#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

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piece2 歪んだ友情

警鐘

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「橘さん」
その数日後、学内を歩いていると、ふいに名前を呼ばれた。

悠里は足を止め、あまり馴染みのない声に訝しみながら振り返る。
そこに立っていたのは、エリカの友人――カンナだった。


「あ……」
悠里は彼女を見つめ、会釈をした。
咄嗟にカンナの周囲を確認したが、エリカは近くにいないようだった。

悠里の頭の中で、警鐘が鳴る。

カンナが顔に笑みを貼り付けて、悠里の傍までやって来た。
エリカよりも、更に少し背が高く、体格がいい。
肩上で切り揃えられたボブヘアが印象的で、涼やかな目元の持ち主だ。


彼女もエリカと同じ、バスケ部の関係者だろうか。
笑ってはいるが、悠里を見下ろすその視線は、図書室で感じたように冷ややかで、居心地が悪かった。


彩奈と話した件でもある。
カンナと関わっては、いけない。

「こんにちは」
無難な挨拶だけをして、悠里は場を切り抜けようとした。

しかし、ガシッと肩を掴まれ、顔を覗き込まれる。
「先週は、ごめんね?お友だちと、険悪な雰囲気になっちゃって」

図書室での、一触即発の空気を指すのだろう。
肩に触れられた上に、彩奈を引き合いに出され、悠里の緊張は更に高まる。

「……いいえ、こちらこそ失礼しました」
彼女の意図を計りかねたまま、悠里は丁寧に頭を下げる。
カンナの目的がわからない以上、下手に刺激はできない。

「お詫びにさ、いいもの見せたげようと思って、持ってきたんだ!ちょっと付き合ってよ」
カンナが笑いながら、すぐそこにある学内のカフェテリアを指差した。

慌てて悠里は首を横に振る。
「お詫びなんて、そんな」
「いいから」
肩を掴んでいた手が悠里の手首に移動し、更に強い力で掴んできた。

逃がす気はないということだ。
諦めて、悠里は頷いた。


「――じゃあ改めて。安藤カンナ。エリカとは、バスケ部時代からの親友だよ」
カフェテリアの端にある2人用のテーブル席につき、カンナが名乗ってきた。

「橘悠里です」
既に知られているようだが、形式的に悠里も自己紹介をし、軽く頭を下げる。

カンナが喜々として、ひとつのフォトブックを取り出す。
「橘さんて、剛士くんの知り合いでしょ?」


真正面から剛士の名を出され、悠里の胸が嫌な鼓動を打つ。

カンナが悠里の表情を探るように、上目遣いで覗き込んできた。
「せっかくだから、昔の写真、見せたげようと思って」
「い、いえ、そんな……」
「はあ?」

カンナの涼やかな目が吊り上がり、鋭い光を帯びる。
「アンタに見せようと思って、わざわざ作ってきてやったんだからさ」

反射的に、ビクッと肩を竦めた悠里に向かい、カンナが取り繕うように微笑んだ。
「見てよ。……悠里ちゃん?」


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