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第三十四話 正体発覚? 実はただの似非剣士
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眩しくて直視していられない。ローゼ&エミリアとおむつジジイの渾身の一撃がせめぎ合う。白く光る霊気とどす黒い瘴気とがぶつかり合い、放出されるすごい閃光が線香花火のように火花を散らし、電撃の如く爆音を轟かせていた。
「この娘ら、これほどとはっ!」とおむつジジイ。
みんなは一進一退の攻防を見守るしかない。近づこうものなら、巻き込まれて死にかねないからだ。
「ぬぬぬぬ~!」
歯噛みしながら唸るローゼに、おむつジジイが言った。
「お主、ただの剣士じゃないじゃろ?」
「ないわよぅー、フェンサー(軍の称号)ですらないですからねー。ハイエスト・デグリーなめんじゃないわよー」
それを聞いて、エミリアが騒ぎ出す。
「学生? ローゼさん、ただの学生ですかぁ?」
軍学校における学生の称号には幾つかあって、在学中の最高クラスがハイエスト・デグリー(最高学位)。卒業して兵士になればバトラー(戦う者)、院に進めばバチュラー(学士)の称号が貰えるけれど、成績が良ければフェンサーかファイターの称号が得られる。見習い騎士の下(ソルジャー)の下。
実はローゼ、軍で一番下のバトラー(フェンサーとファイターの下)ですらない。卒業すればフェンサー間違いなしだし、職業軍人として軍に入ればナイト(一代)の称号を得られる実力派。だけれども今現在、ホントはただの剣マニア。何の称号も持たない女の子。
愕然とするエミリア。
「わたし、こんな普通の女の子に命預けて旅してきたんですかぁ?」なじるような目でローゼを見やる。
「うるさいわね、称号より実力でしょ? 並じゃないの見てわかるでしょ!」
「確かにそうですけれど、もし弱かったらどうしてくれるんですか⁉ わたし十四ですのよ!」
モンスターみたいな実力しやがって、何言ってんだ?
抜けそうな力を何とか保って踏ん張るローゼ。
「ふぎぎぎぎー! 見ていないで手伝いなさいよぉぉぉ」
「🎼ガンバ! ガンバ! 頑張れローゼ♪
ガンバ! ガンバ! 頑張れローゼ♪ 頑張れロぉーゼっ🎼
特別応援歌、力出ましたか?」
「出るわけないでしょぉぉっ」
「青春です、ローゼさん。今ローゼさん輝いてますよ!」
こういう時、エミリアはいつも手伝ってくれない。愉快と痛快でできているのは間違いないよう。でもこっちは今、必死と決死でできている。ローゼは奇声を発して、火事場のクソ力を絞り出す。
レイピアに突かれたエミリアの霊力は次第におむつの中央を焦がしていく。
「クソ力と真正…の――あえて言いませんけどあれ対決! パークさんがいたらさぞ喜んだことでしょう」とエミリアが実況。
ついにおむつが蒸発。疲労困憊のローゼは、両手両膝を床についた。激しく乱れた呼吸を整えることもままならない。
おむつジジイはケロッとしている。
「ここまでわしをコケにして、大事なお宝までも奪いおってぇ! お前ら全員道連れだぁぁ‼‼‼‼」
おむつを下ろしたジジイは、うんこポーズで力みだす。
出すの? 出すの? ローゼたち後退り。
ブリブババババババァ~~~~~~~~~ッッッ‼‼‼‼‼‼‼‼
うんこ爆発。「ぎゃー」建物粉砕。逃げるローゼたちの横に土石流の如く大噴射。今いる建物の壁を吹き飛ばして、道路挟んだ向かいの建物、跡形もなく即座に全壊。でも大惨事はジジイのケツから向こうだけ。ジジイは完全無傷です。全然道連れてないでやんの。
ローゼたちの周りには、運よく生存空間ができていた。腰を抜かして動けずにいたのが幸いして、なんとか死なずに済んだようだ。でも標的にされたチンピラヤクザは糞まみれ。
表から悲鳴の嵐が聞こえる。
「何かくっさい」とローゼは鼻を抓んでジジイを見やる。
「溜まってたもんが全部出たからのー」
暗くてシルエットしか見えないけれど、目を凝らすとジジイの下っ腹がぺったんこ。いや、全部出たのは分かるけど、あの膨らんだお腹に収まりきれない量だったよね?
ここも半倒壊しているのか、吹き飛ばしたところはがれきに埋もれていて外光もほとんど無いし、塵とおならで薄暗い。組織のボスは部屋を明かりで照らそうと、下っ端のチンピラにランタンを持ってくるよう指示をする。「へい」と下っ端。
「あ、だめ、そんなことしたら――」
ローゼが言う間もなく出ていって、すぐに戻ってくる下っ端チンピラ。中に入った瞬間閃光が発せられたと思うや否や、瓦斯大爆発。マントで身を覆っていたローゼと、その陰で頭を抱えてしゃがんでいたエミリアはなんとか無事。
しばらくすると、外がさっきよりも騒がしい。会話の内容から察するに、駐在兵がやって来たのだろう。
ローゼがビシッとキメて言い放つ。
「とりあえず、悪の組織の皆さんは観念しなさい」
「くそっ」組織のボスが、悔しそうに言葉を吐いた。
瞬間、ローゼとエミリアの背中に悪寒が走る。
「糞だけに“くそ”だって」と誰かが笑う。つまんないのに。
裏組織の幹部たちは一目散。出られそうな隙間を探して散り散りに逃げていく。
外では大捕り物が展開中。中にも駐屯兵が入ってきた。一件落着だとホッとしたローゼが、エミリアとお互いの無事を確認してほほ笑みあいながら座っていると、突然おむつジジイが叫びだす。
「あの女らにやられたんじゃぁ」
ジジイがローゼたちを指さした瞬間、駐在兵たちがギロリと睨む。急に追いかけられて、思わず逃げ出すローゼたち。
「何でわたしたちまで⁉」とローゼが叫ぶ。
「ざまあみろだ」と幹部の一人。
「とばっちりなのにぃっ」
「どっちがだ!」
よく考えると、とばっちりは裏組織の方でした。
思ったよりも大事になっている。いや当然か、建物が二棟倒壊させたんだから。しかも糞便まき散らして。どんな嫌がらせだよ、大掛かりだな。
どこへ逃げても兵隊ばかり、もうほとんど戦争状態。非常事態宣言発令中。あえなくローゼとエミリアはお縄です。
「この娘ら、これほどとはっ!」とおむつジジイ。
みんなは一進一退の攻防を見守るしかない。近づこうものなら、巻き込まれて死にかねないからだ。
「ぬぬぬぬ~!」
歯噛みしながら唸るローゼに、おむつジジイが言った。
「お主、ただの剣士じゃないじゃろ?」
「ないわよぅー、フェンサー(軍の称号)ですらないですからねー。ハイエスト・デグリーなめんじゃないわよー」
それを聞いて、エミリアが騒ぎ出す。
「学生? ローゼさん、ただの学生ですかぁ?」
軍学校における学生の称号には幾つかあって、在学中の最高クラスがハイエスト・デグリー(最高学位)。卒業して兵士になればバトラー(戦う者)、院に進めばバチュラー(学士)の称号が貰えるけれど、成績が良ければフェンサーかファイターの称号が得られる。見習い騎士の下(ソルジャー)の下。
実はローゼ、軍で一番下のバトラー(フェンサーとファイターの下)ですらない。卒業すればフェンサー間違いなしだし、職業軍人として軍に入ればナイト(一代)の称号を得られる実力派。だけれども今現在、ホントはただの剣マニア。何の称号も持たない女の子。
愕然とするエミリア。
「わたし、こんな普通の女の子に命預けて旅してきたんですかぁ?」なじるような目でローゼを見やる。
「うるさいわね、称号より実力でしょ? 並じゃないの見てわかるでしょ!」
「確かにそうですけれど、もし弱かったらどうしてくれるんですか⁉ わたし十四ですのよ!」
モンスターみたいな実力しやがって、何言ってんだ?
抜けそうな力を何とか保って踏ん張るローゼ。
「ふぎぎぎぎー! 見ていないで手伝いなさいよぉぉぉ」
「🎼ガンバ! ガンバ! 頑張れローゼ♪
ガンバ! ガンバ! 頑張れローゼ♪ 頑張れロぉーゼっ🎼
特別応援歌、力出ましたか?」
「出るわけないでしょぉぉっ」
「青春です、ローゼさん。今ローゼさん輝いてますよ!」
こういう時、エミリアはいつも手伝ってくれない。愉快と痛快でできているのは間違いないよう。でもこっちは今、必死と決死でできている。ローゼは奇声を発して、火事場のクソ力を絞り出す。
レイピアに突かれたエミリアの霊力は次第におむつの中央を焦がしていく。
「クソ力と真正…の――あえて言いませんけどあれ対決! パークさんがいたらさぞ喜んだことでしょう」とエミリアが実況。
ついにおむつが蒸発。疲労困憊のローゼは、両手両膝を床についた。激しく乱れた呼吸を整えることもままならない。
おむつジジイはケロッとしている。
「ここまでわしをコケにして、大事なお宝までも奪いおってぇ! お前ら全員道連れだぁぁ‼‼‼‼」
おむつを下ろしたジジイは、うんこポーズで力みだす。
出すの? 出すの? ローゼたち後退り。
ブリブババババババァ~~~~~~~~~ッッッ‼‼‼‼‼‼‼‼
うんこ爆発。「ぎゃー」建物粉砕。逃げるローゼたちの横に土石流の如く大噴射。今いる建物の壁を吹き飛ばして、道路挟んだ向かいの建物、跡形もなく即座に全壊。でも大惨事はジジイのケツから向こうだけ。ジジイは完全無傷です。全然道連れてないでやんの。
ローゼたちの周りには、運よく生存空間ができていた。腰を抜かして動けずにいたのが幸いして、なんとか死なずに済んだようだ。でも標的にされたチンピラヤクザは糞まみれ。
表から悲鳴の嵐が聞こえる。
「何かくっさい」とローゼは鼻を抓んでジジイを見やる。
「溜まってたもんが全部出たからのー」
暗くてシルエットしか見えないけれど、目を凝らすとジジイの下っ腹がぺったんこ。いや、全部出たのは分かるけど、あの膨らんだお腹に収まりきれない量だったよね?
ここも半倒壊しているのか、吹き飛ばしたところはがれきに埋もれていて外光もほとんど無いし、塵とおならで薄暗い。組織のボスは部屋を明かりで照らそうと、下っ端のチンピラにランタンを持ってくるよう指示をする。「へい」と下っ端。
「あ、だめ、そんなことしたら――」
ローゼが言う間もなく出ていって、すぐに戻ってくる下っ端チンピラ。中に入った瞬間閃光が発せられたと思うや否や、瓦斯大爆発。マントで身を覆っていたローゼと、その陰で頭を抱えてしゃがんでいたエミリアはなんとか無事。
しばらくすると、外がさっきよりも騒がしい。会話の内容から察するに、駐在兵がやって来たのだろう。
ローゼがビシッとキメて言い放つ。
「とりあえず、悪の組織の皆さんは観念しなさい」
「くそっ」組織のボスが、悔しそうに言葉を吐いた。
瞬間、ローゼとエミリアの背中に悪寒が走る。
「糞だけに“くそ”だって」と誰かが笑う。つまんないのに。
裏組織の幹部たちは一目散。出られそうな隙間を探して散り散りに逃げていく。
外では大捕り物が展開中。中にも駐屯兵が入ってきた。一件落着だとホッとしたローゼが、エミリアとお互いの無事を確認してほほ笑みあいながら座っていると、突然おむつジジイが叫びだす。
「あの女らにやられたんじゃぁ」
ジジイがローゼたちを指さした瞬間、駐在兵たちがギロリと睨む。急に追いかけられて、思わず逃げ出すローゼたち。
「何でわたしたちまで⁉」とローゼが叫ぶ。
「ざまあみろだ」と幹部の一人。
「とばっちりなのにぃっ」
「どっちがだ!」
よく考えると、とばっちりは裏組織の方でした。
思ったよりも大事になっている。いや当然か、建物が二棟倒壊させたんだから。しかも糞便まき散らして。どんな嫌がらせだよ、大掛かりだな。
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