邪悪にして悪辣なる地下帝国物語

雨竜秀樹

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3-3

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ゴブリンの族長プルックの息子にして狼乗りのグラッドは、そんなことを言いながら、「選ばれし蠱毒の商店街」をぶらぶらと歩いていた。
「なるほど」
と答えのは、黒髪の美青年――カイルである。
七体の堕天使だてんしが描かれた漆黒のコートを揺らしながら、先を歩くグラッドに歩調を合わせ、ゆっくりと歩いていた。
ゴブリンの狼乗りと元勇者という奇妙な組み合わせであるが、周囲の者はまるで気にしていない。
というのも、地下帝国がカイルを撃退してからというもの、わずかな間に、様々な妖魔が仲間として加わったからである。
先のベティア帝国との戦いで活躍したオークやミノタウロス、聖神教から受けた呪いを解呪した人狼ワーウルフや半人半蛇のラミアなどの妖魔、フランディアルに熱狂的な忠誠を捧げるフェーリアン王国の騎士団の一部、闇商人テオドールの紹介による商人達、〝黒蠅スカニゲルム〟の暗殺者達、そして〝悪魔を宿した者マレブランケ〟に連れてこられた冒険者の人間達などだ。
今や第四階層の迷宮都市には、多種多様な人と妖魔が入り乱れている。
よって、元勇者カイルとゴブリンのグラッドが一緒に歩いているからといって気に留める者はいない。
だが、カイルとゴブリン自身にとってはどうだろうか?
以前、カイルはグラッドを飛竜で組み伏せ、撃退したことがあった。グラッドの記憶からモニカの存在は消えているが、飛竜と戦ったことはきっちり覚えている。
このように因縁浅からぬ両者にもかかわらず、不思議とぎくしゃくした雰囲気はない。グラッドは熱心に地下迷宮の施設を案内して回り、カイルはグラッドの話をおとなしく聞いている。
これは地下帝国の特徴でもあるのだが、アルアークとハルヴァーが認めた者は、前歴や種族、年齢、性別に関係なく同胞として扱われる。地下帝国ならびに地下迷宮を支配する兄妹の選定基準を言葉にするのは難しいが、カイルが選ばれた理由は単純だった。
若き勇者カイルは地下迷宮の君主達が直々に堕落させたのである。
痛み、苦しみ、快楽、それらをない交ぜにした精神と肉体への調教。拷問のように苦痛を与えられることもあれば、誘惑され、快楽のとりことされもした。
普通の者ならば発狂してもおかしくはないが、カイルは正気を保ち続けた。
痛みにも、苦しみにも、快感にも屈しなかったのである。
彼らはまず、聖神教会が行った非道の数々を再現し、被害者の立場で体験させた。
アルアークとハルヴァーが地下迷宮を創造する際にもとにしたのは、自分達本来の魂と、連合諸国に滅ぼされた魔法帝国の人々の魂である。
肉体・精神・魂。
この三要素により人は作られているといわれる。
人が死んだ後、肉体は腐り、精神はかすみと消えるが、体験の記憶を残した魂だけは不変不滅である。
本来、魂は悪魔や天使によって回収されるものの、アルアークとハルヴァーは時間と労力を費やして、魔法帝国に属していた民の魂を探し続けた。そうして臣民一人一人の記憶や経験を共有し、死ぬ直前の屈辱や恥辱ちじょくを我がこととしてその身に刻みつけ、彼らの望む復讐を実現するための秘術を修得したのである。
アルアークとハルヴァーは、彼らの体験を一つ一つカイルに味わわせたのだ。
聖王国の悪魔にも勝る残酷な所業といえる。
だが、カイルが何よりも重きをおく聖神教会の矛盾むじゅんを暴きたてた調教には効果があった。
無力な市民が虐殺ぎゃくさつされる悔しさや無念。それを一日に何百、何千、何万回と、繰り返し体験させられ、カイルの世界観は見事に塗り替えられてしまった。
今やカイルはアルアークとハルヴァーが抱える憎悪の良き理解者であり、目的を共有する同志である。勇者カイルにとって、聖王国は許すことができぬ悪の権化となり、それに対抗する地下帝国は正義となったのだ。
もっとも、アルアークもハルヴァーも自分達を正義の使者とは欠片も思っていない。
邪悪にして悪辣なる地下帝国と名乗っている通り、復讐に生きる自分達は悪に違いない。とはいえ、正義に燃える勇者は実に有用な手駒であるので、カイルの考えを訂正する気もなかった。
勇者という駒は、地上を侵攻する時、戦況を左右する強力な存在である。
