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piece10 おまけのお話――4人の恋バナ
彩奈の憧れの人
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拓真が笑いながら、自然な流れで話題を変えてくれる。
「それにしてもさ。本当、彩奈ちゃんの写真、すごいね! めちゃめちゃカッコよく撮れてる」
テーブルに置かれていた、剛士の練習試合を撮った彩奈の写真。
それらに視線を落とすと、拓真は柔らかく微笑んだ。
「うん。写真って、静止画のはずなのに、躍動感がすげえ」
剛士も頷き、嬉しそうに写真を手に取る。
「本当、ありがとな、彩奈」
「あはは、どういたしまして!」
誇らしげに笑った彩奈に、拓真が問いかける。
「彩奈ちゃんって、いつから写真やってるの? もしかして、高校の部活以外にも、何かやってる?」
「うん! お父さんがカメラ趣味の人でね。お父さんが参加してるカメラサークルに、中学生の頃から連れてって貰ってるんだ」
「へえ、すごい!」
拓真、そして剛士も、興味深げに頷いた。
赤メガネを掛けた彩奈の瞳が、キラキラと輝く。
「最初は見学してたんだけど、自分でもやってみたら、面白くて。いまとなっては、お父さんが行かないときも、私だけで参加してるんだ!」
「そっか」
剛士が、穏やかに微笑んで相槌を打つ。
「彩奈は、ほんとに写真が好きで、がんばってるんだな」
その声には、彩奈への尊敬の念がこもっていた。
それに気がついた彩奈が、少し、照れくさそうに笑う。
「あはは! まあ、ね。サークルの中に、すごい写真の上手い人がいて。その人に教わったから、ハマったのかも」
彩奈の頬が、ほんのりと赤く染まる。
その変化を敏感に察知した拓真が、微笑んで尋ねた。
「憧れの人?」
「あはは! まあ……ね?」
含み笑いを零した彩奈が、悠里に同意を求めてくる。
悠里も、小首を傾げて微笑んだ。
「ふふっ。ね?」
彩奈が、父に連れられて参加するようになった、カメラサークル。
社会人や学生が入り混じり、メンバーは20人程。
月に2回集まり、和気藹々と活動している。
有志で撮影会を開いたり、コンクールに出品することもあるそうだ。
その活動の中で、彩奈は5つ年上、大学2年生の男性と知り合った。
彼も彩奈と同じように、家族の影響でカメラを始め、このサークルに参加するようになった人だった。
サークル内で最年少の彩奈に、彼は気さくに話しかけてくれた。
彩奈がサークルを楽しめるように、いつも気遣ってくれた。
そんな彼にカメラを教わるうちに、彩奈の憧れの気持ちは、自然と恋の色を帯びたというわけだ。
サークルの集まりがあった後は必ず、悠里と彩奈は、恋バナに花を咲かせる。
尊敬から始まった彩奈の恋の進展を聞くのは、悠里としても楽しく、嬉しいものだった。
「それにしてもさ。本当、彩奈ちゃんの写真、すごいね! めちゃめちゃカッコよく撮れてる」
テーブルに置かれていた、剛士の練習試合を撮った彩奈の写真。
それらに視線を落とすと、拓真は柔らかく微笑んだ。
「うん。写真って、静止画のはずなのに、躍動感がすげえ」
剛士も頷き、嬉しそうに写真を手に取る。
「本当、ありがとな、彩奈」
「あはは、どういたしまして!」
誇らしげに笑った彩奈に、拓真が問いかける。
「彩奈ちゃんって、いつから写真やってるの? もしかして、高校の部活以外にも、何かやってる?」
「うん! お父さんがカメラ趣味の人でね。お父さんが参加してるカメラサークルに、中学生の頃から連れてって貰ってるんだ」
「へえ、すごい!」
拓真、そして剛士も、興味深げに頷いた。
赤メガネを掛けた彩奈の瞳が、キラキラと輝く。
「最初は見学してたんだけど、自分でもやってみたら、面白くて。いまとなっては、お父さんが行かないときも、私だけで参加してるんだ!」
「そっか」
剛士が、穏やかに微笑んで相槌を打つ。
「彩奈は、ほんとに写真が好きで、がんばってるんだな」
その声には、彩奈への尊敬の念がこもっていた。
それに気がついた彩奈が、少し、照れくさそうに笑う。
「あはは! まあ、ね。サークルの中に、すごい写真の上手い人がいて。その人に教わったから、ハマったのかも」
彩奈の頬が、ほんのりと赤く染まる。
その変化を敏感に察知した拓真が、微笑んで尋ねた。
「憧れの人?」
「あはは! まあ……ね?」
含み笑いを零した彩奈が、悠里に同意を求めてくる。
悠里も、小首を傾げて微笑んだ。
「ふふっ。ね?」
彩奈が、父に連れられて参加するようになった、カメラサークル。
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月に2回集まり、和気藹々と活動している。
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彩奈がサークルを楽しめるように、いつも気遣ってくれた。
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