576 / 858
二年生の二学期
🖼️
南が、少し安心した様子を雰囲気で醸し出した。
「でもすごいよ。三対一でも挑むんだから、結構えらいよ、弱いけど」
「一言多いよ」
奈緒が吹き出すとそれに釣られたのか南が笑い、春樹も続く。地下での出来事以来、ようやくちゃんとした笑いが起こったひとときだった。
バトミントンエリアから、「奈緒ちゃん」と呼ぶ声がして、三人が振り向く。ラケットを上に掲げて軽く振りながら、原口アンジェリカ沙織が、サラサラなミディアムヘアを揺らしながら近づいてくる。
南が、彼女にラケットを振り返した。
「ああ、奈緒の番が来たようだよ。わたしのところも試合終わりそうだから、そろそろ戻ろう」
そう言ってガットで春樹の頭を叩いてこの子をエスコートしながらその場を離れ、奈緒がコートに入るまでの間に耳元で囁く。
「それにしても土屋のやつ、そんなふうに思ってたんだね」
「なにが?」
「高木のこと。なんだっけ? 明るくて一生懸命で前向きでって話」
「そんなこと言ってたの?」
「君が言ったんでしょ、土屋がそう言ってたって」
「そうだった。適当に言った。騙されて仲直ってくれたらよかったのに」
けらけら笑う奈緒を愕然と見やる南が、わなわなと震えて首をすくめると更に小声になった。
((うそついたの? なんかものすごいなにかの片鱗見せられた気がする))
「まあ、いいじゃん? ((う “ほ” も ほ、“お”、べ、ん))」
試合が始まるのを待つ女子生徒をネット越しに見やる奈緒はあっけらかんとした様子で、話を続けようとする南をしっしっと手で払いのけて追い立てると、コートの外まで遠ざけた。
🧳原口アンジェリカ沙織🥋
右端の2人は奈緒と瑠衣
作画:緒方宗谷
「でもすごいよ。三対一でも挑むんだから、結構えらいよ、弱いけど」
「一言多いよ」
奈緒が吹き出すとそれに釣られたのか南が笑い、春樹も続く。地下での出来事以来、ようやくちゃんとした笑いが起こったひとときだった。
バトミントンエリアから、「奈緒ちゃん」と呼ぶ声がして、三人が振り向く。ラケットを上に掲げて軽く振りながら、原口アンジェリカ沙織が、サラサラなミディアムヘアを揺らしながら近づいてくる。
南が、彼女にラケットを振り返した。
「ああ、奈緒の番が来たようだよ。わたしのところも試合終わりそうだから、そろそろ戻ろう」
そう言ってガットで春樹の頭を叩いてこの子をエスコートしながらその場を離れ、奈緒がコートに入るまでの間に耳元で囁く。
「それにしても土屋のやつ、そんなふうに思ってたんだね」
「なにが?」
「高木のこと。なんだっけ? 明るくて一生懸命で前向きでって話」
「そんなこと言ってたの?」
「君が言ったんでしょ、土屋がそう言ってたって」
「そうだった。適当に言った。騙されて仲直ってくれたらよかったのに」
けらけら笑う奈緒を愕然と見やる南が、わなわなと震えて首をすくめると更に小声になった。
((うそついたの? なんかものすごいなにかの片鱗見せられた気がする))
「まあ、いいじゃん? ((う “ほ” も ほ、“お”、べ、ん))」
試合が始まるのを待つ女子生徒をネット越しに見やる奈緒はあっけらかんとした様子で、話を続けようとする南をしっしっと手で払いのけて追い立てると、コートの外まで遠ざけた。
🧳原口アンジェリカ沙織🥋
右端の2人は奈緒と瑠衣
作画:緒方宗谷
あなたにおすすめの小説
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
両隣の幼馴染が交代で家に来る
みらいつりびと
恋愛
両親がタイへ行く。
父親が3月上旬に上司から命じられた。4月1日からバンコクで勤務する。
うちの父と母はいわゆるおしどり夫婦というやつで、離れては生きていけない……。
ひとり暮らしの高校2年生森川冬樹の世話をするため、両隣の美しい幼馴染浅香空と天乃灯が1日交代で通ってくる。
冬樹は夢のような春休み期間を過ごし、空と灯は火花を散らす。
幼馴染三角関係ラブストーリー。全47回。
サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜
野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」
「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」
この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。
半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。
別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。
そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。
学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー
⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