聖王国には、カイルの他に六人もの勇者が存在していたが、彼らは世界から祝福を受けているため、地上戦により抹殺まっさつすることは不可能なのだ。
しかし、そう遠くない将来、地上で勇者と戦わなくてはならない時が来るだろう。
有史以来、勇者同士が戦ったという記録はない。しかし、カイルが地下帝国に属することになったからには、地上で対勇者戦の切り札となるに違いない。
ただ、そんな勇者カイルに見合う騎獣がすぐに見つかるはずもなく、それが兄妹にとって目下の克服課題であった。
という訳で、カイルの騎獣探しに狼乗りのグラッドが任命されたのだった。
手が空いており、カイルとも面識がある。ゴブリンの中でも比類ない狼乗りであるグラッドには、うってつけの任務といえた。
「ん? ここから先は何か雰囲気が違うなぁ」
グラッドは、あたりをキョロキョロと見回す。
どうやら「選ばれし蠱毒の商店街」を抜けてしまったらしい。
「旦那方、ここは初めてですかい?」
商人風のゴブリンがみ手をしながら話しかけてきた。
羽根付き帽子をかぶり、豪華な礼服を着ているが、まったく似合っていない。
「ああ、初めてだ。この区画はいったいどうなってんだ?」
「ここはアルアーク様のご友人、テオドール様が率いる〝狼と蛇の会セルプペンス・ルプレイ〟が仕切る一画ですよ」
ゴブリンの商人は、「何をお探しですか? おお、騎獣をお探しですか、どうぞ、どうぞ、こちらに! きっと、お好みに合う騎獣が見つかるはずです」と滑らかに舌を動かしながら、店に案内する。
店といっても、それは十軒以上の館を繋ぎ合わせた巨大な建物であった。
店内に入ってすぐの売場に、武器や防具が並んでいる。
客は、ゴブリンの上位種であるレッドキャップやボガード、ヴァルデフラウを中心に、オークやミノタウロスなど、強力な妖魔達が目立つ。
「悪徳の鋼鉄通り」とは違い、魔法がかけられた品物は少ないが、単純な力技を好む妖魔達にとっては、魔法の力を持つ武具よりも、この売り場に出されている品物の方が好みのようだ。
もちろん、魔法の品もある。しかし、値段が非常に高い。
それもそのはず、アルアークとハルヴァーが持っていた魔法帝国の秘宝が売りに出されているのである。
人間の姿はあまりなく、今いるのはフェーリアン王国の女騎士フランディアルだけである。
彼女はガラスケースに収められた剣や盾の値札を見て、浮かない顔をしていた。
武器以外にも、野菜や果物、肉、魚など、様々な食材が売られている。
食堂らしき場所では、元冒険者イズレーンと褐色肌の少年悪魔がお茶をしていた。
パンや魚、肉の焼ける匂いを嗅ぎながら、ゴブリンの商人に導かれて、カイルとグラッドはどんどん店の奥に進んでいく。
武器や防具、食材以外の物を求める者達ともすれ違った。
冒険者として各地を旅してきたカイルは、彼らの服装や仕草、求める物品から大体の職業を推測できる。
宝石・真珠・真鍮しんちゅう・銅・銀・金細工師、仕立て屋、皮なめし工、帽子職人、楽器職人、麦酒醸造人、菓子売り、蝋燭ろうそく屋、刀鍛冶かたなかじ、ガラス職人、石工、煉瓦工れんがこう、薬草調合師、眼鏡職人、製本職人など、まるで大都市のような活気である。
この中で人間は半分、残り半分は妖魔や悪魔など、人ならざる者だ。
地上では敵対して憎み合っている彼らだが、不思議といさかいはない。
その理由は明白である。
地下迷宮の支配者達が迷宮都市での争いを禁じたからだ。
その法を破ればどうなるのか。地下迷宮に属する者なら子供のゴブリンでも知っている。
僅かな間に多種多様な者達で溢れるようになった迷宮都市だが、地下迷宮を統べる支配者達の目が行き届かぬ場所などないのである。
そして、いよいよお目当ての騎獣が繋がれている場所に到着した。
ここに集められているのは、いずれも凶悪な面構つらがまえをした魔獣どもだ。
漆黒のうろこに覆われた双頭そうとうの大蛇アンフィスバエナ、毒蛇の頭と獅子ししの体にさそりの尾を持つムシュフシュ、七つの頭に七つの目と七つの角を持つ異形の怪物キリムなどで、先ほど見かけた大型昆虫の何倍も強いと一目でわかる化け物どもである。
ただ当然のことながら、ぎょするのは難しい。
「最近ですと、三頭の番犬ケルベロスと石化の息を吐く牡牛おうしゴルゴンの調教が終わっておりますよ。他には……」
「アレは?」
