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piece4 半分は本当のことを
少し、話そう
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悠里の自宅のある駅に到着し、連れだって降りる。
間もなく3月を迎える日の夕暮れ。
春の気配を感じるような、寒さの緩んだ日だった。
「悠里」
繋いだ手を優しく握り直し、剛士が彼女の顔を覗き込んだ。
「少し、話そう?」
何となく彼の意図を察していた悠里は、少し緊張しながらも、微笑んで頷いた。
駅前の広場にあるベンチのひとつに、2人は並んで腰掛けた。
今日は比較的気温が高いとはいえ、冬の屋外ベンチは、他には誰も座っていない。
2人にとっては、好都合だった。
「寒くない?」
「うん。大丈夫」
剛士の気遣いに、悠里は小さく微笑む。
少し寒いくらいがきっと、丁度良い。
ベンチの傍にある桜の木を見上げれば、少し蕾が膨らみ始めているような気がする。
悠里につられるように、剛士も蕾を見上げ、柔らかな声で呟いた。
「きっと、あっという間に桜が咲いて、春が来るよな」
「ふふ、うん」
悠里も努めて明るく同意する。
そうして、幸せな未来を思い描いてみた。
「……春休み、みんなでお花見とか、できるかな?」
「そうだな。花見しようぜ」
剛士は彼女の手を優しく握って応えた。
「あと……デートも、しような」
剛士の唇から出た甘い言葉に、悠里の胸が、柔らかく弾む。
見上げた剛士の頬には、少しだけ照れたような、優しい微笑が浮かんでいた。
「ふふ……うん」
悠里も頬を染め、微笑み返した。
小さな沈黙が落ちた。
悠里の手を丁寧に握り直し、剛士は優しい声で、本当に話したかったことに移った。
「昨日の帰り、拓真がお前に会ったって言ってた」
「……そっか」
「声掛けたら、何かすごいびっくりしてて、」
剛士の大きな手が、そっと悠里の頬に触れた。
「お前、泣きそうな顔した……って」
「そっか」
剛士に『送る』と言われた瞬間に、何となく予想した通りだった。
やっぱり拓真は、昨日の出来事を剛士に話したのだ。
明らかに様子のおかしかった悠里を心配して……
「悠里。何か、あった?」
片方の手は繋いだまま。
そして、もう片方の手は悠里の頬に触れたまま。
剛士はゆっくりと、彼女の心に問いかける。
「この間、めずらしく電話くれたこともあったよな。もしかしてそれも、無関係じゃない?」
拓真も剛士も、鋭い。
悠里の表情の違いや、行動の僅かな違和感で、気取られてしまう。
悠里は目を伏せ、自分の胸に確かめる。
剛士に、『なんでもない』は通せない。
悠里がそう言えば、彼はきっと、無理には聞いてこない。
けれど、剛士に『何かあったのだ』と確信させてしまう。
心配をかける上に、何も打ち明けないことに対して、彼を深く悲しませてしまうだろう。
悠里は唇を噛み、考えを巡らせた。
剛士の切れ長の瞳が、たくさんの色を浮かべる。
けれど彼は、どの感情も表には出さず、ただ優しく悠里の頭を撫でた。
「ごめんな。言いたくなかったら、無理しなくていいけど……」
悠里を労わってくれる、本当に優しい声だった。
間もなく3月を迎える日の夕暮れ。
春の気配を感じるような、寒さの緩んだ日だった。
「悠里」
繋いだ手を優しく握り直し、剛士が彼女の顔を覗き込んだ。
「少し、話そう?」
何となく彼の意図を察していた悠里は、少し緊張しながらも、微笑んで頷いた。
駅前の広場にあるベンチのひとつに、2人は並んで腰掛けた。
今日は比較的気温が高いとはいえ、冬の屋外ベンチは、他には誰も座っていない。
2人にとっては、好都合だった。
「寒くない?」
「うん。大丈夫」
剛士の気遣いに、悠里は小さく微笑む。
少し寒いくらいがきっと、丁度良い。
ベンチの傍にある桜の木を見上げれば、少し蕾が膨らみ始めているような気がする。
悠里につられるように、剛士も蕾を見上げ、柔らかな声で呟いた。
「きっと、あっという間に桜が咲いて、春が来るよな」
「ふふ、うん」
悠里も努めて明るく同意する。
そうして、幸せな未来を思い描いてみた。
「……春休み、みんなでお花見とか、できるかな?」
「そうだな。花見しようぜ」
剛士は彼女の手を優しく握って応えた。
「あと……デートも、しような」
剛士の唇から出た甘い言葉に、悠里の胸が、柔らかく弾む。
見上げた剛士の頬には、少しだけ照れたような、優しい微笑が浮かんでいた。
「ふふ……うん」
悠里も頬を染め、微笑み返した。
小さな沈黙が落ちた。
悠里の手を丁寧に握り直し、剛士は優しい声で、本当に話したかったことに移った。
「昨日の帰り、拓真がお前に会ったって言ってた」
「……そっか」
「声掛けたら、何かすごいびっくりしてて、」
剛士の大きな手が、そっと悠里の頬に触れた。
「お前、泣きそうな顔した……って」
「そっか」
剛士に『送る』と言われた瞬間に、何となく予想した通りだった。
やっぱり拓真は、昨日の出来事を剛士に話したのだ。
明らかに様子のおかしかった悠里を心配して……
「悠里。何か、あった?」
片方の手は繋いだまま。
そして、もう片方の手は悠里の頬に触れたまま。
剛士はゆっくりと、彼女の心に問いかける。
「この間、めずらしく電話くれたこともあったよな。もしかしてそれも、無関係じゃない?」
拓真も剛士も、鋭い。
悠里の表情の違いや、行動の僅かな違和感で、気取られてしまう。
悠里は目を伏せ、自分の胸に確かめる。
剛士に、『なんでもない』は通せない。
悠里がそう言えば、彼はきっと、無理には聞いてこない。
けれど、剛士に『何かあったのだ』と確信させてしまう。
心配をかける上に、何も打ち明けないことに対して、彼を深く悲しませてしまうだろう。
悠里は唇を噛み、考えを巡らせた。
剛士の切れ長の瞳が、たくさんの色を浮かべる。
けれど彼は、どの感情も表には出さず、ただ優しく悠里の頭を撫でた。
「ごめんな。言いたくなかったら、無理しなくていいけど……」
悠里を労わってくれる、本当に優しい声だった。
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