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piece9 親友
卒業式
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翌朝は、澄み切った青空が広がっていた。
晴れ晴れとした気持ちで、悠里は身支度を始める。
いつも通りの朝。テーブルには母が用意してくれた朝ごはんがあり、弟と一緒に食べる。
「美味しい……」
「は? 別にいつも通りじゃない?」
感慨深げに呟いた悠里に、弟の悠人が不審な視線を向ける。
悠里は笑ってしまう。
思えばここ最近、朝ごはんを楽しむ余裕などなかった。
出勤前の忙しい時間に、母が毎日作ってくれているのに。
「そうだよね。感謝して、美味しく食べなきゃね」
悩みを抱えていると、周りが見えなくなって、感謝の気持ちすら忘れてしまう。
彩奈に対しても、そうだ。
悠里は改めて、親友に隠し事をし続けていることを後悔した。
彩奈はいつもいつも、自分を見て、心配してくれているのに……
今日が終わったら、なるべく早く、彩奈に話そう。
そうだ。剛士にも拓真にも、話をしなければならない。
ふっと、エリカの言葉が悠里の脳裏をよぎった。
『来週末とかで、剛士にアポ取っていいかな』
そうだ。剛士とエリカの話し合いが終われば。
この一連の出来事は解決した、と考えて良いだろう。
そうしたら自分も、全てを皆に聞いて貰おう。
黙っていたことを、怒られてしまうかも知れない。
いや、怒られたい。
たくさんたくさん、皆に謝りたい。
そうして素直に、泣いてしまいたい――
悠里は、涙が滲みそうになるのを堪えるために、カーテン越しに差し込む柔らかな光を見つめた。
ゴールはきっと、目の前だ。
卒業式は、盛大にホールで執り行われた。
聖マリアンヌ女学院のスクールフラワーである、桜。
花言葉は、精神の美。優美な女性。
高校の目指す、美しい女性像を表す花を模した飾りが、至るところに散りばめられている。
卒業生がホールの真ん中に敷かれた、桜色のカーペットの上を歩いて行く。
悠里たち1年生は、ホールの端に座っているので、その姿はよく見えない。
それでも悠里は、敬虔な気持ちで拍手をした。
「卒業生、退場!」
最後に流れるのは、校歌。
ホールの前方に配置されたグランドピアノが、優雅に歌い始める。
在校生は起立し、ピアノと共に歌う。
卒業式が、終了する。
悠里は、さまざまな思いを胸に、目を潤ませた。
今までで1番、気持ちを込めて校歌を歌った。
聖マリアンヌ女学院の伝統として、最後に教室に戻る卒業生のために、ホールから校舎までの花道を作る。
在校生が両脇に立って、誘導路を形成する。
そうして花道を通る卒業生たちに、桜の花びらを模した淡いピンク色の和紙を降り注ぐのだ。
フラワーシャワーのようなもので、卒業生も在校生も、毎年とても楽しみにしているイベントだった。
悠里は目立たないように、花道を作るメンバーには入らず、後ろで花びらの和紙を渡す役割に徹した。
高校生活最後の、晴れの日だ。
エリカにも、カンナにも、自分の姿は見せたくない。
純粋に、今日という1日を、楽しんで欲しかった。
晴れ晴れとした気持ちで、悠里は身支度を始める。
いつも通りの朝。テーブルには母が用意してくれた朝ごはんがあり、弟と一緒に食べる。
「美味しい……」
「は? 別にいつも通りじゃない?」
感慨深げに呟いた悠里に、弟の悠人が不審な視線を向ける。
悠里は笑ってしまう。
思えばここ最近、朝ごはんを楽しむ余裕などなかった。
出勤前の忙しい時間に、母が毎日作ってくれているのに。
「そうだよね。感謝して、美味しく食べなきゃね」
悩みを抱えていると、周りが見えなくなって、感謝の気持ちすら忘れてしまう。
彩奈に対しても、そうだ。
悠里は改めて、親友に隠し事をし続けていることを後悔した。
彩奈はいつもいつも、自分を見て、心配してくれているのに……
今日が終わったら、なるべく早く、彩奈に話そう。
そうだ。剛士にも拓真にも、話をしなければならない。
ふっと、エリカの言葉が悠里の脳裏をよぎった。
『来週末とかで、剛士にアポ取っていいかな』
そうだ。剛士とエリカの話し合いが終われば。
この一連の出来事は解決した、と考えて良いだろう。
そうしたら自分も、全てを皆に聞いて貰おう。
黙っていたことを、怒られてしまうかも知れない。
いや、怒られたい。
たくさんたくさん、皆に謝りたい。
そうして素直に、泣いてしまいたい――
悠里は、涙が滲みそうになるのを堪えるために、カーテン越しに差し込む柔らかな光を見つめた。
ゴールはきっと、目の前だ。
卒業式は、盛大にホールで執り行われた。
聖マリアンヌ女学院のスクールフラワーである、桜。
花言葉は、精神の美。優美な女性。
高校の目指す、美しい女性像を表す花を模した飾りが、至るところに散りばめられている。
卒業生がホールの真ん中に敷かれた、桜色のカーペットの上を歩いて行く。
悠里たち1年生は、ホールの端に座っているので、その姿はよく見えない。
それでも悠里は、敬虔な気持ちで拍手をした。
「卒業生、退場!」
最後に流れるのは、校歌。
ホールの前方に配置されたグランドピアノが、優雅に歌い始める。
在校生は起立し、ピアノと共に歌う。
卒業式が、終了する。
悠里は、さまざまな思いを胸に、目を潤ませた。
今までで1番、気持ちを込めて校歌を歌った。
聖マリアンヌ女学院の伝統として、最後に教室に戻る卒業生のために、ホールから校舎までの花道を作る。
在校生が両脇に立って、誘導路を形成する。
そうして花道を通る卒業生たちに、桜の花びらを模した淡いピンク色の和紙を降り注ぐのだ。
フラワーシャワーのようなもので、卒業生も在校生も、毎年とても楽しみにしているイベントだった。
悠里は目立たないように、花道を作るメンバーには入らず、後ろで花びらの和紙を渡す役割に徹した。
高校生活最後の、晴れの日だ。
エリカにも、カンナにも、自分の姿は見せたくない。
純粋に、今日という1日を、楽しんで欲しかった。
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