22 / 28
忍び寄る影6
しおりを挟む
「祈様、もしかしたら私以外の侍女が片付けたのかもしれません。他の者にも確認を取ってみます」
「そう、ね。お願いするわ」
「承知しました。どなたかお探しならこの建物内の衛兵なら何か知っているかもしれませんので、そちらも確認してみます」
「ありがとう。よろしくね」
では、失礼します。と一礼をし鈴麗は仕事に戻っていった。
「やっぱり、鈴麗は優秀ね」
私が多くを語っていないのに何かを察して怪しい人物の特定をしようとしてくれるなんて。
ひとまず、人探しは鈴麗に任せるとして・・・。
何か見つかればいいんだけど・・・。
私は次の他の手掛かりを探しに給湯室を出た。
「国王様の毒の耐性のについてですか?」
こういったことと言えば諭按さんだと思い、休憩中のところを少し時間をもらい話を聞いてくれることになった。
「はい。先日、お互いの幼い頃の話になりその時に毒には耐性があると言われていて・・・。私の国でもあってほしくはないですが、万が一の為に皇族に産まれた者は毒の耐性を持つよう訓練されています。ですが、国王様は”慣れている”と言われていたので。それは訓練ではなく、実際に命を狙われてきたのだろうと思いまして」
毒の訓練をする度に父が言っていたことを思い出す。
”本当はこんな訓練してほしくはないんだがな”
本当にそうだと思う。何かあった時の為、毒を飲んでも軽傷で済むようになんて・・・そんなものの為に訓練をするなんて本当に馬鹿げてる。
こんなことをしなくて済む世の中になればいいのにと何度も願ったが王の元に生れた以上、それは叶わないのだと幼い頃から身に染みて理解している。
ならせめて何かあった時に力になれるようにと医療の勉強もしてきたつもりでいた。
しかし、慣れているなんて言われてしまっては手の出しようがない。
「慣れていると言われてはそれまでかもしれません。ですが、私はこういうことに決して慣れてほしくはないと思っています。他国の人間が勝手な事を言っているのは分かっています。それでも、何か国王様のお役に立ちたいんです。何か、お手伝いできることがあるなら教えていただきたいです」
深々と頭を下げると頭上から小さく溜息が漏れる。
「まるで、実際にその現場を見ていたかのような口ぶりですね」
「っ!」
どこまでも見透かすような口ぶりに恐る恐る顔を上げると諭按さんは眉間にしわを寄せ、もう一度溜息をつきながら鋭い目つきでこちらを見ていた。
「・・・」
「そんなことはないとは思いますが、念の為祈様にもこれを渡しておきます」
そう言って立ち上がると部屋の奥にある机の引き出しから小さな小瓶を取り出し差し出してきた。
「これは?」
「解毒薬です。四席や一部の近衛隊の者には持たせています。もし、国王様の耐性を持ってしても毒を抑えられなかった場合は使用してください」
「・・・どうしてこれを私に?」
「毒に耐性がある話は一見すれば昔話の1つかもしれませんが、敵にしてみれば有益な情報にもなります。それを祈様に話されたという事はそれだけ国王様が祈様を信用されているということになります。でしたら私も祈様を信用してこれをお渡しするまでです」
「あ、ありがとうございます!」
嬉しさのあまり小瓶を抱えて頭を下げる。
「あなたは自分の事をよく他国の人間だからとおっしゃいますが、そこまで気になさらなくてもよろしいと思いますよ」
「え?」
「あなた以外にも他国から来た人間は多くいます。それは国王様がここを国境などない、どこの国の人間であろうと皆平等だというお考えから作り上げた国だからです。その国の1人となられたのですから堂々と意見していいのですよ」
諭按さんからそんな言葉をかけてもらえると思っておらず胸がいっぱいになる。
今までどこかで他国の人間だから。ここには仕事をしに来ているのだからと一線引いていた気になっていたが、いつの間にか輝国の輪の中に入っていたなんて・・・。
「ありがとうございます」
「いえ、これからも国王様の事をよろしく頼みますね」
「はい」
「諭按様、よろしいでしょうか」
休憩時間の終わりを告げるように諭按さんの従者が呼びに来たのでその場はお開きとなった。
その後、四席や近衛隊の人達に聞いてみても誰も怪しい人物は見ていないと言われてしまいこの調査は一旦中断することにした。
皆が寝静まり、起きている人間と言えば衛兵かまたは仕事をせず遊び歩いていた国王である自分自身だけとなってきた頃、筆が紙を滑る音だけが聞こえていた部屋に突如扉を叩く音がした。
「誰だ」
「諭按でございます」
「入れ」
そう告げると諭按は茶器を持って部屋に入ってきた。
「何だ、少しは休めと言いたいのか?」
「それもありますが本日は別件です」
さすがに筆を持つ手が痛くなってきたので、諭按が茶を準備している机まで行き椅子に腰かける。
「で、用件は何だ?」
こんな夜に諭按が尋ねてくることは珍しい。
日中仕事をしないことは多々あるがそれは夜にこうして進めているのでいつも仕事をしないことを怒りながらも夜にわざわざ何かを言いに来たりはしない。
不思議に思いながら茶の準備をする諭按を見つめる。
「・・・最近、毒でも盛られましたか?」
「・・・何の事だ?ああ、巫女殿から毒の耐性について聞かれたのか?それなら昔話の流れからそういった話になってな。特に意味はない」
「・・・・・・」
簡潔に説明したつもりだが・・・。
諭按の表情はどこか納得いかないといった様子だ。
「なんだ説教でもしに来たのか?先生は相変わらず恐いな」
何か言いたげな顔をしている諭按に対して茶化すような言い方をしていると、茶が注がれた湯呑を乱暴に目の前に置かれた。
「どうぞ」
「・・・毒でも入れたのか?」
「まさか、ご冗談を。どうせ聞いたところで話してはくださらないのでしょうからこれ以上お聞きはしません」
「そうか」
自分の湯呑にも茶を注いでオレの目の前の椅子に座る。
「なので、祈様に解毒剤をお渡ししました」
「何?」
「貴方様は何を言っても聞かないですし話さないだろうと思いましたので勝手ですがお渡ししております。それに何かあった時はこちらの味方は多い方がよいでしょう?」
「あのなぁ、お前巫女殿は」
「輝国の人間ではない。分かっておりますよ」
「なら」
オレの言葉を遮るように諭按は持っていた湯呑を強めに机に置く。
「言わせていただきますが、この国には他国の人間は大勢います。幹部や重役達の中にも何名か存在します。それにこの国に出入りしている者の大半は他国の人間です。貴方様が作っている国ですよ。どこの国の人間であろうと関係ないそういった志の下、作り上げてきた国にございます。そのような状況で祈様のみ他国に人間扱いされるのはおかしいのではないですか?」
「・・・」
正論を言われ言葉に詰まる。
「何も巫女殿を他国の人間だからと邪険にしているわけではない。ないのだが・・・」
この先に待ち構えている”儀式”の事を思うと気が重くなる。
「貴方様がたくさんの事を抱えているのは知っています。そしてこの先何が起こるのかも。ならばその時までは彼女を1人の人間として見てはいかがですか?」
諭按に諭されハッとする。
オレは巫女殿を1人の人間と見ていたと思っていたが心のどこかでは”巫女”としてしか見ていなかったのだと気づかされた。
「そうだな。オレの秘密を知ってしまったようだし巫女殿にはこのまま共犯になってもらうとしよう」
「耐性があるくらいで何を大層なことを。それにまずはその呼び方から変えられたらいかがですか?」
「・・・きゅ、急に名前呼びは馴れ馴れしすぎないか?」
はぁ。と大きなため息をついたと思ったら諭按はオレの頭を小突いてきた。
「いてっ」
「何を今更、子供じゃあるまいし。貴方様は無意識・・・いえ国王としての威厳を出したくないのかもしれませんが人との距離が近いのですから」
本当に今更ですよ。と言いさらに大きなため息をつく。
「そんなつもりはないが・・・」
「まあ、呼び方に関してはどちらでもいいですがくれぐれも祈様に粗相のないようお願いしますよ」
その目からは一国の姫を預かっているのだから十分に気をつけろとでも言いたげに見える。
まあ、見えるだけだが大方考えていることは合っているだろうな。
それに心配するなと答えたいが絶対の自信をもって答えられない自分にもどかしさを感じる。
「ああ、肝に銘じておく」
今は、この返ししかできないが・・・。
巫女殿の顔が一瞬脳裏に浮かびすぐに消える。
「あまり気に入らない回答ですが今回は引き下がりましょう」
オレの返答に渋々了承したのか諭按は自分の湯呑だけを持ち部屋から出て行ってしまった。
「粗相のないようにか」
1人になった部屋で諭按の言葉を繰り返す。
すまん、諭按。やはり・・・。
「それは聞けそうにない」
誰に言うでもないその言葉は静かな部屋に消えていった。
「そう、ね。お願いするわ」
「承知しました。どなたかお探しならこの建物内の衛兵なら何か知っているかもしれませんので、そちらも確認してみます」
「ありがとう。よろしくね」
では、失礼します。と一礼をし鈴麗は仕事に戻っていった。
「やっぱり、鈴麗は優秀ね」
私が多くを語っていないのに何かを察して怪しい人物の特定をしようとしてくれるなんて。
ひとまず、人探しは鈴麗に任せるとして・・・。
何か見つかればいいんだけど・・・。
私は次の他の手掛かりを探しに給湯室を出た。
「国王様の毒の耐性のについてですか?」
こういったことと言えば諭按さんだと思い、休憩中のところを少し時間をもらい話を聞いてくれることになった。
「はい。先日、お互いの幼い頃の話になりその時に毒には耐性があると言われていて・・・。私の国でもあってほしくはないですが、万が一の為に皇族に産まれた者は毒の耐性を持つよう訓練されています。ですが、国王様は”慣れている”と言われていたので。それは訓練ではなく、実際に命を狙われてきたのだろうと思いまして」
毒の訓練をする度に父が言っていたことを思い出す。
”本当はこんな訓練してほしくはないんだがな”
本当にそうだと思う。何かあった時の為、毒を飲んでも軽傷で済むようになんて・・・そんなものの為に訓練をするなんて本当に馬鹿げてる。
こんなことをしなくて済む世の中になればいいのにと何度も願ったが王の元に生れた以上、それは叶わないのだと幼い頃から身に染みて理解している。
ならせめて何かあった時に力になれるようにと医療の勉強もしてきたつもりでいた。
しかし、慣れているなんて言われてしまっては手の出しようがない。
「慣れていると言われてはそれまでかもしれません。ですが、私はこういうことに決して慣れてほしくはないと思っています。他国の人間が勝手な事を言っているのは分かっています。それでも、何か国王様のお役に立ちたいんです。何か、お手伝いできることがあるなら教えていただきたいです」
深々と頭を下げると頭上から小さく溜息が漏れる。
「まるで、実際にその現場を見ていたかのような口ぶりですね」
「っ!」
どこまでも見透かすような口ぶりに恐る恐る顔を上げると諭按さんは眉間にしわを寄せ、もう一度溜息をつきながら鋭い目つきでこちらを見ていた。
「・・・」
「そんなことはないとは思いますが、念の為祈様にもこれを渡しておきます」
そう言って立ち上がると部屋の奥にある机の引き出しから小さな小瓶を取り出し差し出してきた。
「これは?」
「解毒薬です。四席や一部の近衛隊の者には持たせています。もし、国王様の耐性を持ってしても毒を抑えられなかった場合は使用してください」
「・・・どうしてこれを私に?」
「毒に耐性がある話は一見すれば昔話の1つかもしれませんが、敵にしてみれば有益な情報にもなります。それを祈様に話されたという事はそれだけ国王様が祈様を信用されているということになります。でしたら私も祈様を信用してこれをお渡しするまでです」
「あ、ありがとうございます!」
嬉しさのあまり小瓶を抱えて頭を下げる。
「あなたは自分の事をよく他国の人間だからとおっしゃいますが、そこまで気になさらなくてもよろしいと思いますよ」
「え?」
「あなた以外にも他国から来た人間は多くいます。それは国王様がここを国境などない、どこの国の人間であろうと皆平等だというお考えから作り上げた国だからです。その国の1人となられたのですから堂々と意見していいのですよ」
諭按さんからそんな言葉をかけてもらえると思っておらず胸がいっぱいになる。
今までどこかで他国の人間だから。ここには仕事をしに来ているのだからと一線引いていた気になっていたが、いつの間にか輝国の輪の中に入っていたなんて・・・。
「ありがとうございます」
「いえ、これからも国王様の事をよろしく頼みますね」
「はい」
「諭按様、よろしいでしょうか」
休憩時間の終わりを告げるように諭按さんの従者が呼びに来たのでその場はお開きとなった。
その後、四席や近衛隊の人達に聞いてみても誰も怪しい人物は見ていないと言われてしまいこの調査は一旦中断することにした。
皆が寝静まり、起きている人間と言えば衛兵かまたは仕事をせず遊び歩いていた国王である自分自身だけとなってきた頃、筆が紙を滑る音だけが聞こえていた部屋に突如扉を叩く音がした。
「誰だ」
「諭按でございます」
「入れ」
そう告げると諭按は茶器を持って部屋に入ってきた。
「何だ、少しは休めと言いたいのか?」
「それもありますが本日は別件です」
さすがに筆を持つ手が痛くなってきたので、諭按が茶を準備している机まで行き椅子に腰かける。
「で、用件は何だ?」
こんな夜に諭按が尋ねてくることは珍しい。
日中仕事をしないことは多々あるがそれは夜にこうして進めているのでいつも仕事をしないことを怒りながらも夜にわざわざ何かを言いに来たりはしない。
不思議に思いながら茶の準備をする諭按を見つめる。
「・・・最近、毒でも盛られましたか?」
「・・・何の事だ?ああ、巫女殿から毒の耐性について聞かれたのか?それなら昔話の流れからそういった話になってな。特に意味はない」
「・・・・・・」
簡潔に説明したつもりだが・・・。
諭按の表情はどこか納得いかないといった様子だ。
「なんだ説教でもしに来たのか?先生は相変わらず恐いな」
何か言いたげな顔をしている諭按に対して茶化すような言い方をしていると、茶が注がれた湯呑を乱暴に目の前に置かれた。
「どうぞ」
「・・・毒でも入れたのか?」
「まさか、ご冗談を。どうせ聞いたところで話してはくださらないのでしょうからこれ以上お聞きはしません」
「そうか」
自分の湯呑にも茶を注いでオレの目の前の椅子に座る。
「なので、祈様に解毒剤をお渡ししました」
「何?」
「貴方様は何を言っても聞かないですし話さないだろうと思いましたので勝手ですがお渡ししております。それに何かあった時はこちらの味方は多い方がよいでしょう?」
「あのなぁ、お前巫女殿は」
「輝国の人間ではない。分かっておりますよ」
「なら」
オレの言葉を遮るように諭按は持っていた湯呑を強めに机に置く。
「言わせていただきますが、この国には他国の人間は大勢います。幹部や重役達の中にも何名か存在します。それにこの国に出入りしている者の大半は他国の人間です。貴方様が作っている国ですよ。どこの国の人間であろうと関係ないそういった志の下、作り上げてきた国にございます。そのような状況で祈様のみ他国に人間扱いされるのはおかしいのではないですか?」
「・・・」
正論を言われ言葉に詰まる。
「何も巫女殿を他国の人間だからと邪険にしているわけではない。ないのだが・・・」
この先に待ち構えている”儀式”の事を思うと気が重くなる。
「貴方様がたくさんの事を抱えているのは知っています。そしてこの先何が起こるのかも。ならばその時までは彼女を1人の人間として見てはいかがですか?」
諭按に諭されハッとする。
オレは巫女殿を1人の人間と見ていたと思っていたが心のどこかでは”巫女”としてしか見ていなかったのだと気づかされた。
「そうだな。オレの秘密を知ってしまったようだし巫女殿にはこのまま共犯になってもらうとしよう」
「耐性があるくらいで何を大層なことを。それにまずはその呼び方から変えられたらいかがですか?」
「・・・きゅ、急に名前呼びは馴れ馴れしすぎないか?」
はぁ。と大きなため息をついたと思ったら諭按はオレの頭を小突いてきた。
「いてっ」
「何を今更、子供じゃあるまいし。貴方様は無意識・・・いえ国王としての威厳を出したくないのかもしれませんが人との距離が近いのですから」
本当に今更ですよ。と言いさらに大きなため息をつく。
「そんなつもりはないが・・・」
「まあ、呼び方に関してはどちらでもいいですがくれぐれも祈様に粗相のないようお願いしますよ」
その目からは一国の姫を預かっているのだから十分に気をつけろとでも言いたげに見える。
まあ、見えるだけだが大方考えていることは合っているだろうな。
それに心配するなと答えたいが絶対の自信をもって答えられない自分にもどかしさを感じる。
「ああ、肝に銘じておく」
今は、この返ししかできないが・・・。
巫女殿の顔が一瞬脳裏に浮かびすぐに消える。
「あまり気に入らない回答ですが今回は引き下がりましょう」
オレの返答に渋々了承したのか諭按は自分の湯呑だけを持ち部屋から出て行ってしまった。
「粗相のないようにか」
1人になった部屋で諭按の言葉を繰り返す。
すまん、諭按。やはり・・・。
「それは聞けそうにない」
誰に言うでもないその言葉は静かな部屋に消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
イジメられっ子世に憚る。
satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」
魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。
――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。
「ここ……どこ?」
現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。
救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。
「ほら、食え」
「……いいの?」
焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。
行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。
旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。
「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」
「ウチの子は天才か!?」
ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。
これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。
※若干の百合風味を含みます。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる