17 / 19
入籍に驚く
しおりを挟む
当面、二人の入籍は公表しないことにしたが、美和と柴崎だけには知らせることにした。
常二のアルバイトは、今のまま続けることにした。ライブハウスと塾と家庭教師である。
下宿もそのまま住み続ける。ある程度、生活費のめどが立てば、二人で折半して、美彌の家に近い北口か夙川に部屋を借りようと決めた。
とにかく二人とも学業をきちんと続けて、卒業することを約束した。
翌日、大学の学生会館のカフェで待ち合わせた美和と柴崎は、美彌の口から入籍したと聞くと、
「にゅうせき、なに、籍を入れたの?」美和は目を見開いて美彌と常二の二人を交互に見る。
「ほんま?だましたら、あかんで。結婚したんか?」柴崎は信じられないという顔をして常二を見た。
「妻の氏を選んだから、僕は阪上常二になった」
「阪上君って呼ぶのか?別人やん」
「今まで通り賀集でいいよ」と常二が答えた。
「これであなたも阪上ファミリーの一員ね」と美彌と同じようなことを言った。
「しでかしたら大阪湾に沈むわよ」
「本当にそれ、脅しやから、やめて」
「今から水泳の練習やっといたら?」と柴崎がフォローにならないことを言う。
「とにかく、美彌、常二さん、おめでとう。お祝いをしなくちゃ」美和が笑顔で言う。
「しばらくは、あなたたち以外には知らせないつもりなの、お願いね」
「秋に美和の結婚式もあるし、めでたいこと続きやな」柴崎が言うので、
「お前のとこはないのか?」常二が聞いた。
「俺のところは、就活のことでけんか中や。俺が東京の会社を受ける言うたら、あいつ、遠距離は無理やから別れるって」柴崎は特徴のあるあごを突き出して言う。
「あの子は絶対、お前と別れないと思うわ、僕は」
「どうして?」と美彌が聞いてきたが、とても口に出せないことなので、答えなかった。
柴崎には常二の言おうとしたことが伝わって、「あいつ、情熱的やから」と言ってにやけ顔をした。
近いうちに四人でお祝いの食事でもしようと言って、美和と柴崎と別れた。
土曜日のライブハウスの仕事を終えると、夙川で乗りかえて苦楽園に行き、タクシーで美彌の家に行く。
着くのは十二時前になるが、いつも美彌が食事の用意をして待っている。
美彌の母と父は先に休んでいることが多かった。
二人で今日一日あったことを話ながら、常二は食事を取る。美彌は横で食べ終わるのを待っている。
食事が終わると、二人で片付けをして、美彌の部屋に上がる。
二階にも浴室があり、シャワーを浴びて、美彌のベッドで寝る。
日曜日は二人で過ごせる唯一の一日だが、深夜まで起きている二人は、朝、遅い時間までベッドの中で過ごすことが多かった。
常二はカーテンから漏れる朝の光の中で、白く浮かび上がる美彌の顔や身体を見る。
いつまでも起こさずにずっと見ていたくなる、見飽きない美しさだった。
常二のアルバイトは、今のまま続けることにした。ライブハウスと塾と家庭教師である。
下宿もそのまま住み続ける。ある程度、生活費のめどが立てば、二人で折半して、美彌の家に近い北口か夙川に部屋を借りようと決めた。
とにかく二人とも学業をきちんと続けて、卒業することを約束した。
翌日、大学の学生会館のカフェで待ち合わせた美和と柴崎は、美彌の口から入籍したと聞くと、
「にゅうせき、なに、籍を入れたの?」美和は目を見開いて美彌と常二の二人を交互に見る。
「ほんま?だましたら、あかんで。結婚したんか?」柴崎は信じられないという顔をして常二を見た。
「妻の氏を選んだから、僕は阪上常二になった」
「阪上君って呼ぶのか?別人やん」
「今まで通り賀集でいいよ」と常二が答えた。
「これであなたも阪上ファミリーの一員ね」と美彌と同じようなことを言った。
「しでかしたら大阪湾に沈むわよ」
「本当にそれ、脅しやから、やめて」
「今から水泳の練習やっといたら?」と柴崎がフォローにならないことを言う。
「とにかく、美彌、常二さん、おめでとう。お祝いをしなくちゃ」美和が笑顔で言う。
「しばらくは、あなたたち以外には知らせないつもりなの、お願いね」
「秋に美和の結婚式もあるし、めでたいこと続きやな」柴崎が言うので、
「お前のとこはないのか?」常二が聞いた。
「俺のところは、就活のことでけんか中や。俺が東京の会社を受ける言うたら、あいつ、遠距離は無理やから別れるって」柴崎は特徴のあるあごを突き出して言う。
「あの子は絶対、お前と別れないと思うわ、僕は」
「どうして?」と美彌が聞いてきたが、とても口に出せないことなので、答えなかった。
柴崎には常二の言おうとしたことが伝わって、「あいつ、情熱的やから」と言ってにやけ顔をした。
近いうちに四人でお祝いの食事でもしようと言って、美和と柴崎と別れた。
土曜日のライブハウスの仕事を終えると、夙川で乗りかえて苦楽園に行き、タクシーで美彌の家に行く。
着くのは十二時前になるが、いつも美彌が食事の用意をして待っている。
美彌の母と父は先に休んでいることが多かった。
二人で今日一日あったことを話ながら、常二は食事を取る。美彌は横で食べ終わるのを待っている。
食事が終わると、二人で片付けをして、美彌の部屋に上がる。
二階にも浴室があり、シャワーを浴びて、美彌のベッドで寝る。
日曜日は二人で過ごせる唯一の一日だが、深夜まで起きている二人は、朝、遅い時間までベッドの中で過ごすことが多かった。
常二はカーテンから漏れる朝の光の中で、白く浮かび上がる美彌の顔や身体を見る。
いつまでも起こさずにずっと見ていたくなる、見飽きない美しさだった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる