#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

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piece1 花のような笑顔

資料保管室で2人きり

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書類とファイルの束を半分こで持ち、悠里とエリカは廊下を歩いていた。

「本当、ごめんね。手伝って貰っちゃって」
「いいえ」
悠里は抱えた大量の書類に目を落とす。


もともと、到底1人で運べる量ではないのだ。

悠里は、廊下の先で見た光景――
エリカ1人に荷物を押しつけ、笑いながら階段を駆け降りていった2つの人影と、小馬鹿にしたような嫌な笑い声を思い返していた。

悠里の持つ書類には、『バスケ部ミーティング議事録』という表紙が付いている。


「ここが、倉庫」
資料保管室と書かれた部屋の前に立ち、エリカが明るい声で言った。

書類を扉の近くに下ろし、カチャカチャと鍵を開ける。
「助かったよ、本当にありがとうね」
悠里にも書類を下ろさせ、エリカはにっこりと微笑んだ。


「……あ、中の棚に、入れるんですよね? お手伝いします」
「いいよいいよ。遅くなっちゃうからさ」
エリカは明るい笑顔を崩さず、首を横に振った。

「悠里ちゃんは、もう帰りな?」
「……遅くなっちゃう量なら、なおさら2人でやった方がいいですよ」


自分でも、何故食い下がっているのかわからない。
けれど悠里は、自分よりもかなり高い位置にあるエリカの瞳を、懸命に見上げた。

放っておけないと、思ってしまった。
「お手伝いします」

エリカは面食らったように、悠里を見つめ返す。
しかし悠里が目を逸らさないのを見てとると、根負けしたように、ふわりと大輪の華を咲かせた。

「……はは、じゃあ、お願いしようかな」


特別教室が並ぶ階の、さらに端に位置する資料保管室。
2人の他に、このフロアには誰もいない。とても、静かだ。
暫くは、書類を棚に並べていく物音だけが響いた。

「……たくさん、ありますね」
手慣れた様子で、所定の位置に書類を収納していくエリカ。
悠里は、彼女に書類の束を順番に渡しながら、声を掛けた。

「ね。一応、過去3年分は保管するルールだからね」
手を動かしながらも、エリカは明るく応えた。

「毎年この時期に、4年前の書類を捨てて。それから今年の議事録や諸々の申請書を、倉庫に持っていく作業があるんだ」

「そうなんですね……」
悠里は書類の束に目を落とし、拓真の言葉を思い出していた。


『結局、元カノはいづらくて退部したみたいだけど』

その言葉が確かであれば、何故エリカは、バスケ部の書類整理をしているのだろう――
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