#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

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piece8 ずっと話したかった

幸せになってください

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悠里はただ吸い込まれるように、彼女の憂いを帯びた美しい笑みを見つめた。
「剛士もね、私を傷つけようとしなかった。私はあんな……最低の裏切りをしたのに」

エリカのキリッとした強い瞳が伏せられ、長い睫毛に隠れた。
「剛士は、私のことも、高木さん……私の彼ね、のことも。ひと言も責めなかったんだよ」

ぎゅっと膝を抱いたエリカの腕が、微かに震える。
「……それどころか、1人で矢面に立って、私たちを庇った。何より、私たちがめちゃくちゃにしてしまったバスケ部を、立て直してくれた」


悠里はエリカの声を、黙して聞く。
青いイルミネーションの下、剛士が悲しみに沈みながらも、懸命に話してくれた言葉。
ひとつひとつが、彼女の胸を去来した。

『俺が少しでも弱音吐いたら、バスケ部は壊れる。そんなわけには、いかなかったから』

『俺1人の感情で、バスケ部を壊すわけにはいかなかったから。先輩から託された部を、仲間も後輩もいる部を、俺が守らなきゃいけなかったから』

いつも、自信に満ち溢れ、輝いている切れ長の瞳が、痛みに震えていた。
あのときの剛士を思うと、今でも胸が苦しい……


「勝手なことを言うけど、私ね」
エリカは、悲しい声で言った。

「剛士に、責めて欲しかったんだ。怒って欲しかった。罵って欲しかった。だって私、酷いことしたのに。剛士を傷つけたのに……」

エリカの言葉は、悠里に話しかけるというよりも、独白に近かった。

「剛士に責められて、みんなに責められて、嫌われて。そうして、少しでも償いたかった……でも未だに、何も償えてないんだ。私も、高木さんも」


エリカの抱える傷が、悠里にも見えてきた。

そうか。彼女の心残りは、償いをすることなんだ。
ずっとずっと悔いて、彼女なりに痛みを抱え続けていたんだと、悠里は思った。


悠里は、そっと、エリカの背を撫でた。
「……ゴウさんは、エリカさんに幸せになって欲しいって。だから、エリカさんと、高木さんと話すんだって、言ってましたよ」

彩奈と拓真を入れた4人で遊んだ後、剛士と話をした。
そのときに聞いた剛士の気持ちと言葉が、悠里の胸に蘇る。

『向こうの頭の中にさ。俺への負い目みたいなもんが、今でも残ってしまってるのなら』
『ちゃんと、終わらせてあげたい』


エリカが、口をへの字に結んだ。
「……そっか。剛士は悠里ちゃんに、そんなふうに言ってくれたんだ」
「はい」

悠里は、にっこりと微笑んでみせる。
「だから、幸せになってください。エリカさん」

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