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piece5 悠里の戦い
学祭の写真
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次にカンナが現れたのは昼休み、悠里が渡り廊下を歩いていたときだった。
辺りには、ひと気はない。
今度は何となく予想していたので、落ち着いて対峙することができた。
「いい度胸してんじゃない」
涼やかな目を細め、カンナが笑った。
「お話することは、何もありませんから」
勇気を掻き集め、悠里は真っ直ぐにカンナの目を見つめる。
「あんたに無くても、こっちにはあんのよ。それに……」
カンナが冷ややかな笑みを浮かべた。
「良いお話だって、こないだから言ってるじゃない」
『オトコ紹介してやろうと思って!』
剛士を諦める交換条件だと、カンナは、自分が集めた男子生徒に向かって、悠里を突き飛ばした。
身勝手な言い分と、乱暴な振る舞いを思い出し、悠里の身体は震える。
必死に恐怖を抑え込もうとする悠里に追い討ちをかけるように、カンナは冷たい笑みを深めた。
「悠里ちゃんって、モテるんだね? アンタのことちょっと話しただけで、紹介してって言ってくるオトコ、山ほどいるよ? いいねえ?」
そう言ってカンナは、1枚の写真をヒラリと投げ落とした。
反射的に目で追ったそれは、悠里の袴姿の写真だった。
学祭の出し物として、クラスで取り組んだ大正浪漫風の喫茶店。
悠里は受付として、教室の入り口に立っていた。
そのときの写真である。
悠里は眉をひそめ、ぎゅっと唇を噛み締めた。
この写真を撮ったのは、聖マリアンヌ女学院の学祭に遊びに来た、勇誠学園の生徒だ。
その生徒自身に悪気は無かっただろうが、悠里のストーカー被害のきっかけとなった写真である。
先週カンナに連れて来られていた、勇誠学園の1年生の言葉が脳裏をよぎる。
『オレたちみたいに、紹介で知り合った男自体は、たくさんいると思う。けっこう、顔は広いよあの人』
カンナは『人脈』を利用して、この写真を手に入れたのだろうか――
カンナが、大袈裟に溜め息をついてみせる。
「これ見よがしに袴着て、客引きしてたんだってね? こんな写真まで撮らせちゃって。学祭直後は、けっこう勇誠内で出回ったらしいねえ?」
カンナが悠里を見据え、嘲笑する。
「そこまでして、オトコの気を引きたいんだ? 悠里ちゃん、あざとーい」
「……そんなつもりじゃありません」
悠里は、必死に声を振り絞った。
しかしカンナの底意地悪い言葉は、なおも彼女を追い詰める。
「誰彼構わず、ニコニコして声掛けまくってたらしいじゃん。オトコに媚びて、チヤホヤされて、ただの受付のくせに1番目立って。勇誠で話題になって。さぞかし気持ち良かったでしょうねえ?ビッチちゃん?」
辺りには、ひと気はない。
今度は何となく予想していたので、落ち着いて対峙することができた。
「いい度胸してんじゃない」
涼やかな目を細め、カンナが笑った。
「お話することは、何もありませんから」
勇気を掻き集め、悠里は真っ直ぐにカンナの目を見つめる。
「あんたに無くても、こっちにはあんのよ。それに……」
カンナが冷ややかな笑みを浮かべた。
「良いお話だって、こないだから言ってるじゃない」
『オトコ紹介してやろうと思って!』
剛士を諦める交換条件だと、カンナは、自分が集めた男子生徒に向かって、悠里を突き飛ばした。
身勝手な言い分と、乱暴な振る舞いを思い出し、悠里の身体は震える。
必死に恐怖を抑え込もうとする悠里に追い討ちをかけるように、カンナは冷たい笑みを深めた。
「悠里ちゃんって、モテるんだね? アンタのことちょっと話しただけで、紹介してって言ってくるオトコ、山ほどいるよ? いいねえ?」
そう言ってカンナは、1枚の写真をヒラリと投げ落とした。
反射的に目で追ったそれは、悠里の袴姿の写真だった。
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そのときの写真である。
悠里は眉をひそめ、ぎゅっと唇を噛み締めた。
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その生徒自身に悪気は無かっただろうが、悠里のストーカー被害のきっかけとなった写真である。
先週カンナに連れて来られていた、勇誠学園の1年生の言葉が脳裏をよぎる。
『オレたちみたいに、紹介で知り合った男自体は、たくさんいると思う。けっこう、顔は広いよあの人』
カンナは『人脈』を利用して、この写真を手に入れたのだろうか――
カンナが、大袈裟に溜め息をついてみせる。
「これ見よがしに袴着て、客引きしてたんだってね? こんな写真まで撮らせちゃって。学祭直後は、けっこう勇誠内で出回ったらしいねえ?」
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「そこまでして、オトコの気を引きたいんだ? 悠里ちゃん、あざとーい」
「……そんなつもりじゃありません」
悠里は、必死に声を振り絞った。
しかしカンナの底意地悪い言葉は、なおも彼女を追い詰める。
「誰彼構わず、ニコニコして声掛けまくってたらしいじゃん。オトコに媚びて、チヤホヤされて、ただの受付のくせに1番目立って。勇誠で話題になって。さぞかし気持ち良かったでしょうねえ?ビッチちゃん?」
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