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第十二話 アンドレイ・イワノフ再び!
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「また会ったな」とアンドレイ。
「わたしたち、まだ去ってもいないですけどね」
ローゼのやる気、ゼロは明らか。空気無視してアンドレイが突っ込んできた。
「男なら/分かって麺つゆ/一気飲みぃぃぃぃぃ」
意味分からん。でもすんげー威力。ぶつかった大木が絞め千切られた。折れたとか倒れたとかじゃないよ。絞め千切るってどんなだよ。
「何の標語よ」ローゼが叫ぶ。
「標語じゃねぇ、詩だ。ジパングのな」
「そんな詩おかしいでしょ」
「おかしくねぇ、短い文に気持ちを込めるの。短歌ってやつだ」
担架に乗ってどっかに行きたい。そんな気持ちを込めて、ローゼが言う。
「て言うか、何故にピンピンしてんの? わたし思いっきり刺したでしょ!」
「ああ、これのことか?」
これって、どこだ? 傷なんて全くない。
「ほら、これだよ」とアンドレイが腹を指さす。
ローゼたちが近寄っていって見てみるが、何にもない。
「ほら、これだって」
まったく分からないので、アップドアップズームイン。よく見ると、表皮の表皮、薄皮一枚がちょぴっとむけてた。
「そんだけ? レイピアで刺されてそんだけ?」ローゼが信じられない様子で問いかけた。
「武器なんて軟弱なもんが、この俺に通じるかぁ! がーはははははっ」
そう高笑い。
「もうやってられません」とローゼは逃げ出した。
「ウォッカは飲むな/浴びる物――字余り」
足んねーよ。“ウォッカは”と“飲むな”の間に“/”入れるのかな? でも足んねーだろ? とローゼが思いつく間もなく🎼うーっリンボー!🎼とアンドレイが歌い猛る。チャッチャ♪ チャチャ♪ チャッチャッチャ♪ チャチャチャ♪ チャッチャッ♪ チャッチャッ♪🎼うーっリンボー!🎼
下っ端が持ってきた棒の前で、行ったり来たりのアンドレイ。超軽快なリズム&ステップ。両端が燃えた松明わたされて踊り狂う。乱れ飛び散る男臭汗(おしゅうあせ)。よせよ燃えるよ? 脂身なみに。
果たして仰け反る姿勢で棒をくぐれるのか、固唾を飲んでエミリアが見守る。
「どうだー!」叫ぶアンドレイ。
でも全身火だるまと化す。
「ウォッカで燃えよ、俺のオーラよぉぉ‼」
ローゼたちめがけて、また突っ込んできた。猪突猛進、バカの一つ覚えみたいに一直線に突っ込んでくるもんだから、スピードはあるけど避けやすい。またも後ろにいた下っ端が絞められる。「うげげげげげげ~」みるみる間に蒼ざめていく。泡吹いてる。窒息?鬱血? いや違う。臭いんだ! わきで鼻と口が覆われて臭いんだ。だって吸う空気全部わきの窪みという名のフィルター通すから。吸った男臭(おしゅう)、息吐いた時にも残る確率絶対百パー。
「また一人絞め殺しちまった……」と言いながらアンドレイは立ち上がった。
違うよね、今の毒ガス攻撃で死んだんだよね。
見る見るうちに構成員が減っていく盗賊団。この戦いが始まって死んだやつって、みんなローゼたち以外に殺されているよ。約三名に。名前は言わないけどね。
「ボスのオーラが見えるなんて、ただ者じゃない」とオントワーン。
見えたくないよ。いっそ闇夜に紛れて出てくんな。そうつっこむローゼの言葉に被せて、パークが説明する。
「ボスの霊力はすごすぎて、実体化しているんだ。体内から溢れた霊力は汗のように毛穴から滲み出て、全身を覆っている」
いや、それ汗だろ? ただの汗っかきのくっさい臭だろ?
飽きもせず突っ込んでくるアンドレイ。避けるローゼ。ヒラヒラ舞うその姿は闘牛士の如くだ。足で地面を引っ掻くアンドレイ。興奮のあまり「ブヒブヒ」言ってる。いやそれ豚だろ、牛じゃねーよ。
つーか、何で絞め技ばかり? 拳闘士だろ? その構え!(ファイティングポーズ)
さすが、と言いたそうな面でアンドレイが答える。
「ほう、よく分かったな、俺は昔――」
軍人時代の回想。またかよ、もういいよ。回想三兄弟がよー。つーか、この目に滲みる悪臭何とかしろ! 洗わない道着? 腐り始めた野菜の酸っぱい臭い? 腐った卵? 腐った魚? 腐ってドロドロになった肉? 歯槽膿漏? どれも違う。いや、違うとも言い切れない。全部足した臭いだ。さっいっあっくっだぁー‼
「どんだけ臭いのよぅ、もう!」と、ドン引きローゼ。
「ぐわははは」と笑うアンドレイ。「むつーんとした臭いがたまんねーぜ」
「“む”がついてる。“つーん”に“む”がついてるよ⁉」
ローゼの顔がげぇ~、となる。
たじたじのエミリア「臭いのスジがトグロ巻いてるみたいですね」とダメ押し発言。ホントに悪臭の霧が充満中。緊急警報発令中。なんかまぶたが重い。傾眠凄過ぎ。ガスだ。間違いなくガス攻撃を受けている。
エミリアが両手を頬にあてがい、恍惚の笑みを浮かべて言った。
「筋肉美にウットリしちゃう」
間違ってる! ガスだってばよ。ラリッちゃってるよ。
アンドレイはまぶたを閉じて、何やら語り始める。
「軍人だった頃、サンセットブルーを越えてジパングに大遠征したことがあったんだ。
迎え撃つジパングとの海戦の最中だった。お互いがお互いの甲板に乗り込んで斬った張ったの大乱戦――」
「あ、結局回想すんのね」とローゼ。
「――ジパング兵は不思議な体術を使う。小さな体のくせにスゲー威力だ。俺はいとも簡単に投げ飛ばされしまった。どう投げられたのかも理解出来なかったぜ」
「ん? でも投げた方が悶絶して死んでますよね?」とエミリア不思議そう。
アンドレイは気にしない。
「結果は惨敗。運よく俺の船は沈まなくて帰国できた。――それ以来、俺はあの柔道って体術に魅了されちまったのさ」
回想シーン、全部わきの下から放たれた湿り気たっぷりな変に生温いであろう臭い成分の毒牙ばらまいて殺してるよーっ! 若いころから男臭汗(おしゅうあせ)凄かったんだな。
「わたしたち、まだ去ってもいないですけどね」
ローゼのやる気、ゼロは明らか。空気無視してアンドレイが突っ込んできた。
「男なら/分かって麺つゆ/一気飲みぃぃぃぃぃ」
意味分からん。でもすんげー威力。ぶつかった大木が絞め千切られた。折れたとか倒れたとかじゃないよ。絞め千切るってどんなだよ。
「何の標語よ」ローゼが叫ぶ。
「標語じゃねぇ、詩だ。ジパングのな」
「そんな詩おかしいでしょ」
「おかしくねぇ、短い文に気持ちを込めるの。短歌ってやつだ」
担架に乗ってどっかに行きたい。そんな気持ちを込めて、ローゼが言う。
「て言うか、何故にピンピンしてんの? わたし思いっきり刺したでしょ!」
「ああ、これのことか?」
これって、どこだ? 傷なんて全くない。
「ほら、これだよ」とアンドレイが腹を指さす。
ローゼたちが近寄っていって見てみるが、何にもない。
「ほら、これだって」
まったく分からないので、アップドアップズームイン。よく見ると、表皮の表皮、薄皮一枚がちょぴっとむけてた。
「そんだけ? レイピアで刺されてそんだけ?」ローゼが信じられない様子で問いかけた。
「武器なんて軟弱なもんが、この俺に通じるかぁ! がーはははははっ」
そう高笑い。
「もうやってられません」とローゼは逃げ出した。
「ウォッカは飲むな/浴びる物――字余り」
足んねーよ。“ウォッカは”と“飲むな”の間に“/”入れるのかな? でも足んねーだろ? とローゼが思いつく間もなく🎼うーっリンボー!🎼とアンドレイが歌い猛る。チャッチャ♪ チャチャ♪ チャッチャッチャ♪ チャチャチャ♪ チャッチャッ♪ チャッチャッ♪🎼うーっリンボー!🎼
下っ端が持ってきた棒の前で、行ったり来たりのアンドレイ。超軽快なリズム&ステップ。両端が燃えた松明わたされて踊り狂う。乱れ飛び散る男臭汗(おしゅうあせ)。よせよ燃えるよ? 脂身なみに。
果たして仰け反る姿勢で棒をくぐれるのか、固唾を飲んでエミリアが見守る。
「どうだー!」叫ぶアンドレイ。
でも全身火だるまと化す。
「ウォッカで燃えよ、俺のオーラよぉぉ‼」
ローゼたちめがけて、また突っ込んできた。猪突猛進、バカの一つ覚えみたいに一直線に突っ込んでくるもんだから、スピードはあるけど避けやすい。またも後ろにいた下っ端が絞められる。「うげげげげげげ~」みるみる間に蒼ざめていく。泡吹いてる。窒息?鬱血? いや違う。臭いんだ! わきで鼻と口が覆われて臭いんだ。だって吸う空気全部わきの窪みという名のフィルター通すから。吸った男臭(おしゅう)、息吐いた時にも残る確率絶対百パー。
「また一人絞め殺しちまった……」と言いながらアンドレイは立ち上がった。
違うよね、今の毒ガス攻撃で死んだんだよね。
見る見るうちに構成員が減っていく盗賊団。この戦いが始まって死んだやつって、みんなローゼたち以外に殺されているよ。約三名に。名前は言わないけどね。
「ボスのオーラが見えるなんて、ただ者じゃない」とオントワーン。
見えたくないよ。いっそ闇夜に紛れて出てくんな。そうつっこむローゼの言葉に被せて、パークが説明する。
「ボスの霊力はすごすぎて、実体化しているんだ。体内から溢れた霊力は汗のように毛穴から滲み出て、全身を覆っている」
いや、それ汗だろ? ただの汗っかきのくっさい臭だろ?
飽きもせず突っ込んでくるアンドレイ。避けるローゼ。ヒラヒラ舞うその姿は闘牛士の如くだ。足で地面を引っ掻くアンドレイ。興奮のあまり「ブヒブヒ」言ってる。いやそれ豚だろ、牛じゃねーよ。
つーか、何で絞め技ばかり? 拳闘士だろ? その構え!(ファイティングポーズ)
さすが、と言いたそうな面でアンドレイが答える。
「ほう、よく分かったな、俺は昔――」
軍人時代の回想。またかよ、もういいよ。回想三兄弟がよー。つーか、この目に滲みる悪臭何とかしろ! 洗わない道着? 腐り始めた野菜の酸っぱい臭い? 腐った卵? 腐った魚? 腐ってドロドロになった肉? 歯槽膿漏? どれも違う。いや、違うとも言い切れない。全部足した臭いだ。さっいっあっくっだぁー‼
「どんだけ臭いのよぅ、もう!」と、ドン引きローゼ。
「ぐわははは」と笑うアンドレイ。「むつーんとした臭いがたまんねーぜ」
「“む”がついてる。“つーん”に“む”がついてるよ⁉」
ローゼの顔がげぇ~、となる。
たじたじのエミリア「臭いのスジがトグロ巻いてるみたいですね」とダメ押し発言。ホントに悪臭の霧が充満中。緊急警報発令中。なんかまぶたが重い。傾眠凄過ぎ。ガスだ。間違いなくガス攻撃を受けている。
エミリアが両手を頬にあてがい、恍惚の笑みを浮かべて言った。
「筋肉美にウットリしちゃう」
間違ってる! ガスだってばよ。ラリッちゃってるよ。
アンドレイはまぶたを閉じて、何やら語り始める。
「軍人だった頃、サンセットブルーを越えてジパングに大遠征したことがあったんだ。
迎え撃つジパングとの海戦の最中だった。お互いがお互いの甲板に乗り込んで斬った張ったの大乱戦――」
「あ、結局回想すんのね」とローゼ。
「――ジパング兵は不思議な体術を使う。小さな体のくせにスゲー威力だ。俺はいとも簡単に投げ飛ばされしまった。どう投げられたのかも理解出来なかったぜ」
「ん? でも投げた方が悶絶して死んでますよね?」とエミリア不思議そう。
アンドレイは気にしない。
「結果は惨敗。運よく俺の船は沈まなくて帰国できた。――それ以来、俺はあの柔道って体術に魅了されちまったのさ」
回想シーン、全部わきの下から放たれた湿り気たっぷりな変に生温いであろう臭い成分の毒牙ばらまいて殺してるよーっ! 若いころから男臭汗(おしゅうあせ)凄かったんだな。
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