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piece8 ずっと話したかった

羨ましい

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エリカは、明るく微笑んだ。

「……不思議。私、なんでこんなにペラペラと、悠里ちゃんに全部打ち明けてるんだろうね?」
「ふふ、不思議ですね」
「悠里ちゃんに話してると、何だか頭が、すっきり整理できる気がするよ。否定せずに、そっと聞いてくれるからかな」


エリカのくっきりとした目が、優しく悠里の顔を覗き込んだ。
「剛士もきっと、そうだったんだろうね」
悠里は恥ずかしそうに目を伏せ、微笑む。


悠里の脳裏に、青いイルミネーションが蘇った。
あのとき、正直に気持ちを見せてくれた剛士。
もし自分に話すことが、彼にとって少しでも助けになれていたならば、嬉しい……


「悠里ちゃんと話せば話すほど、結局、私と剛士は遅かれ早かれ、ダメになってたんだろうなと感じるよ」
「え……?」
エリカの言葉の真意が読み取れず、悠里は首を傾げる。


「だってさ、本心をぶっちゃけられない関係性なんて、どの道、長続きはしないでしょ」
エリカも同じ角度で首を傾げてみせ、悠里と目線を合わせた。

「剛士は、本音や弱い部分を、悠里ちゃんに見せてる。私との過去なんて、普通なら絶対、話したくないはずなのに。悠里ちゃんは、全部知ってるんだもんね」


悠里の脳裏に、剛士の優しい声が蘇る。
『不思議だな。お前には弱さを見せてもいいかなと思ってしまう』
その言葉が、自分に対する信頼の証に感じ、悠里も力づけられたのだ。


エリカは、穏やかで美しい微笑を浮かべる。
「剛士の弱い部分を知って、支えること。私にはできなかったことだから、羨ましい。剛士にとって、それだけ悠里ちゃんが特別なんだって、わかるんだ」

一応、元カノだからね、とエリカは悪戯っぽく微笑んだ。

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