猫のモモタ

たかをくくったメインクーン

みんな損得

　モモタは、久々にアルフを見つけました。
　一緒に遊ぼう、と近づいていってみると、アルフのそばで、１匹の猫が身をかがめて笑っています。
　その猫は、モモタを見やると「それじゃあ、僕はこれで・・・」と去っていきました。
　モモタは、アルフが自分に気がつくのを待ってから、そばに行って話しかけました。
　「やったね、お友達ができたんだね」
　「いや、あれはお友達ではないさ」
　「どうして？身をかがめて、仲良くしてくださいって示してたでしょう？」
　「それは思惑があるのさ。
　　僕を利用して美味しい思いをしたいんだろう。
　　僕に頼んでごはんを分けてもらうとか、嫌いな猫をやっつけてもらうとか。
　　他にも悪いことして庇ってもらうとかね。
　　あのお友達みたいに僕と仲良くしたがるお友達も、他に数匹いるんだけれど、みんな目的はおんなじ。
　　その利用価値があるから、寄ってくるんだ。
　　本当に仲良くしたいわけじゃないさ」
　「それじゃあ、僕もおんなじになっちゃうよ」
　アルフは答えてくれません。モモタは悲しげに続けます。
　「僕は憧れてるんだ。
　　君の毛はきれいだし、体も大きいし、格好良いなぁって思ってるだけ。
　　あの猫は、陰口を言っている猫と変わらないじゃない。
　　それでも僕は、君を利用しているっていうの？」
　「大なり小なり、みんな利用しようとしているさ。
　　みんな、自分と違う猫に出会った時、どの猫もとる行動は、二つしかない。
　　敵になるか、すがってくるかの二通りだけ。
　　君は自分で気がついていないだけで、僕と仲良くなれば何かしら利用できることがあるって、瞬時に気がついたんだ」
　「そんな悲しいこと言わないでよ」
　「君だけじゃなくて僕もだよ。その思惑は、誰でも持ち合わせているんだ。
　　その思惑を果たすために、一番都合のいい感情を引き出して使うんだ」
　気持ちが先なのでしょうか、考えることが先なのでしょうか。
　モモタには分かりません。