FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

💰️

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 入っていたのは生理用品。それに紛れて隠されていた四つ折りにされた一万円札を三枚見つけて、奈緒が生唾を飲む。そしてもう一度恭介をチラ見してから隙を突き、お札をみんなブレザーのポケットに入れた。
 ずいぶんと長い時間探し続けて、ようやく二人が諦めてこたつに戻る。恭介は散らかったものの上に大の字に寝転がって、唸り声をあげた。
「あ~あ、もう、ちくしょう。ついに見捨てられちまったのかなぁ。南~、帰ってきてくれよー、頼むからほんとに~」
「大丈夫ですよ、必ず帰ってきますから」
 そう慰めた奈緒に、右前腕を眉上弓の上に乗せて目を覆ったアル中男やもめが、漠然と問う。
「俺のこと、なんか言ってた?」
 奈緒はすぐには答えずに、寝転がる男の上がり下がりする腹を見る。
「あのあと、南ちゃんと話してないんですか?」
「したよ。だけど俺が、酒飲みながら腹割って話そうぜって言ったら、とたんに殴られた」
「よく暴力振るうんですか?」
「昔ほどじゃないけどな」
「昔?」
「中学の時。ほんとまだ生きてんのが不思議なくらいひどい家庭内暴力だったよ。でもみんな俺が悪いんだよな。妻に先立たれて自暴自棄だったから。一番つらいのは、自分のせいだって思い詰めて悩んでいたのは、あいつだっていうのにさ。あいつにああさせたのは俺なんだよ」
 声が、だんだんと涙で震えているようなった。
「申し訳ない。どう詫びていいんだか見当もつかないけど、帰ってきたらちゃんと謝りたい。いくら殴られてもかまわねぇ、気が済むまで殴ってくれていいから、帰ってきてくれ」そう言って、「ぐすぐす、ぐずず」と鼻を鳴らす。
「わたしよく助けられてきたけど、時々ほんと怖いもんね。守ってもらっているくせになにもそこまでって お も う 時 あったもん」と、しみじみ呟く。
「あいつのこと悪く思わんでやってくれ」恭介が笑った。
「うん。それよりも中学生の娘にけんかで負ける男親が格好悪い」
「面と向かって言うなよ。ガチで負けたわけじゃねーよ、名誉のために言っておくけど。女子に手ぇだせねぇだろー、男としてさぁ」
 奈緒は、「ふーん」と鼻であしらう。
 半べそをかいていた恭介は、興ざめした様子でむくりと起き上がる。体育座りをして、思い詰めた様子で黙りこくっていた。


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