40 / 113
第四十話 クラゲ野郎の野望
しおりを挟む
「どっか他のビーチでやってよ。わたしたちの海水浴モードどうしてくれんのよ」
ローゼは説得を試みようとするが、クラゲ野郎は聞く耳を持ってくれない。
「やだね、ここじゃなきゃ嫌なんだ。――そうだ、僕の夢の手伝いをしてくれたら、このビーチを明け渡しても良いよ」
「本当?」(ローゼ&エミリア)
「クリオには幾つかビーチがあるんだけれど、このビーチが高校から一番近いんだ」と言って、クラゲ野郎は町を触手(指)さした。ローゼが見ると、一本道を上った先に都市学校らしき建物が見える。
クラゲ野郎が続ける。
「プール開きがあると、楽しそうな声がここまで聞こえてくるんだ。僕火星育ちだから、地球の学園生活に憧れているんだ。青春してみたいんだよ」
(火星人だと)まだ言ってる。聞くと、この砂浜に陣取っている理由が分かった。いつか学校までの道を水びだしにして、プールに侵入する気なのだ。
「楽しいだろうな。みんなでキャッキャと騒いだりして泳ぐの」クラゲ野郎は、とても楽しそうだ。
いやいやいや、とローゼが妄想をストップさせる。
「今のみんな溶けてたじゃんか! 大惨事だよ! プールの中スクール水着でいっぱいだよ」
「んあ? 大丈夫だよ、それ最後だから」
大丈夫じゃねーよ。最後であっても良くねーよ。
「待て待てーって追いかけっこするの。『クラゲ君、泳ぐの速いねー』って捕まえた女子に褒められたいんだ」
褒めてねーよ。大絶叫だよ。命乞いに必死だよ。みるみる間に溶けちゃってるよ。
「うっさい! うっさーい!」
ざっぶ~ん
やめろよ津波起こすの。服着てんだからさ。それにレイピアが錆びちゃうでしょ!
「しょうがないなぁ、じゃあ千歩、いや万歩譲って僕の彼女になってよ、ローゼリッタ」
それを聞いたエミリア、超乗り気。
「良いじゃないですか、ローゼさん。デートして満足してもらえれば楽なもんです」
「あんなことやこんなことをするんだ」とクラゲ野郎の妄想爆発。腕を組んで砂浜を歩いたり、海の家でEDMを踊ったり、ハートのストローを挿したトロピカルジュースを一緒に飲んだり、肩を寄せ合って夕日を見たり。
「タンマタンマタンマ!」ローゼ両手を頭上にかかげて、何度も交差。「事が進むにつれてわたし溶けてってるから! それにこのビーチ東向きでしょ! 夕日見えない!」
ほとほと呆れた感じのエミリアが、ため息を吐く。
「ローゼさん、固いこと言いっこ無しですよ。一万歩も譲ってもらってんですから」
「わたしゃどんな扱いだよ」
「ローゼさん一人で金貨百枚も手に入るんですから、安いもんです」
安過ぎだよ。わたしの価値いくらだと思ってんだよ。やっぱり退治するしかない、と踏んだローゼは、レイピアを抜いて構える。
「お、やる気か? ローゼリッタ」クラゲ野郎が身構える。
「能力ゼロのあんたになんか負けたりしないわ」
ぺっぺっぺっぺっ
宣戦布告したローゼめがけて、クラゲ野郎が唾を噴きかけた。
「わっ汚い!」レイピアで唾をつつき落としながら、ローゼが叫ぶ。接近を阻もうと伸ばす触手を千切りにして、プニョプニョぷるりんな体を二枚三枚と下ろして、ついにバラバラ。「いっちょあがりー」ローゼはクラゲ野郎に背を向けて、クールにポーズ。
「なかなか早いな」と感心するクラゲ野郎。「げっ、何で?」と,びっくりローゼ。「すごい回復力でくっついてしまいましたよ」とエミリアが解説。
「こんにゃろ」
ローゼは何度も何度も斬りつけて、お刺身みたいにさばいてやるが、クラゲ野郎はその度に復活する。終いには切ってるそばから復活していく。
「ローゼさん、いい加減やめたら……」エミリア既に諦めモード。
クラゲ野郎はどこ吹く風で「カ~セ~イ~ジ~ン~、シ~ナ~ナ~イ~」
ローゼはレイピアで肩をポクポク叩きながら、「うーん、なんかいけるかと思ったのよね」と言って「ほら、ここ」切先でクラゲ野郎の頭(?)を指し示す。「なんか小っちゃいのが見えてるでしょ? これを破壊すれば、と思って――」
するとクラゲ野郎、女の子が胸を隠すみたいなボーズで照れて、頬(?)を朱に染める。。
「いや~ん、内臓見ないで~、エッチ」
なんだ内臓かよ、核じゃないんか。なに両手(?)で顔面(?)覆ってんだよ。身も触手も透けてるから意味ねーよ。全方位から丸見えだよ。
「ばか~ん――あ、バ~カ~ン~」とクラゲ野郎。喉をトントンしながら言い直す。
「さっきも喉って書いてあったけれど、触手の束の根元だからね」とローゼ。
呆気にとられる二人目掛けて、クラゲ野郎いきなりドバァァァァ粘液噴射。全身ヌメヌメ。一歩間違ったらR指定。
「やー、なんですかぁ? このヌルヌルー」とエミリア。「やだぁ気持ち悪い」
ローゼも怒って「ちょっと何すんのよ!」と怒鳴りつける。
「ふっふっふっ、これからがお楽しみだ」と笑うクラゲ野郎。
「お楽しみって……」ローゼがはたと気がついた。「これって、スライムとかがよくやるやつでは?」
「ほう、知っているのか?」
ローゼは、分からない、と言うエミリアに説明してやる。
「服だけとかして、『やだ、エッチー』とか女の子に言わせるやつよ」
それを聞いてエミリアが赤面。
「裸にさせられちゃうんですか?」
「そうよ、R指定間違いないわね」
そう恐ろしげに説明するローゼにエミリア「がびーん」。
でもクラゲ野郎が笑いながら言った。
「甘いな、スライムなんて下等な生物と一緒にすんなよ。僕のは消化液だから、繊維質の洋服は溶けないぞ」
「そうなの?」とホッとする二人。
「タンパク質しか溶けないんだ」
「なーんだ、そうか――てもっとヤバいじゃん」ローゼ反応に大忙し。
「服だけ残るよ」とクラゲ野郎がさらりと言う。「Rは無いから」、だって。
いや、バイオレンス過ぎてRがつくよ。二人は急いで海にザブン。消化液を洗い流す。ポーションを塗っていたおかげで、ドロシーちゃんみたいにならずに済んだ。
「ローゼさん、すごいこと思いついちゃいました」とエミリア。「ドロシーちゃんがドロリーちゃん」
笑えないよ。草葉の陰で恨まれてるぞ。
「ドロと泥もかかってるんです」
追い打ち掛けるなよ。
「自ら海に入るとは有り難い」と海水の上を浮遊してやって来たクラゲ野郎が、ざっぶーん、ざっぶーん、と波を起こす。
「やめんかっ、ばかー」と叫ぶローゼは、マントでバチンとクラゲ野郎を叩き落とす。水を吸って重くなったマントの威力に耐えられなくて、クラゲ野郎ミンチになって沖に流されていった。
ローゼは説得を試みようとするが、クラゲ野郎は聞く耳を持ってくれない。
「やだね、ここじゃなきゃ嫌なんだ。――そうだ、僕の夢の手伝いをしてくれたら、このビーチを明け渡しても良いよ」
「本当?」(ローゼ&エミリア)
「クリオには幾つかビーチがあるんだけれど、このビーチが高校から一番近いんだ」と言って、クラゲ野郎は町を触手(指)さした。ローゼが見ると、一本道を上った先に都市学校らしき建物が見える。
クラゲ野郎が続ける。
「プール開きがあると、楽しそうな声がここまで聞こえてくるんだ。僕火星育ちだから、地球の学園生活に憧れているんだ。青春してみたいんだよ」
(火星人だと)まだ言ってる。聞くと、この砂浜に陣取っている理由が分かった。いつか学校までの道を水びだしにして、プールに侵入する気なのだ。
「楽しいだろうな。みんなでキャッキャと騒いだりして泳ぐの」クラゲ野郎は、とても楽しそうだ。
いやいやいや、とローゼが妄想をストップさせる。
「今のみんな溶けてたじゃんか! 大惨事だよ! プールの中スクール水着でいっぱいだよ」
「んあ? 大丈夫だよ、それ最後だから」
大丈夫じゃねーよ。最後であっても良くねーよ。
「待て待てーって追いかけっこするの。『クラゲ君、泳ぐの速いねー』って捕まえた女子に褒められたいんだ」
褒めてねーよ。大絶叫だよ。命乞いに必死だよ。みるみる間に溶けちゃってるよ。
「うっさい! うっさーい!」
ざっぶ~ん
やめろよ津波起こすの。服着てんだからさ。それにレイピアが錆びちゃうでしょ!
「しょうがないなぁ、じゃあ千歩、いや万歩譲って僕の彼女になってよ、ローゼリッタ」
それを聞いたエミリア、超乗り気。
「良いじゃないですか、ローゼさん。デートして満足してもらえれば楽なもんです」
「あんなことやこんなことをするんだ」とクラゲ野郎の妄想爆発。腕を組んで砂浜を歩いたり、海の家でEDMを踊ったり、ハートのストローを挿したトロピカルジュースを一緒に飲んだり、肩を寄せ合って夕日を見たり。
「タンマタンマタンマ!」ローゼ両手を頭上にかかげて、何度も交差。「事が進むにつれてわたし溶けてってるから! それにこのビーチ東向きでしょ! 夕日見えない!」
ほとほと呆れた感じのエミリアが、ため息を吐く。
「ローゼさん、固いこと言いっこ無しですよ。一万歩も譲ってもらってんですから」
「わたしゃどんな扱いだよ」
「ローゼさん一人で金貨百枚も手に入るんですから、安いもんです」
安過ぎだよ。わたしの価値いくらだと思ってんだよ。やっぱり退治するしかない、と踏んだローゼは、レイピアを抜いて構える。
「お、やる気か? ローゼリッタ」クラゲ野郎が身構える。
「能力ゼロのあんたになんか負けたりしないわ」
ぺっぺっぺっぺっ
宣戦布告したローゼめがけて、クラゲ野郎が唾を噴きかけた。
「わっ汚い!」レイピアで唾をつつき落としながら、ローゼが叫ぶ。接近を阻もうと伸ばす触手を千切りにして、プニョプニョぷるりんな体を二枚三枚と下ろして、ついにバラバラ。「いっちょあがりー」ローゼはクラゲ野郎に背を向けて、クールにポーズ。
「なかなか早いな」と感心するクラゲ野郎。「げっ、何で?」と,びっくりローゼ。「すごい回復力でくっついてしまいましたよ」とエミリアが解説。
「こんにゃろ」
ローゼは何度も何度も斬りつけて、お刺身みたいにさばいてやるが、クラゲ野郎はその度に復活する。終いには切ってるそばから復活していく。
「ローゼさん、いい加減やめたら……」エミリア既に諦めモード。
クラゲ野郎はどこ吹く風で「カ~セ~イ~ジ~ン~、シ~ナ~ナ~イ~」
ローゼはレイピアで肩をポクポク叩きながら、「うーん、なんかいけるかと思ったのよね」と言って「ほら、ここ」切先でクラゲ野郎の頭(?)を指し示す。「なんか小っちゃいのが見えてるでしょ? これを破壊すれば、と思って――」
するとクラゲ野郎、女の子が胸を隠すみたいなボーズで照れて、頬(?)を朱に染める。。
「いや~ん、内臓見ないで~、エッチ」
なんだ内臓かよ、核じゃないんか。なに両手(?)で顔面(?)覆ってんだよ。身も触手も透けてるから意味ねーよ。全方位から丸見えだよ。
「ばか~ん――あ、バ~カ~ン~」とクラゲ野郎。喉をトントンしながら言い直す。
「さっきも喉って書いてあったけれど、触手の束の根元だからね」とローゼ。
呆気にとられる二人目掛けて、クラゲ野郎いきなりドバァァァァ粘液噴射。全身ヌメヌメ。一歩間違ったらR指定。
「やー、なんですかぁ? このヌルヌルー」とエミリア。「やだぁ気持ち悪い」
ローゼも怒って「ちょっと何すんのよ!」と怒鳴りつける。
「ふっふっふっ、これからがお楽しみだ」と笑うクラゲ野郎。
「お楽しみって……」ローゼがはたと気がついた。「これって、スライムとかがよくやるやつでは?」
「ほう、知っているのか?」
ローゼは、分からない、と言うエミリアに説明してやる。
「服だけとかして、『やだ、エッチー』とか女の子に言わせるやつよ」
それを聞いてエミリアが赤面。
「裸にさせられちゃうんですか?」
「そうよ、R指定間違いないわね」
そう恐ろしげに説明するローゼにエミリア「がびーん」。
でもクラゲ野郎が笑いながら言った。
「甘いな、スライムなんて下等な生物と一緒にすんなよ。僕のは消化液だから、繊維質の洋服は溶けないぞ」
「そうなの?」とホッとする二人。
「タンパク質しか溶けないんだ」
「なーんだ、そうか――てもっとヤバいじゃん」ローゼ反応に大忙し。
「服だけ残るよ」とクラゲ野郎がさらりと言う。「Rは無いから」、だって。
いや、バイオレンス過ぎてRがつくよ。二人は急いで海にザブン。消化液を洗い流す。ポーションを塗っていたおかげで、ドロシーちゃんみたいにならずに済んだ。
「ローゼさん、すごいこと思いついちゃいました」とエミリア。「ドロシーちゃんがドロリーちゃん」
笑えないよ。草葉の陰で恨まれてるぞ。
「ドロと泥もかかってるんです」
追い打ち掛けるなよ。
「自ら海に入るとは有り難い」と海水の上を浮遊してやって来たクラゲ野郎が、ざっぶーん、ざっぶーん、と波を起こす。
「やめんかっ、ばかー」と叫ぶローゼは、マントでバチンとクラゲ野郎を叩き落とす。水を吸って重くなったマントの威力に耐えられなくて、クラゲ野郎ミンチになって沖に流されていった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる