#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

文字の大きさ
14 / 94
piece2 歪んだ友情

しおりを挟む
パラリ、とカンナは最後のページをめくる。

「あ、そうそうこれ!見て?」
カンナの笑顔が大きくなった。

「貴重なツーショット!これ、私が撮ってあげたんだ」
遠慮しちゃって、全然2人だけの写真撮らないからさあ、とカンナは声を立てて笑った。


それは、ジャージ姿の剛士とエリカが、並んで立っている写真だった。

周囲に、誰もいなかったのだろう。
寄り添って、指を絡めて。
紛れもない、恋人同士の写真だった。


エリカの背は、剛士の鼻あたりだろうか。
資料保管室で見たときとは比べ物にならない、キラキラと大輪の華が咲き誇る笑顔。
剛士の肩に、そっと頭を預けている。

剛士も、少し照れたような顔をしているが、その切れ長の瞳は柔らかな光を帯びていた。
2人とも長身なので、ジャージ姿でただ立っているだけで、絵になる。
とても、綺麗なツーショットだった。


「……いかにも、バスケ部カップルって感じでしょ?」
悪戯っぽくカンナは言った。
「……はい」
悠里は、やっとの思いで声を絞り出す。

見たくないのに、目が吸い寄せられた。
楽しそうな2人の笑顔。
悠里が立ち入ることの許されない、思い出の場所。
幸せな2人――


「……こうして見ると、やっぱりお似合いだよねえ」

悠里に同意を求めるように、カンナは言った。
何とも答えられず、悠里は小さく唇を噛む。
カンナは笑みを浮かべながら悠里を見据え、牙を剥いた。


「アンタがいなきゃ、2人は元サヤなのにね」


ああ、これが本題だ、と悠里は痛みに震える胸を押さえ、思った。

「……ねえ、橘さん。お願い」
カンナが悠里の顔を、無遠慮に覗き込む。

「剛士くんの前から、消えてくんないかな」

あまりにも乱暴な刃を喉元に突きつけられ、悠里は一瞬、息ができなかった。
ぎゅっと唇を噛み、悠里は理不尽な言葉の暴力に耐える。

「アンタがいなければ、2人はすぐにでも、元に戻れるからさ。私、エリカにまた、この写真みたいに笑って欲しいんだ」

カンナはアルバムをトントン、と指で叩いて言った。
「だから……2人の邪魔、しないであげて?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

#秒恋9 初めてのキスは、甘い別れと、確かな希望

ReN
恋愛
春休みが明け、それぞれに、新しい生活に足を踏み入れた悠里と剛士。 学校に向かう悠里の目の前に、1つ年下の幼なじみ アキラが現れる。 小学校時代に引っ越した彼だったが、高校受験をし、近隣の北高校に入学したのだ。 戻ってきたアキラの目的はもちろん、悠里と再会することだった。 悠里とアキラが再会し、仲良く話している とき、運悪く、剛士と拓真が鉢合わせ。 「俺には関係ない」 緊張感漂う空気の中、剛士の言い放った冷たい言葉。 絶望感に包まれる悠里に対し、拓真は剛士に激怒。 拗れていく友情をよそに、アキラは剛士をライバルと認識し、暴走していく―― 悠里から離れていく、剛士の本心は? アキラから猛烈なアピールを受ける悠里は、何を思う? いまは、傍にいられない。 でも本当は、気持ちは、変わらない。 いつか――迎えに来てくれる? 約束は、お互いを縛りつけてしまうから、口にはできない。 それでも、好きでいたい。 いつか、を信じて。

マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった

naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】 出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。 マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。 会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。 ――でも、君は彼女で、私は彼だった。 嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。 百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。 “会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。

籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。

クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。 3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。 ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。 「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」

結末のないモブキャラは仕方がないので自身の恋物語に終止符を打つことにしました

保桜さやか
恋愛
 いつかの未来に綴られた物語の中に自分の姿がないことに気がついたとき、わたしは物語の中でも背景として機能するいち『モブキャラ』であることを悟った。          ⚘⚘⚘  ポリンピアの街に住むアイリーンは幼馴染の少年・テオルドに恋する女の子。  だけどあるとき、禁断の森に迷い込んだアイリーンは熱を出し、三日三晩寝込むことになる。その夢の中で、別世界にいるという愛理(あいり)という存在が書物を通じて自分たちの世界を見ていたことを知る。その物語には、数年後に勇者となり、名を馳せたテオルドとそんな彼とともに旅をする現代からの転生者で巫女と呼ばれる少女の旅の様子が描かれていた。そして、その世界に自分がいないことを知ったアイリーンは、彼への長年の想いを断ち切るため、愛理の知識をも利用してありとあらゆる手段で独り立ちすることを決意する。

うわさの行方

下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。 すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。 戦場から帰るまでは。 三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。 ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。

恋と首輪

山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。 絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。 地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。 冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。 「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」 イケメン財閥御曹司 東雲 蓮 × 「私はあなたが嫌いです。」 訳あり平凡女子 月宮 みゆ 愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。 訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。 今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。 家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。 だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?

処理中です...