポリかきながら首を傾げる。
「この手紙でうまくいくと思う? 前のも自信があったの だけれど、だめでした。今回も どうかしらね」
「うまく書けてはいたんだけどね。普通だったらあれで仲直りできたと思うよ。今回はこの内容だから、もう間違いないんじゃない? ほとんど脅迫状並みのインパクトあるし」
「そうかなぁ。だめ? 気持ちを書いた。脅しとかじゃなくて」
「うん、いいと思う。逆にこれくらい書かないと、あの二人はいつまでたっても動けないだろうし。でもこの手紙を受け取った時のあいつらの顔が目に浮かぶようだよ。ぎょっとするだろうね、こんなこと書かれたら。四の五の言わずにお祝いに来るしかないよ」
「わたしを口実にした。二人はお話しするかなぁ? してほしいけど、無理ならそれでいい。おしょ くじ会とか お出かけ会とか して、また頑張るから。でももっと早くにこうできればよかったけど、なんでできなかったんだろ」
「文化祭があったからでしょ」
「覚えてない」
「奈緒はセンターや絵手紙があったし、二人の仲直りのことばかり考えていたから、特別がっつり準備をてつだったりはしなかったし、本番では買い食いばかりして二人のこと忘れてたみたいだったし」
「あはははは、思い出した、食べたことだけは。もういいやね、そんなことは」
 笑いで吹き飛ばしたあと、不意にきょとんとしだす。
「そういえば、体育祭してない。ないのかな?」
「六月にあったよ」
「知らない。なんでだろ」
「休んでたからでしょ」
「そうか、運動きらいだからいいや。来年も休もう」
 奈緒は照れを隠すように笑いながら、もう一枚同じ内容の手紙を書いて、春樹宛にした。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

after the rain

ノデミチ
青春
雨の日、彼女はウチに来た。 で、友達のライン、あっという間に超えた。 そんな、ボーイ ミーツ ガール の物語。 カクヨムで先行掲載した作品です、

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...