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第一章
天の恵み?…②
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「構わないでしょう?車は珍しくないけれど、特注の黒塗りの高級車を乗りまわす者は皇都の中でも珍しい。よほどの金を持っている貴族か豪商。もしくは裏で生きる者が大半。あれだけの金貨を車に積んでいる所を見るとその出どころは怪しいわね。そんな得体の知れない金貨を盛大にばら撒く羽目になったのなら、この辺りの人達に寄付したと思うんじゃないかしら」
「やれやれ…。言ったはずだぞ。“運”を使いすぎると…」
「分かってますわ。考えてこの力は使うって約束したんですもの。だから、安心してちょうだい。何より、あんな小さな子がなりふり構っていない様子を見たら、いたたまれなかったのよ」
「これだから、世間知らずのお嬢様は…。あの少年がただの弱者だと?むしろ、プロだなあれは…。スられないように気を付けるんだな」
「そんなの見れば分かるわよ。私はお師匠様が思うほど、深淵の令嬢じゃありませんのよ。けれど、あの少年がそういう風に生きる羽目になったのにはそれなりの理由があるはず。皆が皆、適齢期で大人になるわけじゃない。まあ、彼の面倒を全部見ようと言う心音もない私が言っても説得力はないわね。でもね。弟の年齢に近い彼の境遇を思うと胸痛むのも本当なのよ。だから、早めのクリスマスプレゼントをしたと思ってよ。ちょっとしたね。それぐらいの奇跡。あの少年にあげたって許されるんじゃない?それにもケチをつけるっていうなら、この力…運を操る能力の練習をしたと思ってくださいな?」
「分かったよ。お前は口だけは達者だな」
「お師匠様が口下手なだけでは?」
「バカ言え。営業能力はお前より上だぞ」
「そう言う事にしてあげます。そろそろ、急がないと約束に遅れてしまいますわよ。調整師のヴァノン様」
「お前だって、調整師だろう?」
「私はまだ修行中の身ですから」
「なんか鼻につくな。力はお前の方が上だろう」
「能力の方向性が違うお師匠様の言葉とも思えませんわ」
おどけたように微笑めば、ヴァノンは半ばあきらめたように金貨に群がる群衆に背を向けて歩き出す。シアもその後に続いた。誰も彼らの気配に気づかないまま、二人は人込みの中へと消えていく。
その足は人の賑わいから離れた郊外へと進む。
時の流れから忘れ去られたような大きな屋敷。コンクリート製の建物も増えつつあるこの国において、古き良きお姫様や皇子様が住んでいそうな雰囲気が漂っている。
まあ、今でも貴族達は似たような屋敷に住んでいるけど…。
「ミスター・ストーク様は貴族階級の方なの?」
「さあね。知らないよ。そう言った話はしないから」
「お得意様だって言っていたから仲がよろしいのかと思っていたわ」
「それはあくまでお客としてさ。多大な寄付もしてくれてるがな」
「そのわりにはお店、ガタガタだけど?」
「寄付っていってもお金ですべて貰ったわけじゃないんだよ」
「はいはい」
「なんか、呑気だな。今から一仕事あるっていうのに…」
「あるのは主にお師匠様だけでしょう?」
「それが弟子の言葉かよ」
穏やかな雰囲気がその場を包む中、重く閉じられた扉が開かれた。
「やれやれ…。言ったはずだぞ。“運”を使いすぎると…」
「分かってますわ。考えてこの力は使うって約束したんですもの。だから、安心してちょうだい。何より、あんな小さな子がなりふり構っていない様子を見たら、いたたまれなかったのよ」
「これだから、世間知らずのお嬢様は…。あの少年がただの弱者だと?むしろ、プロだなあれは…。スられないように気を付けるんだな」
「そんなの見れば分かるわよ。私はお師匠様が思うほど、深淵の令嬢じゃありませんのよ。けれど、あの少年がそういう風に生きる羽目になったのにはそれなりの理由があるはず。皆が皆、適齢期で大人になるわけじゃない。まあ、彼の面倒を全部見ようと言う心音もない私が言っても説得力はないわね。でもね。弟の年齢に近い彼の境遇を思うと胸痛むのも本当なのよ。だから、早めのクリスマスプレゼントをしたと思ってよ。ちょっとしたね。それぐらいの奇跡。あの少年にあげたって許されるんじゃない?それにもケチをつけるっていうなら、この力…運を操る能力の練習をしたと思ってくださいな?」
「分かったよ。お前は口だけは達者だな」
「お師匠様が口下手なだけでは?」
「バカ言え。営業能力はお前より上だぞ」
「そう言う事にしてあげます。そろそろ、急がないと約束に遅れてしまいますわよ。調整師のヴァノン様」
「お前だって、調整師だろう?」
「私はまだ修行中の身ですから」
「なんか鼻につくな。力はお前の方が上だろう」
「能力の方向性が違うお師匠様の言葉とも思えませんわ」
おどけたように微笑めば、ヴァノンは半ばあきらめたように金貨に群がる群衆に背を向けて歩き出す。シアもその後に続いた。誰も彼らの気配に気づかないまま、二人は人込みの中へと消えていく。
その足は人の賑わいから離れた郊外へと進む。
時の流れから忘れ去られたような大きな屋敷。コンクリート製の建物も増えつつあるこの国において、古き良きお姫様や皇子様が住んでいそうな雰囲気が漂っている。
まあ、今でも貴族達は似たような屋敷に住んでいるけど…。
「ミスター・ストーク様は貴族階級の方なの?」
「さあね。知らないよ。そう言った話はしないから」
「お得意様だって言っていたから仲がよろしいのかと思っていたわ」
「それはあくまでお客としてさ。多大な寄付もしてくれてるがな」
「そのわりにはお店、ガタガタだけど?」
「寄付っていってもお金ですべて貰ったわけじゃないんだよ」
「はいはい」
「なんか、呑気だな。今から一仕事あるっていうのに…」
「あるのは主にお師匠様だけでしょう?」
「それが弟子の言葉かよ」
穏やかな雰囲気がその場を包む中、重く閉じられた扉が開かれた。
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