123 / 514
世界の中心、揚羽蝶の話
広がる話は無限大
しおりを挟む
スズメバチを言い負かせたアゲハちゃんを讃える虫たちの宴は、何日も続きました。
大スズメバチを撃退できる虫なんて普通いませんから、アゲハちゃんの噂は山中に広がって、アゲハちゃんを一目見よう、と遠くからも虫たちがやってきます。
今日は、紋白蝶の一行がやって来て、黄色い声援をアゲハちゃんに向けていました。
「きゃー!アゲハちゃーん、こっち向いてー」
「手を振ってくれたわ!きゃ~」
アゲハちゃんは、もはやアイドルの域にまで到達しています。モモタは紋白蝶の蝶吹雪の中をやって来て、アゲハちゃんに言いました。
「すごい人気だね、やっぱりアゲハちゃんはすごいなぁ」
「すごいって言ったら、あの大スズメバチの女王、土の中に巣を作ったらしいわよ」
「アゲハちゃんは綺麗でとても可愛いけど、勇気もあるんだね」
「このお花とても良い香りでしょ?紋白蝶からいただいたの。
羽衣ジャスミンって言うのよ。
モモちゃんにもおすそわけ」
アゲハちゃんは、とろけるような甘い香りのする白くて可憐なお花を、モモタの赤い首輪にさしてくれました。
1匹の紋白蝶がよって来て、アゲハちゃんに訊きました。
「どうしたら、アゲハちゃんのように素敵になれますか?」
「素敵と言ったら玉虫君よね、みんなあの羽の色に憧れちゃうわ」
モモタが聞いていると、初めから最後まで話がずれています。
「これから他のお家のお庭を見学に行くから、モモちゃんも行きましょうよ」
アゲハちゃんがおでこにとまってそう言うので、モモタは行くことにしました。
山の中には点々と別荘が建っていて、それぞれのお庭はみんな個性的です。野菜畑になっていたり、お花畑になっていたり、果実園になっていたりします。
どこへ行ってもアゲハちゃんは大歓迎されました。それを見てモモタが言います。
「山全体がアゲハちゃんのファンみたい」
「山全体ってどのくらい大きいのかしら?」
「こんなに沢山の色々な蝶々が舞っていても、アゲハちゃんが一番かわいいね」
「こんなに飛んでいてぶつからないってすごいわね」
「アゲハちゃんは毎日羽のお手入れもしていて頑張り屋さんだから、誰よりもきれいなんだよね」
「モモちゃんの背中がお花でいっぱいになっちゃったわ。
お花を持ってくるのは大変よ、みんな頑張り屋さんだわ」
何を言っても違う答えが返ってきます。恥ずかしくて照れ隠ししているんだな、とモモタは思いました。
少し小高い坂の上に、黒いお家がありました。
そこには何とたくさんの揚羽蝶が住んでいました。
その中の1匹がアゲハちゃんに気が付いて、大声で叫びます。
「あら!アゲハちゃんが来たよ、みんな、アゲハちゃんが来たよ」
「みんな、ただいまー」
アゲハちゃんの生まれたお庭の様です。
宙も地も辺り一面揚羽蝶だらけ。アゲハちゃんを先頭に、いろんな種類の蝶々の大パレード。
綺麗過ぎて圧巻です。モモタは見惚れて言いました。
「アゲハちゃん、ホントに女王様になっちゃった」
「だから言ったでしょ、みんなそう言ってるって」
アゲハちゃんは、「うふふ」と笑って言いました。
大スズメバチを撃退できる虫なんて普通いませんから、アゲハちゃんの噂は山中に広がって、アゲハちゃんを一目見よう、と遠くからも虫たちがやってきます。
今日は、紋白蝶の一行がやって来て、黄色い声援をアゲハちゃんに向けていました。
「きゃー!アゲハちゃーん、こっち向いてー」
「手を振ってくれたわ!きゃ~」
アゲハちゃんは、もはやアイドルの域にまで到達しています。モモタは紋白蝶の蝶吹雪の中をやって来て、アゲハちゃんに言いました。
「すごい人気だね、やっぱりアゲハちゃんはすごいなぁ」
