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piece7 卒業式、前日
前日準備
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教室には、彩奈がいる。
気持ちを立て直さなければ。
今の2人のことは、忘れてしまおう。
カンナが卒業し、関わりを断つことができれば、もう話すことのない人たちだ。
悠里は必死に、気持ちを前に向けた。
卒業式前日である今日は、準備のために取られた1日だ。
各学年、各クラスで担当する役割があり、いくつかのグループに分かれて働く。
忙しく校内を動き回るおかげで、それからの悠里は、余計なことを考えずに済んだ。
ただただ、平和に時間が過ぎていった。
午後、悠里の属するグループが担当する教室の飾り付けが終了した。
今日は、各グループの仕事が終わり次第、下校して良いことになっている。
今日はまだ、カンナの姿は見えない。
朝、恐れていた靴箱の手紙も無かった。
――このまま、何事もなく帰れるかも知れない。
淡い期待に胸を膨らませ、悠里は、てきぱきと働いた。
本当は、違うグループにいる彩奈の仕事が終わるのを待っていたい。
けれど今日は、逃げることを最優先にしなければ。
悠里は急いで後片付けを進める。
「私、ゴミを捨てて来るね!」
飾り付けで出たゴミを手早くまとめ、悠里はグループのメンバーに声を掛けた。
「ありがと悠里!」
「ウチらも、もうすぐ終わるから! 悠里はゴミ捨てたら帰っちゃえ」
皆が笑顔で、口々に応えてくれる。
悠里は、にっこり微笑んで頷いた。
「ありがと。そうしようかな」
ゴミ置き場は、部活棟の近くにある。
悠里はゴミ袋を両手に持ち、早足に歩いて行った。
「……これでよし、と」
所定の位置にゴミ袋を置き、ロックを掛けて悠里は息をついた。
後は、教室に鞄を取りに行って、帰るだけだ。
――良かった。
今日は無事に帰れそう。
足取り軽く、戻ろうとしたその時だった。
「あ、悠里ちゃん!」
聞き覚えのある声で名前を呼ばれ、悠里は振り返る。
「……エリカさん!」
部活棟から出てきた彼女は、大輪の花のような笑顔で悠里に手を振った。
花の芳しさに誘われるように、悠里も微笑み、丁寧に会釈を返そうとした。
が、ハッと目を見開き、身を固くする。
エリカの肩越しにもう1人、部活棟から出てきた人影を認めたからだ。
悠里は慌ててエリカに向かって頭を下げると、そのまま走り去った。
「えっ? ま、待って……?」
訳もわからず零れ出たエリカの声は、行き先を失って宙に漂った。
エリカは首を捻りながら振り返り、自分の後ろにいた人物を呼んだ。
「カンナ……?」
気持ちを立て直さなければ。
今の2人のことは、忘れてしまおう。
カンナが卒業し、関わりを断つことができれば、もう話すことのない人たちだ。
悠里は必死に、気持ちを前に向けた。
卒業式前日である今日は、準備のために取られた1日だ。
各学年、各クラスで担当する役割があり、いくつかのグループに分かれて働く。
忙しく校内を動き回るおかげで、それからの悠里は、余計なことを考えずに済んだ。
ただただ、平和に時間が過ぎていった。
午後、悠里の属するグループが担当する教室の飾り付けが終了した。
今日は、各グループの仕事が終わり次第、下校して良いことになっている。
今日はまだ、カンナの姿は見えない。
朝、恐れていた靴箱の手紙も無かった。
――このまま、何事もなく帰れるかも知れない。
淡い期待に胸を膨らませ、悠里は、てきぱきと働いた。
本当は、違うグループにいる彩奈の仕事が終わるのを待っていたい。
けれど今日は、逃げることを最優先にしなければ。
悠里は急いで後片付けを進める。
「私、ゴミを捨てて来るね!」
飾り付けで出たゴミを手早くまとめ、悠里はグループのメンバーに声を掛けた。
「ありがと悠里!」
「ウチらも、もうすぐ終わるから! 悠里はゴミ捨てたら帰っちゃえ」
皆が笑顔で、口々に応えてくれる。
悠里は、にっこり微笑んで頷いた。
「ありがと。そうしようかな」
ゴミ置き場は、部活棟の近くにある。
悠里はゴミ袋を両手に持ち、早足に歩いて行った。
「……これでよし、と」
所定の位置にゴミ袋を置き、ロックを掛けて悠里は息をついた。
後は、教室に鞄を取りに行って、帰るだけだ。
――良かった。
今日は無事に帰れそう。
足取り軽く、戻ろうとしたその時だった。
「あ、悠里ちゃん!」
聞き覚えのある声で名前を呼ばれ、悠里は振り返る。
「……エリカさん!」
部活棟から出てきた彼女は、大輪の花のような笑顔で悠里に手を振った。
花の芳しさに誘われるように、悠里も微笑み、丁寧に会釈を返そうとした。
が、ハッと目を見開き、身を固くする。
エリカの肩越しにもう1人、部活棟から出てきた人影を認めたからだ。
悠里は慌ててエリカに向かって頭を下げると、そのまま走り去った。
「えっ? ま、待って……?」
訳もわからず零れ出たエリカの声は、行き先を失って宙に漂った。
エリカは首を捻りながら振り返り、自分の後ろにいた人物を呼んだ。
「カンナ……?」
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