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piece8 ずっと話したかった
心残り
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エリカの声音に、もう迷いや寂しさは、感じられなかった。
「私、あのカラオケボックスで剛士と再会したときね。わあっと昔の気持ちが湧き出してきて、思わず剛士を呼び止めちゃったんだ」
あのときの光景、何より剛士の表情を思い出しながら、悠里は、小さく頷いてみせる。
何度思い返しても、それは悠里の胸を悲しく締め付けた。
「あのときは、本当にごめん。本当に……酷いことをしてしまったと思ってる」
悠里は目を伏せつつも、エリカの声に、そっと首を横に振った。
「剛士を見た瞬間にね。何にも見えなくなってしまったの。あまりにも過去のことが鮮明に蘇ってきちゃって。とにかく剛士と、もう一度会いたい、話したいって思った……そう思うってことは、私はまだ、剛士を好きなのかなって」
無意識に唇を噛んでしまった悠里に気がつき、エリカは慌てて否定する。
「ご、ごめん!それは違うって、もう自分でもわかってるからね?」
「は、はい……大丈夫です」
悠里も慌てて瞬きをし、滲んだ涙を心の内側に押し込む。
エリカは、優しい瞳を悠里にむけた。
「きっと私は、心残りだったんだね」
悠里はじっと、彼女の強い艶やかな目を見つめる。
「私は最後に、剛士と本音で話したかったんだ。電話じゃなくて、顔を見て。謝りたかった。剛士を裏切ったこと。高木さんに罪をなすりつけたこと。自分の汚いところ、卑怯な部分も、正直に話して。謝って。きちんと終わりにしたかったんだ」
風に乱れたショートヘアを無造作に掻き上げ、エリカは穏やかな口調で言った。
「剛士もね、そう言ってくれたんだ」
「……ゴウさんが?」
聞き返した悠里に、エリカは微笑みかける。
「うん。……あの、ごめん。私、この間、剛士に電話掛けたんだけどね、」
剛士の誕生日とは言わず、この間と濁すエリカの気遣いに、思わず悠里の顔がほころぶ。
エリカが上目遣いに悠里を窺った。
「……その顔から察するに、これも剛士から聞いてたかな?」
「ふふ、はい」
「そっかあ……本当、剛士は悠里ちゃんに、何でも話してるんだね」
悠里の笑顔につられるように、エリカも笑い声を零し、話を続けた。
「そう、電話したときにね。剛士が『俺たちは別れるとき、本音で話し合うべきだった。もう逃げないから、あの頃の私の気持ちも聞くから、高木さんも交えて話そう』って。言ってくれたんだ」
悠里は、先日駅前で剛士に聞いたことを思い返しながら、しっかりと頷いた。
「『ちゃんと、終わらせよう』って。剛士が、言ってくれたんだよ」
「……そうでしたか」
悠里はもう一度、ゆっくりと頷いた。
「私、あのカラオケボックスで剛士と再会したときね。わあっと昔の気持ちが湧き出してきて、思わず剛士を呼び止めちゃったんだ」
あのときの光景、何より剛士の表情を思い出しながら、悠里は、小さく頷いてみせる。
何度思い返しても、それは悠里の胸を悲しく締め付けた。
「あのときは、本当にごめん。本当に……酷いことをしてしまったと思ってる」
悠里は目を伏せつつも、エリカの声に、そっと首を横に振った。
「剛士を見た瞬間にね。何にも見えなくなってしまったの。あまりにも過去のことが鮮明に蘇ってきちゃって。とにかく剛士と、もう一度会いたい、話したいって思った……そう思うってことは、私はまだ、剛士を好きなのかなって」
無意識に唇を噛んでしまった悠里に気がつき、エリカは慌てて否定する。
「ご、ごめん!それは違うって、もう自分でもわかってるからね?」
「は、はい……大丈夫です」
悠里も慌てて瞬きをし、滲んだ涙を心の内側に押し込む。
エリカは、優しい瞳を悠里にむけた。
「きっと私は、心残りだったんだね」
悠里はじっと、彼女の強い艶やかな目を見つめる。
「私は最後に、剛士と本音で話したかったんだ。電話じゃなくて、顔を見て。謝りたかった。剛士を裏切ったこと。高木さんに罪をなすりつけたこと。自分の汚いところ、卑怯な部分も、正直に話して。謝って。きちんと終わりにしたかったんだ」
風に乱れたショートヘアを無造作に掻き上げ、エリカは穏やかな口調で言った。
「剛士もね、そう言ってくれたんだ」
「……ゴウさんが?」
聞き返した悠里に、エリカは微笑みかける。
「うん。……あの、ごめん。私、この間、剛士に電話掛けたんだけどね、」
剛士の誕生日とは言わず、この間と濁すエリカの気遣いに、思わず悠里の顔がほころぶ。
エリカが上目遣いに悠里を窺った。
「……その顔から察するに、これも剛士から聞いてたかな?」
「ふふ、はい」
「そっかあ……本当、剛士は悠里ちゃんに、何でも話してるんだね」
悠里の笑顔につられるように、エリカも笑い声を零し、話を続けた。
「そう、電話したときにね。剛士が『俺たちは別れるとき、本音で話し合うべきだった。もう逃げないから、あの頃の私の気持ちも聞くから、高木さんも交えて話そう』って。言ってくれたんだ」
悠里は、先日駅前で剛士に聞いたことを思い返しながら、しっかりと頷いた。
「『ちゃんと、終わらせよう』って。剛士が、言ってくれたんだよ」
「……そうでしたか」
悠里はもう一度、ゆっくりと頷いた。
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