商人の説明を遮って、カイルは店のすみ頑丈がんじょうな鉄格子の中に入れられている魔獣を指さす。
「え? あ、こいつですか……、旦那、申し訳ないんですが、こいつはまだ調教ができていません。何人かの調教師が試みたのですが、手に負えないほど狂暴で……」
それは、翼も手足もない竜頭の化け物リンドブルムであった。
暗褐色の鱗に覆われた蛇のような巨体、ギラギラと輝く真っ赤な瞳、鋭い牙がズラリと並んだ口はカイルを丸ごと呑み込めそうなほど大きく、尾の先端はやじりのように鋭くとがっている。
リンドブルムは竜の近縁種であるが、知性は低く、目にした生き物を手当たり次第に喰らう害獣である。しかしその身体能力は竜にも匹敵し、口からは猛毒ガスを吐き出す。今は口や体を封じられているが、解き放たれたらける災厄さいやくと化すことだろう。
「いや、こういう奴が欲しかった」
カイルは竜が好きである。
勇者として活動していた頃は、飛竜を駆って各地を移動したものだ。
ちなみに、その飛竜は今も、地下迷宮の外に待機させている。
地下迷宮内の移動手段として騎獣が必要というのならば、やはり竜の姿に似たものが良いと考えていた。
カイル達がじっと見ていることに気づいたのだろうか。リンドブルムが恐ろしい唸り声を上げた。
商人が「あまりに狂暴」と評した通りである。動きを封じられているというのに、その唸り声だけで近くの者を戦慄させた。グラッドも商人も恐怖に耐えきれず、出口まですっ飛んでいってしてしまう。
しかし、闇に染まっているカイルは恐怖を感じない。
むしろいっそう気に入ったようで、リンドブルムに近づいて行く。
「だ、旦那、特殊な香水をつけないと、エサと間違われますよ!」
ゴブリンの商人が慌てて止めるが、カイルは「大丈夫だ」と、リンドブルムを閉じ込めているおりに近づいた。
近寄って来る獲物に興奮したのか、リンドブルムは拘束を振りほどこうともがいている。蛇のような体がじわりじわりと動く。
しかし、カイルが「大人しくしろ」と低い声で呟いた瞬間、リンドブルムは先ほどとは逆に、元勇者から逃げるように遠ざかった。
「大丈夫だ。俺に従えば、お前の願いを叶えてやる」
カイルはくらい笑みを浮かべながら、リンドブルムに手を差し伸べる。
その魔を宿したような黒い瞳を見て、狂暴な竜頭の怪物は服従の意を示して頭を低く下げた。
そんな様子を見ていたゴブリンの商人は、目を丸くして、同族であるグラッドに問いかける。
「あの人、いったい何もんなんだ?」
グラッドは先ほど商人がして見せたような自慢げな表情で答えた。
「カイルって言うんだ。オレ様の舎弟だからよぉ。いいようにしてやってくれ!」
グラッドはカイルを舎弟だと言った。
地下迷宮における上下関係は、アルアークとハルヴァーにどれだけ貢献したかによって決まるのだ。そういう意味では、新参者カイルがグラッドよりも立場が下であるのは当然だった。
ただ、二人の実力は天と地ほど離れている。グラッドは一度、カイルに手も足も出ず、一方的にぶちのめされていた。にもかかわらず、これだけ大きな顔ができるのは、グラッドも父親プルックに負けず劣らず大物だということかもしれない。

* * *

聖王国の中心地。
そこに、聖王が住まう王宮がある。伝統と権力を象徴する荘厳そうごんな王宮の一室で重臣達が会議にのぞんでいた。
筆頭こうしゃくこうしゃく家であるレイネルも当然その会議に参加している。ベティア帝国の謀略により、不穏な噂が流れたが、仕掛け人であるギオルドが戦死したため、すでに噂はやんでいた。
(とはいえ、カイルを失ったのは痛いな)
レイネルは心中で呟く。
その会議の議題はというと、漆黒に染まった勇者像の取扱いについてであった。
「不吉にも、勇者の像が黒く染まってしまい、市民の間に不安が広まるばかりです。北部に派遣はけんした勇者達を呼び戻しては?」
「いいや、今守りを解くのはまずい。妖魔達はかつてないほど結集しており、巨人や竜を味方につけたとの報告もある。勇者達を聖都に呼び戻せば、その隙をつかれて北部一帯を失うことになる」
「それよりも、カイル殿とはまだ連絡が取れぬのか?」
様々な意見が飛び交い、まとまる気配はない。
レイネル公爵は、地下迷宮に送った勇者カイルはすでに死んだものと見当をつけているが、ここでそれを話せば、フェーリアン王国における謀略が失敗に終わったことも知られてしまうため、素知らぬ顔をしていた。
(しかし、思った通り、話はまとまらんな)
何故なら、まとめ役たる聖王がこの場にいないからである。
聖王は勇者像が漆黒に染まるのを見て、聖神教会の長である教皇の下に向かったのだった。それからすでに一週間以上が経っているが、聖王は未だに戻らない。教皇との話し合いが長引いているようなのだ。
聖神教会の総本山、その不可侵ふかしんたるべき聖域で何が行われているのか。世俗的な権力しか持たないレイネル公爵にはわからない。何万人もの司祭と数百万の熱心な信徒を抱える聖堂は、聖王国内にあるもう一つの国と言っても過言ではなく、そこでは公爵であるレイネルもただの人でしかなかった。
教会から派遣される使者達のお蔭で、今のところ政務に影響はないが、重臣達の不満は高まっている。
(このままでは暴走する者が出てくるかもしれないな)
レイネル公爵がそう不安を抱いた時だった。
「聖王様が戻られました」
従者の一人が、レイネル公爵に耳打ちする。
従者の言葉からそれほど間をおかずに、会議室の扉が開いた。
扉から入って来る人物の姿を見て、会議室にいた全員が慌てて背筋を正して立ち上がり、深々と頭を下げる。レイネル公爵も例外ではない。
聖王イル九世。
右手の王錫、頭上の王冠、体を覆い隠す服と外套がいとう、そのいずれも金銀その他数多あまたの宝石で飾られていた。
聖王イル九世は、見るからに温厚そうでふくよかな初老の男性である。彼こそが聖王国の政治的指導者であり、優れた政治手腕の持ち主として知られていた。その一方で、聖神教の熱心な教徒であり、教皇との繋がりが深く、聖神教会が異端視いたんしする相手に戦争を仕掛けている。魔法帝国を滅ぼした五年前の聖征戦争クルセイドでもそうだったが、去年から始めた北部の妖魔討伐戦争も、聖神教会の要請によるものである。
そのことに不満を持つ貴族は少なくないが、口にすれば自らが異端者として身を焼かれることになるため、聖王に面と向かって意見する者はいない。
「皆、おもてを上げよ」
聖王は優しい声で命じた。
レイネル公爵は顔を上げ、聖王の後ろに控えている者達の姿に目を配る。
まず目に入るのは五人の美女。
彼女達は勇者カイルの仲間達だった。
元聖堂騎士を筆頭に、勇者カイルの義妹、高名な鍛冶師、旧世代の遺物を操るドワーフ、災厄を止める力を持ったハイ・エルフといった面々で、勇者と肩を並べるにふさわしい英雄ぞろいである。その全員が女であるのは、カイルの人徳の成せるわざだろうか?
だが、彼女達の扱いに勇者は見事に失敗していた。
つい最近、勇者を巡って修羅場しゅらばが生じ、それを制止しようとした聖騎士達に暴行を加えた罪で、彼女達はろうに入れられている。そのうえ、カイルをかたどった勇者像が漆黒に染まった影響で、彼女達はより厳しい監視を受けることとなり、聖神教会に引き渡されたのだった。
そんな五人がどうして聖王に付き従っているのか? この場に集まった者は皆首をかしげたが、さらに彼女達の背後にいる騎士を目にして、何人かは思わず唸り声を上げた。
卓越たくえつした政治家であるレイネル公爵は驚きの表情を露わにすることはなかったものの、驚きの声を上げた者をあざ笑う気は起きない。聖王が引き連れていた騎士達があまりに特殊な存在で、その名は聖都にとどろいていたからである。
騎士達は皆一様に、穢れのない白銀の甲冑と黒い十字の意匠いしょうが施されたサーコートを身にまとい、鎧と同じように光り輝くバケツ型の兜グレートヘルムで顔をすっぽりと覆っていた。腰には聖なる十字剣クルセイダー・ソードを差している。
彼らが所属するのは、聖マウグリスト騎士修道会。
それは教皇が結成した宗教騎士団であり、聖神教会にあだす者を殲滅せんめつする裁きの剣の役割を担っていた。
彼らの無慈悲な戦いぶりは有名だった。五年前の聖征戦争クルセイドでも、降伏した魔法帝国の臣民しんみんを容赦なく狩っている。昼夜を問わず、老若男女の区別なく拷問ごうもんを行い秘密の隠れ家を吐かせ、そこで捕えた魔法帝国の臣民を生きたまま火炙ひあぶりにした。
この騎士修道会が担当した地域には、焼けげた死体のはりつけが何十万と立ち並び、そのさまはまるで死体で作られた森のようであったという。
聖王と五人の美女の後ろに控えている騎士は十人ほど。おそらく幹部級の者だろう。
その顔はグレートヘルムで隠されているので、表情は読めないが、権力争いにうつつを抜かす貴族達を、とがめるような雰囲気だった。
