FRIENDS

緒方宗谷

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三年生の一学期

🌱

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 奈緒は、肩と首にしがみついて肩車になろうとする男の子の腰をわきに抱え込んで膝をつくと、そのまま椅子に座らせる。それから、玄関ドアの隙間から外を覗いている小麦色の太郎君を抱っこして、そのまま椅子まで連れてくる。
 しゃがみ込んだところで、やってきた景虎君に後ろ髪を引っ張られたので、幾人かの先生が、「だめっ」と怒った。
「成瀬先生って、ちっとも怒らないわよね」と美和子先生が感心すると、恵先生が言った。
「本当。才能ですよね。わたしだったら、ちょっと怒っちゃいますよ」
 ほめそやす先生たちの視線に、奈緒がはにかんで首を傾げる。
「でも、怒ったほうがいいと思う。やっちゃ、いけないんだって、知らせ られるから。わたしが病院でリハビリしていた時も、しちゃいけないことすると、先生は怒ってくれて、しちゃいけないことを 知ることがで きたから。感覚的に。怒らない人のほうがいいけれど、怒れない人は だめだと思う」
 斎藤先生が大きく頷く。
「なるほどー。コントロールできるのが一番だよね。私も昔小学校で体育教師やっていたんだけど、平均台とか使う時はやっぱり危ないじゃない。たまにいるんだよな、危ないことする生徒とかさ。そういう時は叱ってやらないと繰り返すよね」
 音楽は、みんなで歌を歌うのだが、ほとんど毎週同じ曲を同じ順番で歌う。一部その季節に合わせた歌を歌うので、四月は春にまつわる歌を歌い、今月は端午の節句にまつわる歌が数曲加わった。
 夏陽君、朝輝君、芳香ちゃん、太郎君は、全く音楽に興味を示さなかったが、謙信君だけは、手のひらの血潮を透かしてみる歌にだけは反応して、サビには大きく手を振ってくれるので、奈緒も一緒になって手を振る。
 他の子供たちは、思い思いの楽器を手にして、歌を楽しんでいるので、先生たちはそばに寄り添って一緒に歌う。
 特に元気いっぱいなのは、勘助君と邦夫君だ。高校生の勘助君はタンバリンをもって、頭を縦に振りながら一心不乱に叩いているし、邦夫君は、両手にリングベルを持って足踏みしながら、創作ダンスを披露している。イントロとアウトロやサビでベルの鳴らし方を変えたり、振りやリズムも変化させられるほどうまい。
 先週の土曜日は、奈緒と一緒に音楽無しでサイファーをして、ウィップスのかおりが得意とするハウスに似たダンスを披露している。ちなみに、先生たちによる挙手で勝敗が決まったが、奈緒は五戦五敗だった。







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