#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

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piece4 半分は本当のことを

見せて欲しい

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長い指が、優しく優しく、悠里の頭を撫でる。
そうされるたびに、無理に締め付けていた心が、解かれていく。

「ゴウ、さん……」
「悠里」
応えてくれる声も、包み込んでくれる腕も、暖かい。
気がついたときにはもう、涙が頬を伝っていた。

一度溢れてしまえば、もう止まらない。
悠里は、小さくしゃくり上げながら、両手で涙を拭う。
すると、剛士が悠里の顔を、優しく自分の胸に抱き寄せた。

悠里は慌てて剛士の胸に手をつく。
「ダメ……濡れちゃう」
「いいよ」

剛士がふっと笑い、更に腕の力を強めた。
「甘えて欲しいんだよ。悠里」
「うぅ……」

悠里は困ったように泣き笑いを零したが、そのまま素直に、剛士の胸に顔をうずめた。


優しく頭を撫でてくれる長い指。
そっと背中をさすってくれる大きな手。
剛士の腕の中は、心地よくて、安心する。


前にも、こうして剛士に抱きしめられながら泣いたことがある。

初めて彼の練習試合を観に行ったとき、悠里のストーカーをしていた勇誠学園の生徒に連れ去られた。
体育館の倉庫に押し込まれそうになっていた彼女を、剛士が助けてくれた。

『悠里!』
黒のユニフォーム姿のまま、練習試合を抜け出して。
必死に悠里を探してくれた。

力いっぱい自分を抱きしめてくれた腕。暖かくて逞しい胸。
そして、激しく脈打つ鼓動。

剛士の感覚が、今でも鮮明に身体に残っている――


剛士はいつも、悠里の心を助けてくれる。
剛士の腕に抱きしめて貰えると、悠里の心は前を向ける。
また、がんばれる。

悠里は、剛士の広い背中に腕を回し、きゅっと力を込めた。
応えるように剛士が、更に悠里を引き寄せ、包み込んでくれる。

悠里は涙の混じる息を吐き、それから剛士の温もりを胸いっぱいに吸い込んだ。

――大丈夫。大丈夫。
そう自分に、言い聞かせた。


剛士の腕の中で泣き、羽根を休めることができた。
悠里は涙を拭き、そっと呟いた。

「ごめんね。ゴウさん……」
「なんで?俺、嬉しいよ。俺の知らないところで泣かれる方が嫌だよ」
ポンポンと悠里の頭を撫で、剛士が答える。

「お前の気持ちなら、全部受け止める。悲しいも、苦しいも……怒りだっていい。俺に、見せて欲しい」 
「ゴウさん……」


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