「皆の者、安心せい」
聖王は穏やかに語る。
「教皇猊下げいかが、兵を貸してくれた。間もなく、闇に堕ちた勇者は滅び、新たな光の勇者が誕生するであろう」
どこか夢見がちに語る聖王に、居並ぶ重臣達はどう答えたものかと顔を見合わせた。
「レイネル公爵を残し、他の者は下がって業務に戻れ」
聖王の声は優しくはあるが、反論を許さぬ力強さに満ちている。
臣下は頭を下げ、足早に会議室から去って行った。
広い会議室に残ったのは、聖王とレイネル公爵、勇者の仲間である五人の美女、聖マウグリスト騎士修道会の宗教騎士十名である。
「陛下、いったいどのようなご用件でしょうか?」
レイネル公爵はさっそく問うた。
「ホッホッホ、そうくな公爵……、わしはな。貴公を買っておる。貴公のお蔭で、面倒な貴族間の争いを調整できておるしの。そのあたりは感謝しておるんじゃ」
「……」
嫌な予感がして、レイネル公爵は僅かに後退する。
「しかし、カイルを動かしたのはまずかったのぉ~。儂は後々、アヤツを地下迷宮に取り込む予定じゃったのに……、まさか、他の地下迷宮に奪われるとは……参った参った」
「地下迷宮に取り込む? い、いったい何の話を……」
公爵の問いは無視して、聖王は好々爺こうこうや然とした表情のまま話を続ける。
「貴公には、責任を取ってもらわねばならん。ホッホッホ、怖がるでない。天にも昇る快感を味わうことになるのじゃからな」
その言葉が終わるや否や、宗教騎士達が公爵を取り押さえた。
あっという間の早業であり、レイネルが抵抗する余地など微塵みじんもなかった。
「へ、陛下! どういうおつもりですか!」
「レイネル・ルト・ハーディア、教皇猊下の力になれることを光栄に思うがいい」
聖王の瞳に宿る穏やかな狂気に、公爵は言い知れぬ恐怖と戦慄を覚えた。すかさず、勇者の仲間である五人の美女に助けを求める。
「た、助けてくれ! 私はカイルがどこに行ったか知っている!」
彼女達は勇者カイルを男として深く愛している。
そのことを知っているレイネルは、カイルをえさに彼女達をろうとしたのだ。
しかし、五人の美女は沈黙したままである。
「ホッホッホ、さあ、彼女達に聖神の下僕げぼくを宿す儀式を始めよう」
聖王の笑い声が室内に響き渡った。
それを合図に、公爵を取り押さえていない騎士達が聖句に似た言葉を唱え始める。
『――サルヴェイションサルヴェイションすべては唯一神の下にアーシェンクロシェス
――リベレイトリベレイト
――疑似迷宮展開アポンデ・アリード
――神に捧げる供物の祭壇シィディ・ヴァルド
――アクティブアクティブ
――解き放たれる眷属ローシェンパルク
――出でよジェイス出でよジェイス出でよジェイス!!』
彼らの詠唱に招かれ、人知を超えた存在が、この世界と別の世界を隔てる壁を抜けて、顕現けんげんしようとしていた。
「公爵よ、光栄に思うがいい。なんじは貴重な触媒しょくばいに選ばれたのじゃ」
「あ、ァアアアアアァァアアアアーーーーーー!!!!!」
公爵の体に激痛が走る。
凄まじい力を持った何かが、彼の肉体を通してこの世界に降臨こうりんしようとしているのだ。
体をバラバラにされ、再び繋ぎ合わされるような痛み。吐き気をもよおすほどに耐えがたく、常人ならば即座に発狂するだろう。レイネルも狂気に逃げようとした。が、それすら許されない。
得体の知れない快感が痛みを和らげ、気がゆるんだ瞬間に再び激痛が走る。
想像を絶する生き地獄を味わいながら、公爵は涙を流して声を張り上げた。
「アアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
魂が切り裂かれるような、否、もてあそばれる感覚に、赤子のごとく泣き叫ぶことしかできない。
激痛と快感、二つの感覚が入り混じった公爵の悲鳴は外に漏れることはなかった。
何故なら、宗教騎士達があらゆる音を遮断する沈黙の結界を張り巡らせたからである。
したがって外にいる者達は、誰一人公爵の悲鳴に気付くことはなかった。
この会議室で繰り広げられた情景はまるで、アルアークとハルヴァーが創造した地下迷宮における拷問さながらであった。
永遠とも思えるほど長々と尾をく公爵の絶叫――。
それは、やがて闇に吸い込まれるようにして……消えた。

次の日。
元勇者の仲間達と聖マウグリスト騎士修道会の会員五百名が聖都から旅立った。その行軍の様子を遠くから見ていたひとりの少女は「さて、どちらに加勢をするべきスかねェ」と呟きながら、彼らの後を追いかける。
地下迷宮に新たな危機が迫ろうとしていた。












 第二章 地下帝国の臣下

アルアークは今、しばしの眠りについている。
そのため、地下帝国軍の指揮は、妹であるハルヴァーがっていた。
聖王国と連合諸国に対するアルアークの静かな憎悪をゆっくりと忍び寄る冷気に例えるなら、 ハルヴァーの怒りは、燃え上がる烈火のようであった。
彼女は、地下帝国の軍勢レギオンに向け、ロナン王国とベティア帝国を間断かんだんなく攻め立てるように命じた。
ゴブリンの王プルック、終末の騎士テェルキスといった将兵達は、主命を受けるや否や、即座に軍勢を駆り、敵国都市への侵攻を開始している。
プルックの率いる妖魔軍は、今では地下帝国最大の兵力であった。
その数はゴブリンだけでも百個大隊、五万にも上っている。
元からいたゴブリンに加え、辺境に逃げていたゴブリン達が続々と地下迷宮に集まってきたのだ。
さらに軍勢を拡大させるために、ハルヴァーは種族としての格を上げる「強制進化の祭壇」に続いて、新たに種族の特性を最大限にまで引き出す地下迷宮の設備「大いなる背徳の園」を創造した。
この設備により、彼らの高い繁殖力と成長力は従来の何倍にも高められている。
ただし、そのためには代価も必要であった。
「大いなる背徳の園」の祝福を受けた者は、本来の寿命を半分失うことになるのだ。にもかかわらず、彼らはこの施設を利用して、その数を増やしていった。
個々の戦闘能力は低くとも、その数の多さは脅威となる。元々長くは生きられないゴブリン達であったが、そうしなければ地下帝国の軍勢として貢献できないことを知っていたのだった。
王である〝赤き刃〟プルックを始め、彼の息子達〝狼乗り〟グラッドや〝霊剣使い〟ガース、〝悪徳の〟ガラグなどが指揮を執り、ロナン王国に軍を進めた。
次に兵数が多いのは、テェルキス達終末の騎士が率いる不死者の軍勢である。
スケルトンの大軍を生み出す「不浄ふじょうなる寺院」やゾンビなどの足を速める「絶叫する骸骨回廊がいこつ かい ろう」など、地下迷宮の施設より生み出された邪悪なる不死者の大軍。
さらには、闇の気配に惹かれて、死の世界より這い出てきた首なし騎士デュラハン魔霊レイス死せる竜ドラゴンゾンビなどが戦列に加わった。
指揮官であるテェルキス達、終末の騎士が打ち倒されなければ、この軍勢が滅びることはない。
巨大な生き物のように、死せる軍勢は地の底を進み、ベティア帝国の都市部へ向かう。
あっという間に、ロナン王国では六つ、ベティア帝国では四つの都市を陥落かんらくさせて、その数倍の数の砦を占拠せんきょした。
地底を進む地下帝国の軍勢は、国境の守備や城壁を易々やすやすと突破し、都市の主要施設へ神出鬼没しんしゅつきぼつの急襲を仕掛けることができる。
侵攻される両国は、何一つ有効な対策を打ち出せずにいた。
地下帝国がその侵略を拡張する様は、まるで乾いたわらがめらめらと燃え広がるようであった。
各地を制圧した妖魔達は地下帝国の旗を高らかに掲げ、この地は地下帝国の版図はんとであると宣言した。
栄耀栄華えいようえいがむさぼっていた都市の代表者や教会の指導者、守備隊長、豪商ごうしょう達は、りにされた後、アルアークとハルヴァーへの供物として地下迷宮に送られた。
彼らは皆、魔法帝国を滅ぼした戦争で富を築いた、いわば仇敵である。そんな彼らが今後、生きて再び地上に出ることはない。
ハルヴァーは配下の活躍に満足し、陥落都市を自由にする権利を与えた。
物言わぬ不死の軍勢ならばともかく、しいたげられてきた妖魔達のものとなった都市には虐殺ぎゃくさつの嵐が吹き荒れるだろうと予想された。ところが意外にも、略奪りゃくだつや虐殺は起きなかった。
ゴブリンの王プルックが配下を厳しくりっしたからである。
その理由は、慈愛の心によるものではない。
それは、人間を恐れてのことだった。
ここで野放図のほうずに略奪したら、人間達は必ずや逆襲するに違いない。
復讐に身を焦がす、アルアークとハルヴァーを良く知る彼らしい判断であった。
プルックは配下のゴブリン達に、「無抵抗な人間は粗末そまつに扱うな」と命じた。
村人達を、懐柔かいじゅうしようとしたである。
しかし、これは上手くいかなかった。
聖神教の教えがこびりついている村人達は、妖魔を信用しなかった。多くの者が難民となり、まだしも安全な都市へ落ち延びていった。
プルックは腹を立てることなく、「まあ、はじめはこんなものだろ」と呟くと、配下の者達に、荒廃した田畑を片付けさせ、破壊された家屋を直させた。
不真面目で不器用なゴブリン達はお世辞せじにも丁寧な仕事をしたとは言えなかったが、それでも僅かに残った村人達には仮の住居と食事が与えられた。
その結果、村人達は妖魔に怯えながらも、新たな支配者として受け入れていった。
だが村や都市の復旧作業は行えても、ゴブリンなど知性の低い妖魔には、政治や経済といった小難しい仕組みを構築することはできない。
これに関しては、アルアークの友人である闇商人テオドールや小国の姫フランディアルが全面的に協力した。聖神教会に目をつけられている異端者、連合諸国に利権を奪われた闇商人などを誘致ゆうちし、軍事的にも政治的にも、都市を完全なる支配下に置いてしまったのである。
こうして急速に勢力が拡大していったが、それは同時に、地下帝国内の治安の不安定化も意味していた。
「ロナン王国の食料庫と言われる都市ビロストと、ベティア帝国の武器庫として名高いツァールストは陥落。また、泉の国ラクシュは我がフェーリアン王国の騎士団の手により解放されました。しかしそれに呼応するかのように、両国の傀儡かいらい国家と化していた小国家が再び独立のきざしを見せています」
フェーリアン王国の姫、フランディアルがそう報告した。
彼女は周辺国から妖精姫とあだ名される美貌びぼうの持ち主で、若いながらも優れた為政者いせいしゃである。
「その辺は姫様の好きにしなよ。独立に手を貸して恩を売るも良し、ロナン王国やベティア帝国に代わって支配するも良し」
ハルヴァーは興味がなさそうに言う。
地下迷宮を支配する彼女にとって最大の関心事は、祖国を滅ぼしたロナン王国、ベティア帝国、商業国家キレトス、そして聖王国の取扱いであり、それ以外のことは二の次、三の次だった。征服して奪った土地を妖魔達の好きにさせている辺り、政治家としての役目は放棄ほうきしているに等しいのだが、不思議とそれが良い結果に繋がっている。
それはおそらく、アルアークとハルヴァーの人望に惹かれて集まった者達が優秀であり、主人である兄妹が口を出さなかったため、結果的に上手くいったのだろう。
ハルヴァーの反応を予想していたのか、フランディアルは深々と頭を下げて自分の考えを述べた。
「人と妖魔の関係性を改善するには、ゴブリンの上位種やオークの方々に復興の支援をさせるのがよろしいかと存じます。その辺りの交渉を任せていただければと」
「……危険だよ?」
ハルヴァーは宝石のような蒼い瞳を細めて、フランディアルの覚悟を問う。
聖王国から離れているとはいえ、妖魔に対する風当たりは強い。
多くの人にとって、ゴブリンやオークは害虫と変わらないのである。だが先のベティア帝国の戦いを皮切りに、その害虫達によって各地の都市や砦が落とされた。この事実は風の噂となり、疫病のように各地へ広がっている。
つまり、大半の人間達は恐れているのだ。今度は自分達が、ゴブリンやオークに害虫のごとく殺されるのではないかと。
そのように恐怖に駆られた人間には理屈が通用しない。予期せぬ逆襲を受けるかもしれない。
フランディアルの提案通りに事を進めれば、彼らの恐怖心をさらに刺激しないとも限らない。
「承知しております。しかし、これもすべてはアルアーク様と我がフェーリアン王国のため」
姫の覚悟を聞き、ハルヴァーは軽く首を縦に振った。
「わかった。それじゃあ、これをあげる」
ハルヴァーは転移の呪文を唱えて小さな指輪を呼び出すと、フランディアルに渡す。
指輪には解読不能な文字が彫刻ちょうこくされていた。
「これは?」
「『誓約の指輪オウス・リング』、ビロストやツァールストの加工して作った指輪だよ」
恐ろしいことに、ロナン王国やベティア帝国の都市の顔役達は捕らえられた後、その姿形を指輪に変えられてしまっていたのである。
恐ろしいことをさらりと言ってのけ、ハルヴァーは説明を続けた。
「身に着けていれば、傷や痛みを代わりに引き受けてくれる。合言葉を唱えれば、地下迷宮に転移できるから、結構便利な品物だよ」
ハルヴァーから渡された指輪を、フランディアルは凝視ぎょうしする。
すると、指輪の表面に浮き出た文字が嘆き悲しむかのように歪んだではないか!
生きたまま魔法の道具の材料にされた人々の苦しみや恐怖が凝縮した指輪。
普通ならば、恐ろしくて触れることすらできないだろうが、フランディアルはさすが地下帝国の同盟者だけあって、心も常人とは違う。
彼女は躊躇ためらうことなく指輪をめ、ハルヴァーに感謝を述べた。
「ありがとうございます」
「うん! それじゃあ、頑張ってね!」
ハルヴァーはいつも通りの邪悪な笑みを浮かべる。
「人間達のことはお任せください。少しばかりおいしい思いをさせれば、彼らの多くを味方につけることができるでしょう。ところで、ハルヴァー様。妖魔達の方は大丈夫でしょうか?」
聖王国のレイネル公爵が仕組んだ先のベティア帝国との戦いでは、オークやミノタウロスの部族が活躍した。これによって、地下帝国が人間達と戦い勝利したとの噂を聞きつけた諸国に潜む妖魔の部族達は、その軍勢に加わりたいと今も続々と集まってきている。
しかし、地下迷宮には、少なからぬ数の人間も暮らしているのだ。
もしも地下帝国が妖魔至上主義一辺倒に傾いてしまっては、人間であるフランディアルにとって問題である。
「地下帝国に属する者なら、人も妖魔も関係ない。みな等しく、兄様にいさまと私の宝物だよ。金貨や宝石、魔法の道具よりも大切な人材、つまり財産なんだから……、足の引っ張り合いは許さない」
ハルヴァーは、最後の部分をゾッとするような声音で語る。
フランディアルはその言葉を耳にし、体を震わせて硬直した。
自分より少し年上の少女から放たれる、圧倒的な気迫に呑まれたのである。
たとえこの先、フランディアルがどれほどの年月をかけようとも得られない、恐ろしい支配者の声だった。
どんな魔法よりも強力で、人や妖魔の区別もなく、絶対の忠誠と隷属れいぞくを誓わせる強大な力。臆病なゴブリン、勇猛なオーク、豪快なミノタウロス、いずれも例外ではない。
「まあ、競い合う程度なら可愛げがあっていいけどね」
ハルヴァーはフランディアルの心を見透かすように微笑んだ。
人が増えれば、手柄てがらを争う場面も多くなる。
それは妖魔も同じであり、地下帝国の軍勢は互いに競い合うようにして、日々の勝利を主人に報告しようと躍起になっている。
愚かなことだが、妖魔の中にはアルアークやハルヴァーに虚偽きょぎの成果を伝えようとする者もいた。だが、ハルヴァーは嘘を見破る魔術にも精通しているため、その手のやからは、地下帝国の拷問部屋に送られ、己の浅慮せんりょを後悔することになる。
ただ今のところ、仲間を陥れるような者はいない。
人であっても、妖魔であっても、である。
それが地下迷宮の魔力によるものか、あるいはアルアークとハルヴァーの人徳によるものかは、不明だった。
このように地下帝国は、集団としての新たな問題を抱えていたがその軍勢が破竹はちくの勢いで版図を拡大しているのは確かである。
「そういえば、そろそろ使者が到着する頃かな?」
「使者?」
「うん、ドルド達の住んでいた森にすごく強い竜がいるんだってさ。協力を得られたら、素敵だと思わない?」
竜は人知を超えた力を持つ魔獣である。
その中でも、人と同じように知恵を持つ竜はさらに強大な存在だった。
もしも竜が仲間として軍勢に加わるならば、地下帝国は地の底のみならず空の戦いの主導権も手に入れることになるだろう。
「それは素晴らしいお考えです。奪い取った城塞都市ビロストには、天馬ペガサスもおりますので、十分に数を揃えれば空軍としても利用できることでしょう」
フランディアルの返答に、地下帝国の君主は嬉しそうに頷く。
「ところで、その使者は誰を?」
「デリトだよ」
「デリト?」
ハルヴァーの言葉に、フランディアルは首をかしげる。
「ほら、地下迷宮を創造した時、最初に訪れた冒険者……」
フランディアルは「ああ!」っと、思い出したような声を出した。
「あのさちが薄そうな」
「そうそう、平凡そうな顔立ちの」
歯に衣着せぬ物言いであるが、真実なのだから仕方がない。
もっとも、アルアークとハルヴァーは、デリトは一皮むければ大きく化けると期待している。
「獣人の娘を治療した功績もあるし、話くらいは聞いてくれると思うよ」
「なるほど、では彼の手腕の見せ所ですね」
しかし、その手腕が発揮される機会はなかった。
何故なら、デリトが向かった森には異変が起きていたからである。
そのことを、彼女達はまだ知らない。

* * *

デリトが向かった先は、以前、狼乗りのグラッドが訪れた森だった。
その中にある、竜が首領しゅりょうを務める妖魔の隠れ里に、地下迷宮の使者として行ったのである。
使者には、神官デリトに加え狩人ローナもいた。
二人とも元冒険者仲間であり、今では恋人の関係にあった。
デリトは少しばかり線の細い平凡な顔立ちの青年で、ローナは冷たい雰囲気の娘である。
彼らのかたわらには、聖銀せいぎんの剣により傷を負った人狼ワーウルフの娘がいた。
名はクロイス。ウルフカットの灰色髪に、琥珀色のツリ目をした娘である。
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