「すごいって言ったら、あの大スズメバチの女王、土の中に巣を作ったらしいわよ」
「アゲハちゃんは綺麗でとても可愛いけど、勇気もあるんだね」
「このお花とても良い香りでしょ?紋白蝶からいただいたの。
羽衣ジャスミンって言うのよ。
モモちゃんにもおすそわけ」
アゲハちゃんは、とろけるような甘い香りのする白くて可憐なお花を、モモタの赤い首輪にさしてくれました。
1匹の紋白蝶がよって来て、アゲハちゃんに訊きました。
「どうしたら、アゲハちゃんのように素敵になれますか?」
「素敵と言ったら玉虫君よね、みんなあの羽の色に憧れちゃうわ」
モモタが聞いていると、初めから最後まで話がずれています。
「これから他のお家のお庭を見学に行くから、モモちゃんも行きましょうよ」
アゲハちゃんがおでこにとまってそう言うので、モモタは行くことにしました。
山の中には点々と別荘が建っていて、それぞれのお庭はみんな個性的です。野菜畑になっていたり、お花畑になっていたり、果実園になっていたりします。
どこへ行ってもアゲハちゃんは大歓迎されました。それを見てモモタが言います。
「山全体がアゲハちゃんのファンみたい」
「山全体ってどのくらい大きいのかしら?」
「こんなに沢山の色々な蝶々が舞っていても、アゲハちゃんが一番かわいいね」
「こんなに飛んでいてぶつからないってすごいわね」
「アゲハちゃんは毎日羽のお手入れもしていて頑張り屋さんだから、誰よりもきれいなんだよね」
「モモちゃんの背中がお花でいっぱいになっちゃったわ。
お花を持ってくるのは大変よ、みんな頑張り屋さんだわ」
何を言っても違う答えが返ってきます。恥ずかしくて照れ隠ししているんだな、とモモタは思いました。
少し小高い坂の上に、黒いお家がありました。
そこには何とたくさんの揚羽蝶が住んでいました。
その中の1匹がアゲハちゃんに気が付いて、大声で叫びます。
「あら!アゲハちゃんが来たよ、みんな、アゲハちゃんが来たよ」
「みんな、ただいまー」
アゲハちゃんの生まれたお庭の様です。
宙も地も辺り一面揚羽蝶だらけ。アゲハちゃんを先頭に、いろんな種類の蝶々の大パレード。
綺麗過ぎて圧巻です。モモタは見惚れて言いました。
「アゲハちゃん、ホントに女王様になっちゃった」
「だから言ったでしょ、みんなそう言ってるって」
アゲハちゃんは、「うふふ」と笑って言いました。
0
あなたにおすすめの小説
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
にゃんとワンダフルDAYS
月芝
児童書・童話
仲のいい友達と遊んだ帰り道。
小学五年生の音苗和香は気になるクラスの男子と急接近したもので、ドキドキ。
頬を赤らめながら家へと向かっていたら、不意に胸が苦しくなって……
ついにはめまいがして、クラクラへたり込んでしまう。
で、気づいたときには、なぜだかネコの姿になっていた!
「にゃんにゃこれーっ!」
パニックを起こす和香、なのに母や祖母は「あらまぁ」「おやおや」
この異常事態を平然と受け入れていた。
ヒロインの身に起きた奇天烈な現象。
明かさられる一族の秘密。
御所さまなる存在。
猫になったり、動物たちと交流したり、妖しいアレに絡まれたり。
ときにはピンチにも見舞われ、あわやな場面も!
でもそんな和香の前に颯爽とあらわれるヒーロー。
白いシェパード――ホワイトナイトさまも登場したりして。
ひょんなことから人とネコ、二つの世界を行ったり来たり。
和香の周囲では様々な騒動が巻き起こる。
メルヘンチックだけれども現実はそう甘くない!?
少女のちょっと不思議な冒険譚、ここに開幕です。
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる