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piece1 花のような笑顔
私が何をしたか、知ってるでしょ?
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「……疲れちゃった?」
三脚に跨り、上の棚にある過去の書類を移動していたエリカが、沈黙する悠里を優しく見下ろした。
「い、いいえ」
慌てて悠里はかぶりを振った。
エリカが明るく微笑み、三脚から降りてきた。
「もう上の段はおしまい。ありがと。おかげで、すごい順調に片付いてるよ」
「よ、良かったです」
エリカは再び、棚の整理作業に戻る。
その凛とした背中に向かい、悠里は小さく問いかけた。
「エリカさんは、今も、バスケ部に……?」
一瞬、エリカの背中が、ぴくりと震えた気がした。
しかし、その一瞬が過ぎると、作業を続けたままの背中が、明るく答えを返してくる。
「うーん。半分は」
「半分」
「部の練習や試合、そういった活動には、勿論出られない。けど、籍は抜けてないんだ」
でないと、こういう作業ができないからねと言い、カラッと笑った。
悠里は唇を噛み、小さく沈黙した後、更に問いを重ねた。
「……それで、この作業を、1人でしているんですか?」
「悠里ちゃんって、けっこう物事を白黒ハッキリさせるタイプだね?」
悠里の心のモヤを吹き飛ばすかのように、エリカが快活に笑った。
「いいのいいの、これくらい。いくらでもやったるわ」
威勢の良い言葉を聞いても、悠里の心は完全には晴れない。
「でも、この量を1人では……」
「いいんだって」
悠里の声を押し留めるように、エリカは言った。
「私が何をしたか、知ってるでしょ?」
その言葉は、悠里の声を封じ込めるには充分だった。
エリカは一瞬作業の手を止め、ちらりと悠里を見て微笑んだ。
そうして再び背を向け、議事録を棚に並べていく。
「バスケ部の活動を、大きく変えてしまったのは私。償うこともできないけど、せめてさ」
凛と透き通る声で、エリカは言った。
「私にできることがあるなら、何でもする」
「……エリカさん」
「だから、何も気にすることないよ」
作業を終えたエリカが振り返り、真っ直ぐ悠里に微笑みかけた。
「罪滅ぼしとも呼べない、私の自己満だからさ」
悠里はただ、エリカの明るい笑顔に惹き込まれてしまう。
「ま、卒業までの辛抱だしね!」
「……やっぱり、しんどいんじゃないですか」
「う、うるさいわね」
「ふふっ」
思わず笑ってしまった悠里を見て、エリカが嬉しそうに微笑んだ。
「……やっと、笑ってくれた」
「あ……す、すみません」
「今日は、ありがとうね。声掛けてくれて」
エリカは大輪の華が咲いたような微笑を浮かべた。
「偶然だったけど、話せて、すごく嬉しかったよ」
咄嗟に何を言うこともできなかったが、悠里も微笑み、頭を下げた。
三脚に跨り、上の棚にある過去の書類を移動していたエリカが、沈黙する悠里を優しく見下ろした。
「い、いいえ」
慌てて悠里はかぶりを振った。
エリカが明るく微笑み、三脚から降りてきた。
「もう上の段はおしまい。ありがと。おかげで、すごい順調に片付いてるよ」
「よ、良かったです」
エリカは再び、棚の整理作業に戻る。
その凛とした背中に向かい、悠里は小さく問いかけた。
「エリカさんは、今も、バスケ部に……?」
一瞬、エリカの背中が、ぴくりと震えた気がした。
しかし、その一瞬が過ぎると、作業を続けたままの背中が、明るく答えを返してくる。
「うーん。半分は」
「半分」
「部の練習や試合、そういった活動には、勿論出られない。けど、籍は抜けてないんだ」
でないと、こういう作業ができないからねと言い、カラッと笑った。
悠里は唇を噛み、小さく沈黙した後、更に問いを重ねた。
「……それで、この作業を、1人でしているんですか?」
「悠里ちゃんって、けっこう物事を白黒ハッキリさせるタイプだね?」
悠里の心のモヤを吹き飛ばすかのように、エリカが快活に笑った。
「いいのいいの、これくらい。いくらでもやったるわ」
威勢の良い言葉を聞いても、悠里の心は完全には晴れない。
「でも、この量を1人では……」
「いいんだって」
悠里の声を押し留めるように、エリカは言った。
「私が何をしたか、知ってるでしょ?」
その言葉は、悠里の声を封じ込めるには充分だった。
エリカは一瞬作業の手を止め、ちらりと悠里を見て微笑んだ。
そうして再び背を向け、議事録を棚に並べていく。
「バスケ部の活動を、大きく変えてしまったのは私。償うこともできないけど、せめてさ」
凛と透き通る声で、エリカは言った。
「私にできることがあるなら、何でもする」
「……エリカさん」
「だから、何も気にすることないよ」
作業を終えたエリカが振り返り、真っ直ぐ悠里に微笑みかけた。
「罪滅ぼしとも呼べない、私の自己満だからさ」
悠里はただ、エリカの明るい笑顔に惹き込まれてしまう。
「ま、卒業までの辛抱だしね!」
「……やっぱり、しんどいんじゃないですか」
「う、うるさいわね」
「ふふっ」
思わず笑ってしまった悠里を見て、エリカが嬉しそうに微笑んだ。
「……やっと、笑ってくれた」
「あ……す、すみません」
「今日は、ありがとうね。声掛けてくれて」
エリカは大輪の華が咲いたような微笑を浮かべた。
「偶然だったけど、話せて、すごく嬉しかったよ」
咄嗟に何を言うこともできなかったが、悠里も微笑み、頭を下げた。
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